連載コラム AI・IoTによる未来の保全

わが国は、社会インフラ、多くの産業の成熟化、高齢化、少子化に伴う人口構成の変化から、先進国でも未経験の未来を迎えようとしています。戦後から50年以上建設を続けて来た社会インフラはもとより、製造業では高度成長期に花形産業だった大規模プラント、工場が建設時期の順に老朽化を迎えており、事故の発生件数が増加しつつあり、いずれ活用できなくなる時期が目前に迫っています。労働力人口の急激な減少加えて、ベテラン社員の退職によるノウハウの喪失が顕著になっており、災害後の早期の復旧ができないどころか、施設や設備を維持することも難しくなることが容易に予想できます。
従来、資産管理(アセットマネジメント)は、資産を維持するコストで見る傾向にありましたが、本来はISOで定義されているように設備稼働維持のPDCAの運用で見るべきであり、近年、国家や産業の成長が見込めない中で、既存の資産(アセット)を如何に効率的に維持しながら利用できるかといった観点が見直され、必要不可欠な経営手法と注目されています。
本コラムでは、近年、盛んに導入されているデジタル化や欧米で盛んに取り組まれている第四次産業革命のコアとなっている設備保全手法も含め、次世代の保全のあり方について議論します。
連載目次
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- 第1回:装置産業の設備保全・保守メンテナンスを取り巻く環境(1/2)
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- (1)経営課題を解決するための設備管理の課題
- (2)設備の老朽化による事故の多発
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- 第2回:装置産業の設備保全・保守メンテナンスを取り巻く環境(2/2)
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- (3)人材リソースと知識・ノウハウの喪失
- (4)プラントのスマート化
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- 第3回:装置産業の設備保全の方向性(1/2)
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- (1)設備保全の現状の問題
- (2)保全戦略および保全計画の策定
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- 第4回:装置産業の設備保全の方向性(2/2)
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- (3)設備のライフサイクルと保全業務におけるPDCAサイクル
- (4)保全のコストパフォーマンス向上
- (5)保全業務の効率化、高度化
- (6)IT基盤による次世代の設備保全システムの実現
筆者略歴
江口 隆夫 株式会社エクサ エンタープライズビジネスユニット ビジネスバリュー推進室 ㈱野村総合研究所(1990~2000年)、日本アイ・ビー・エム㈱(2000~2013年)コンサルティング部門などを経て、現職。博士(工学)。東京大学大学院工学研究科 非常勤講師(2013年~現在) 製造業のお客様を中心にIT戦略・業務改革構想フェーズの実施支援、特に製品開発領域の業務改革、システム化構想など、コンサルティングプロジェクトマネジャーを40件以上担当。 |
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渡辺 佳枝 株式会社エクサ Smart営業本部 Smartファクトリー営業部長 第1回、第2回執筆 入社以来、技術推進部門、業務システム開発部門、コンサルティング部門、経営企画部門を経て、現職。製造業から金融業まで幅広いお客様の業務改革やシステム化構想策定、システム構築をご支援してきた実績を活かし、多様な「現場」のデジタル改革に関する提案を行う。 |
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山口 裕也 株式会社エクサ Smart営業本部 Smartファクトリー営業部 第3回、第4回執筆 主として製造業を中心とした現場業務におけるシステム活用の支援・提案に従事。様々なお客様(現場)の声に対し、最新のトレンドや過去の事例をふまえた最適な情報を提供することで、デジタル活用による業務改革の仕組みづくりに貢献する。 |
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