SCMKPI 活用の糸口

連載コラム:SCM KPI活用の糸口

第2講:お金

KPIの代表格

まずはKPIの王様、お金から進めましょう。カネのあとは、モノ、ヒトとテーマを展開できればと思います。

大抵の経営者が見るのは売上、利益率、費用内訳、そんなところでしょうか。しかしそこから何を導き出すかというのはセンスに関わります。

10年以上前の話ですが、ドリルダウンが出来て事象の原因がすぐにわかる、という触れ込みでデータウエアハウスが流行ったことがありました。またどのような切り口でもグラフが作成でき、経営判断がしやすいというEUC(End User Computing) というモノも流行りました。
美しいグラフに最初は関心を示していた経営者も1か月くらいすると見向きもしなくなるという現象が散見された、というのはこの業界の方ならよくご存じでしょう。
特にお金のKPIに関しては、売上の内訳のトレンド、費用内訳のトレンドが一目でわかる、というものでしたが、いくつかの理由で使われなくなりました。

タイミング・期間

人間、1度や2度は慌てて焦って、とんでもない判断をしてしまった経験はあるものです。日々ストレスにさらされる経営層ならなおのこと。
リーマンショックの時、毎日のよう売り上げが減少、見込み修正に大騒ぎになり、報告が遅れ、社長がいらつく、などということがあちらこちらで発生しました。だから、日次で売り上げを見られるようにしてくれ、という話が出てその通りにしたら、社長はそのあと見ることはなかった、ということもあちらこちらで発生しました。

売り上げに異常が出てから報告するまでの時間が問題であり、毎日出すことが本質ではないわけです。毎日の売り上げで一喜一憂するためのシステムなど誰も見ません。

元データが無い、粗い

原価が一発でわかる。費用構成の変化が可視化できる、という話も流行りました。しかし、原価は配賦の塊、経費も団子で人数配分というような帳簿しかなかったら、分析に意味があるでしょうか?逆に異常値がならされてしまって経営判断を誤ってしまうケースもあります。ボケた写真は顕微鏡で拡大してもボケたままである、という単純なことを見落とすとこうなります。

こんな分析がしたい、という場合、その数字を作ることにばかり熱心になり、実際意味があるかを誰も検証しない、というケースが結構あります。経営層にとってみれば、データを出しても自分の感覚と合わなければ使わなくなります。

お金は結果でしかない

OODAという方法論がかなり前から言われています。PDCAはもう古い、と。これは私も賛成です。
ちなみにOODAは(Observe-Orient-Decide-Act)の略で朝鮮戦争時のF86戦闘機パイロット、ジョン・ボイド大佐が理論化した意思決定のフレームワークです。

経営層は日々変化する経営環境に対応するために、このOODAをほぼ無意識にやっておられる方が多く、必要なのは予兆を読み取ることであり、結果を知ることではないということです。お金の動きはどうしてもワンテンポ遅れて結果が出てきます。それは締め、という概念があるからです。だから毎日決算するのがよい、という話も一時期流行りましたが、意味がないことがすぐにわかりました。締めがあるものと、リアルタイムのものを足し算引き算してもまともな情報にはなりません。

お金のKPIは分析向き

お金のKPIは経営判断というよりは結果分析のための材料と考えた方が無難というのが私の考えです。
そのためにはどのような分析をしたいか、そのためにはどのような実績値をとらなくてはならないか、それは費用と効果が見合うか、ということを、特にお金のKPIでは設計時に経営陣と話し合う必要があります。なんでもボタン一つで、なんてのは映画の世界でしかありません。

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