SCMよもやま話

コラム:サプライチェーンよもやま話

サプライチェーンDXで専門家は不要に?

サプライチェーンがうまく動かないと工場が止まる、店からものがなくなるという話はご存知の通りでしょう。時として人命を左右してしまうこともあります。もともとサプライチェーンの基本になっているのはロジスティクスと言われる考え方でこれは兵站学と訳されます。その名の通り戦場において、兵士の武器弾薬、食料飲料などの輸送をどのように行うかが主題となります。失敗すれば兵士の命にかかわります。

1.歴史的な例

書籍で一番有名なのはベストセラーにもなっている「失敗の本質」。数々の旧日本軍の失敗の経緯が書かれています。
この中で兵站の失敗として記載されているのがインパール作戦です。あまりに悲惨な例なのでご存知の方も多いでしょう。3週間、後方支援なしで急峻な山岳地帯を抜けて急襲をかけるという無茶なものでした。しかも糧食は3週間分のみで、失敗時のプランBは準備されず、開始後情報もつかめず、失敗するかも、ということが薄々わかりはじめても上層部は中止の決断すらできないという状態だったと記述されています。(もっともこれには異論もあり、戦争末期における特有の現象という見方もありますので、ご留意ください。)無理な作戦という意味では実際ドイツでも似たような話が起きています。少しずれましたが一つだけ明確なのは兵站を無視した作戦であったことだけは事実です。

2.専門家

経済学者の方が「‟医学は医者以外が口を出すと専門家でもないのに‟と批判が起きるのに、経済政策はド素人が平気でテレビでデタラメ解説やった上に本まで出している(いや、特定の個人のことを言っているわけではありませんよ)」と嘆いていましたがサプライチェーンに関しても同じことが言えます。

システムがあるからと言ってサプライチェーンの専門人材が不要なわけではありません。

残念なことに特にメーカにおいてはモノづくり中心主義のお客様も多く、モノを運ぶ、もしくは部品を調達する、という部分は社内的にも重要視されてきませんでした。

かつて私の同僚のコンサルタントが「資材部門は伝票を切っているだけの部門だからアウトソースすべき」と、よりにもよって資材部の前でやらかして、暴動寸前になったことがあります。私は即座に役員に電話し、許可を得て、この「コンサルタント」をプロジェクトから追い出して事なきを得ました。資材部門は調達できない時にこそ活躍の場があるのですから「ふざけんじゃねえ、バカヤロー」と怒号渦巻いたのはある意味当然。

サプライチェーンは工場同様、毎日何かが起きます。梱包材が無い、通い箱が無い、トラックが来ない、間違って小さいトラックが来た、とかいう現場レベルから出荷したあとに出荷要求の訂正が来るとか、異品出荷に気が付く、港が止まった、地震で高速道路が落ちた、という話もあります。それに対応するのは人間でしかありません。高速道路でトラックが事故に巻き込まれた時に、代替品作ってもらう交渉を工場と電話でして、トラック手配して、出荷手配をかけ、お客様まで運んでくれる、などという話をシステムだけでは無理でしょう。それでもなお、たまに「そのためのDXだ!」とか言うコンサルタントもいますが、まあ、暴動起こすのが関の山。

DXもサプライチェーンシステムもある意味、MRIに似ているかもしれません。健康診断でご経験された方はあのうるさい機械にイライラしたでしょうけど、体の輪切りを見ることが出来るので、診断精度は各段に上がりました。しかし、これを診断に役立てるのは「読影医」という専門にトレーニングされた方でないと宝の持ち腐れになります。サプライチェーンも同じ。何をもとにどんな行動を起こすか、ということも含めて導入をしていくことになります。導入する会社の価値のほとんどはその運用設計でとも言えます。

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