お客様の声としてKPIで何をみるべきかというお話をお聞きする機会が多くあります。話を進めていくと、あ、これも見たい、あ、こっちいいな。あ、これも魅力的だ、とかだんだん広がって行ってKPIが100個(実話)になってそのKPIが見たいとかわけのわからない話になっているところに突っ込まれたこともあります。
Key Performance Indicator。その名の通りキーです。鍵です。大事なことなのでもう一度言いますが鍵にならないといけません。自宅の鍵が100個あったらどうでしょうか?
仕事に疲れて自宅に帰ったはいいけど、100個鍵を開けないと家に入れない。これは困ったことになります。
KPIを設定する目的は何でしょうか?山ほど情報がある中で、これで「おおよその」現状がわかるために作るものです。ここで誤解してならないのは「おおよその」という部分で、「これを見れば万事OK」とならないことです。これが物理的な鍵との違いです。実も蓋もない話をしてしまえば、万能のKPIなどありません。
KPIの設定
具体的なKPIについては次講以降に譲るとして、KPIの設定の原則についてお話ししましょう。最初に、誰が何のために見るためのKPIかということを明確にする必要があります。経営者向けなのか、部門長向けなのかで性質が異なります。
まず経営者向けのことを考えてみましょう。私がプロジェクトで良く耳にするのは次の2点です。
- 何がみたいかわからないからなるべく広範囲にしておきたい
- 毎年言うことが変わるので「ボタン一つで」内容を切り替えられるようにしてほしい
そういえばそんな話をしたな、と思われた方も多いのではないでしょうか。私が担当者でも言いたくなるセリフであるのも事実です。
なぜ、KPIは設計しにくいか?
「社長さんとか役員さんと話していますか?」からスタートです。社長さんや役員さんが何も判断しなかったら会社は傾きます。そうなっていないということはなんらかの経営判断をしているわけで、その判断のもとは「データ」です。そのデータを取得、認識できる形に加工する手間を省くのがKPIです。
つまりニーズが無いわけではない。それを担当者が把握できないのです。これはオーケストラでパートをまとめるのと指揮台に立つのでは全く見方が変わるということと似ています。
パートの完璧化=部門の最適化で必要とされるスキルとそれをまとめて一つの曲に仕上げるのでは全くやることが異なる。私も地方の高校の吹奏楽部の指導のバイトで指揮台に立ったことがありますが、パートさえまとめていればいいという、いつもの気楽さはありませんでした。社長さんや役員さんも同じ。担当部門が重要と思っていることを意外とみていなかったりします。
KPIを言葉通りに受け取って何が鍵ですか?と聞いてもあまりまともな答えは返ってきません。重要なのは社長さん、役員さんが何を基準に経営判断しているかを知ることです。それが成約率かもしれませんし、SNSの書き込みかもしれません。そのポイントを探ることが第一歩。
経営のKPIは意外と保守的
毎年言うことが変わるというのは表層的な要求で仕組みを作っているから、という理由が結構あります。毎年判断材料をごろっと変える経営者はあまりいません。
逆に保守的すぎるほうが大半です。XXの情報が欲しいからYYを見ている、という場合、要件とすべきはYYではなく、XXの方です。無意識的に判断されている経営者が特に日本では多いので、そのあたりをじっくり聞きだすことが重要です。
Data-Information-Intelligence
この3つの違いをご存知の方も多いでしょう。環境からデータを引っ張り出し、それを状況判断する「情報」に加工し、判断に使える「Intelligence」にさらに加工する。経営者のみならず、皆さんも日頃同じようなことをやっています。で、上記ポイントは「Intelligence」が何かを探るのと同じことです。
言うのは簡単だけど、という言葉も聞こえてきますが、お困りの節は是非ご一報を。
Maestro(旧称:RapidResponse)
S&OP分野でのグローバルリーダーに位置づけられるクラウドサービス
執筆者紹介
連載コラム:SCM KPI活用の糸口
SCMのKPIを考える際のエッセンス、よくある落とし穴について簡単にご紹介します。貴社サプライチェーン改革のヒントがここにある(かもしれません)。
(1記事5分程度でご覧いただけます)
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