SCMよもやま話

コラム:サプライチェーンよもやま話

バレンタインデーから読み取るサプライチェーンのリスク回避策

チョコレートは季節商品?

バレンタインデーという日があります。時代背景からか、私も学生時代、独身時代はよく義理チョコなるものをもらいました。せめて板チョコがほしいなあとは思っていましたが小さな詰め合わせチョコ止まりでした。

世の統計ではチョコレートの消費量の半分近くがここで消費されるという話もあります。出荷額ベースではもっと多いかもしれません。高額チョコレート、特にベルギーの某社のモノは海外出張時(特にUS)に経費精算のサポートを受けるために部門の秘書さんへのお土産用として必死に手に入れました。

こうした高額チョコレートは、それなりの需要はあるのですが、普段はそこまで売れるものではありません。そんな高いチョコレートがバレンタインデーの時には飛ぶように売れてどこかに行くわけですから菓子メーカとしては書き入れ時。しかし、少し考えてみるとこれは恐ろしく季節性の高い商品とも言えます。

バイクも季節商品?

季節性の高い商品というと例えばバイクなどがありますが、これも真冬にはほとんど売れません。受注してから生産していると商機を逸するので、ある程度需要予測をせざるをえません。

近頃は在宅勤務で少し時間が自由になったこともあり日本では二輪免許を取る中高年が増えて、結構売れているそうです。メーカ某社では、昨年上半期はアメリカンタイプが売れたそうですが、まあ中高年ともなるとお腹がでてしまって前傾姿勢で乗るのがつらいのかなあと思います。珍走団も減った上に、原付が売れなくなってきて、とどめに1種原付が排ガス規制をクリアできなくて売れなくなるという話もあります。そんな中では明るいニュースの一つかもしれません。

もっとも私も含めて中高年はそこまでお金があるわけではないので前出の「売れたアメリカンタイプ」は当然車検のない250ccです。価格もスポーツバイクが70万以上するところ、60万弱で買えるというのも魅力でしょう。

在庫を安値で売りさばく?

季節性という観点ではバイクと同じですが、バレンタインのチョコレートは大半が2月14日以前に売れるとなると売れ残る=売れない=廃却ということになってしまいます。また食べ物ゆえ、賞味期限というものがあり、先作りするのも限界があり、また売れ残ると処分に困ります。これがスーパーの弁当とかだと最初は10%引き、閉店間際になると半額とかシールが貼られていきます。

顧客の立場に立つと、購入タイミングがなかなか難しく、10%の時点ではある程度の選択肢がありますが、割引率が多くなると需要曲線と供給曲線の交差ポイントの価格が高いものから売れていきます。そのため、あまり待ちすぎると選択肢が無くなってあまり魅力的でない弁当を買わなくてはならなくなります。特に唐揚げとかだと時間が経つと固くてべたべたになってしまうので、どうしようかと迷ううちに品切れになり、結局コンビニ弁当で同じ冷たい唐揚げ弁当を買う破目になります。

どうも縁がなかった話をすると話が逸れがちですが、売れ残ったチョコレートが厄介なのは高くふっかけた分、安易に安売りができないということです。需要予測には限界があります。輸入を含めた新規参入も多く、昨年と同等のものが売れるとデンと構えて殿様商売できるのはベルギーの某社くらいのもので、通常は在庫に悩まされることになります。

在庫リスク回避のウルトラC

SCMにおいて在庫リスク回避は大きな命題。バレンタインデーで仕入れた大量の在庫をどう処理していくかがカギとなります。ここで救世主のごとく現れるのがその1か月後に「チョコレートが売れるならクッキーも売ろう」とでっちあげた「ホワイトデー」なる不思議な記念日。こちらは、なんで義理チョコのお礼がこんな高いんだと思いながら買わなくてはならなかったので、よく観察しています。

最初はクッキーを売るとか言っていましたが、売り場を観察していると、ホワイトデーの特設売り場には、どう考えてもバレンタインの売れ残りみたいに見える商品が並んでます。つまり、ホワイトデーとはバレンタインデーのセーフティネットであり、売れ残った時の保険も兼ねているようです。

ここで教訓を一つ学びました。
「需要がなければ作ればいいじゃない」

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