昔は日陰、今はスター
国内輸送
まずは国内から見ていきましょう。基本管理単位は「日」です。1日トラックが来なかったらおそらくドックが製品で溢れて前工程を止めざるを得なくなります。逆にかつて有名になった逸話で、トヨタ生産方式をコンビニで取り入れたら2トントラックに菓子パン2つしか積んでいなかったなんて話も残っています。読者の皆さんには原因はおわかりと思いますが、ここで重要なことは輸送についても計画を立てなくてはいけないということです。その際、物流を工程の一部として考えれば理解が容易になります。
最終的に顧客に納品するまでの日次完成計画の一部として日次輸送計画を立て、最終検査終了の締め切り時間とトラック時間を合わせる計画を立案する。ここで問題になるのが2トン菓子パン2個問題(勝手に命名しました)です。平たく言えば、荷物量とトラックの容量をマッチングさせるということです。ここで管理すべき項目は完成計画の精度と積載効率となります。
海外輸送
海上、航空ともそれぞれ管理上の難点があります。まずは海上。一番大きな問題はタイムラグとバッチ処理であることでしょう。
お隣の中国からモノを運ぶには1週間から2週間見なくてはなりません。USは2-3週間+陸送、欧州に至っては6週間-7週間+陸送となります。納期8週間でOKという優しいお客様ならともかく、そうでない場合、どの計画も必然的にずれます。また船は週に1-2便あればいいほうで、コンテナの確保、船の予約などさらにリードタイムがかかります。これだけの変動要素があるので、全部OKなどということは奇跡的で、都度何が悪かったかを分析しなくてはなりません。しかしこれは要素が増えただけの話、と考えれば別に慌てる必要はありません。さらに海上輸送の場合は荷物のトラッキングができないケースがあります。軒下渡しで「いってらっしゃい」と送り出すとあとはフォワーダ任せ、という場合、ごくまれに(でもないですが)特定の国で入国時に止まってしまうというような事故が起きます。これをいかに把握するかというのも重要なポイントになります。
航空輸送
サプライチェーンのKPIの注意点
初回にData、Information、Intelligenceの違いという話をしましたが、KPIはIntelligenceでなくてはなりません。つまり事象を解釈し、何が原因かをそれで理解できる必要があります。もうおわかりと思いますが、在庫日数は多くの場合、KPIにはなりません。なぜそれが発生したかが出せないとKPIにはならないということです。在庫日数をKPIにしたがために毎月言い訳レポートを書く破目になったお客様もおられます。今週はこれが原因、対策はどうする?というような前向きな議論が出来るのがベストであり、「なぜこんなに在庫が増えたんだ、説明しろ」というような会議ばかりでは人間関係も殺伐としてきます。
次回最終回はこのヒトのKPIについて少し触れたいと思います。
Maestro(旧称:RapidResponse)
S&OP分野でのグローバルリーダーに位置づけられるクラウドサービス
執筆者紹介
連載コラム:SCM KPI活用の糸口
SCMのKPIを考える際のエッセンス、よくある落とし穴について簡単にご紹介します。貴社サプライチェーン改革のヒントがここにある(かもしれません)。
(1記事5分程度でご覧いただけます)
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