非常時とは何か?あまり広げると常に非常時になってしまいますが、これは難しい問題です。サプライチェーンは毎日何かが起きます。逆の意味では日常のほうが珍しいかもしれません。
ここではレタスを題材にしましょう
スーパーマーケットではレタスという野菜があります。これはほとんど国内生産というか、海外から持ってくることがほとんどできません。アスパラとかはメキシコから太平洋を越えてきますが、レタスは何をやってもそんなに日持ちしない。だから輸送の迅速さが重要になります。
千葉県に住んでいると農業県であることを実感しますが(北海道に次ぎ全国2位の出荷高を誇っています)レタスは茨城あたりからも来ます。消費者は見た目で選びますから「採りたて」であることが重視されます。
採りたてとは?
「採りたて」で輸送して店頭に並べるためには、梱包は簡略的、鮮度は保証するという要件が必要で、これが流通経路で差が出ます。契約農家とスーパーの間の時間と距離、レタスはこれで差が出てしまうわけです。他の野菜と同じ流通方式だと管理上どうしても集荷分配になりますが、梱包が簡略化されているため、衝撃、湿温度変化の影響がどうしても出るわけで、この方式をとっているとおぼしきスーパーで、「採りたて」と表示されたレタスを買ったら2-3日で表面が液状化してしまい、半分になってしまいました。まあ128円だったのであまり文句は言いませんが、どう考えても当日朝に収穫したとは思えない鮮度でした。
閑話休題。
レタスのサプライチェーン特性は?
レタスは季節性があり、集荷先(発送元)と出荷数も日次調整必要。計画立案から実行までのリードタイムが恐ろしく短いサプライチェーンで、同じスーパーで売られているウィンナーソーセージなどの加工肉とかからすると、やっていることは「非常事態」に見えますがレタスにとってはこれが通常です。しかも単価が安いのでお金はかけられない。サプライチェーンそのものをアウトソースしているケースもあり、場所を確保して、何を持ってくるかを地元の農協とかにまかせるということもやっているスーパーもあります。
特性を見極めないと目的と手段が逆転することも
サプライチェーンを構築するにあたっては、まず基本特性を見極めることが重要です。
その特性に従って分類し、分類ごとに通常、非常を定義していくことが必要になります。その際主体をどちらにするか、コストが見合うか、も重要でしょう。
過去、農道離着陸場というものがありました。80年代後半に「新鮮な野菜を消費地に届けるには飛行機が最適」と各地に空港を作り、ほどなく本来の目的では全く使われず、維持管理が地元の負担になってしまいました。工事は一時的にお金が落ちますが、最終的に地方の負債はかなりのものになったようです。計画当初より輸送コスト、建設・維持費を考えると黒字化はとても無理との批判の声が強かったにも関わらず、バブル期で経済規模が拡大している時代でもあり、地方自治体や農水省は結果的に実態とかけ離れた需要予測を元に建設を推進してしまいました。安価な農作物を飛行機で輸送となると採算の問題はすぐに分かりそうですが、基本特性の見極めが甘かった事例でしょう。
余談:ものは届いてなんぼ
よく言われるのは山の上とかで、缶飲料の値段が高いからぼったくっているという人もいますが、輸送費と販売量を考えると別に高いとは思わなくなります。
価格は物そのものの仕入れ価格とそれを販売するまでにかかる費用、それから販売にかかる費用、目標利益で販売価格を決めることになります。私が工場にいたときには、これを理解していない人も多く、仕入れ価格で出せとかいう、御方もいました。もちろん断りましたが。。。
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レタスは季節性があり、集荷先(発送元)と出荷数も日次調整必要。計画立案から実行までのリードタイムが恐ろしく短いサプライチェーンで、同じスーパーで売られているウィンナーソーセージなどの加工肉とかからすると、やっていることは「非常事態」に見えますがレタスにとってはこれが通常です。しかも単価が安いのでお金はかけられない。サプライチェーンそのものをアウトソースしているケースもあり、場所を確保して、何を持ってくるかを地元の農協とかにまかせるということもやっているスーパーもあります。
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コラム:サプライチェーンよもやま話
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