SCMよもやま話

コラム:サプライチェーンよもやま話

モーダルシフト

モーダルシフト

現在の国内物流の主流はトラックです。鉄のホットコイルみたいなものは船で運ぶことがありますが、これは出し元も行き先も海岸沿いにあるからできる話。私はかねてから、鉄道の活用をあちこちで主張してきたのですが、これもなかなか進みません。

鉄道の利点と欠点

鉄道の利点は圧倒的な輸送力です。トラック数十台分を1編成で運んでしまいます。ではなぜ使われないか? 理由は明快で柔軟性とボトルネックの存在です。貨物列車は旅客ダイヤの間を縫って走ることも多く、また夜間は保線作業があるので自由に走れるわけではありません。もっと深刻な問題は積み替えターミナルの効率性です。よくトラックだとラストワンマイルという言い方をしますが、これは中距離までは中型もしくは大型トラックで運べるけど、最後の1マイル(1.6㎞)は個別配送となるという話です。ネットワークでもよく言われます。しかし、鉄道ターミナルはすべての駅にあるわけではなく、あくまでも長距離輸送の代替手段です。中距離は積み替えになりますが、コンテナ車からの積み替えになるので最低でも10ftコンテナを運べるトラックが必要になります。工場への部品供給でも物量があればこれでも大丈夫でしょうけど、混載コンテナでは個別配送は無理、ということはもう一回積み替えが必要になります。

鉄道の用途

千葉に住んでいるとアマゾンの倉庫が近いので朝依頼したものが当日に届くこともあります。九州の会社からくる場合でも翌々日には届きます。つまり鉄道は個人向けの輸送には向かないということです。法人向けの輸送はどうか?というとここで問題になるのがサプライチェーン計画の精度とリスク管理。貨物鉄道会社には効率アップを期待したいところですが、それでもトラック輸送に比較すると1-2日の差はでます。これが計画管理で吸収できるようになれば、輸送は大幅に効率化しますし、一般道路の渋滞もかなり緩和するでしょう。実際某自動車メーカなどでは東北地区向けの部品で一部実行しています。

キャリアからフォワーダへ

さらに言えば、コンテナを一つの「パイプ」として全体のサプライチェーンを設計するようなアプローチがあってもよいと思います。つまり貨物鉄道会社そのものがキャリアではなくフォワーダとして機能するようにする、逆に言えば、荷物の受付から行き先物流拠点まで運ぶというビジネスにするほうが効率的だと思います。もっともそのためには変化する荷量をどう割り当てるかというシステム化が必須です。手作業ではこのパズルは解けないと思います。

将来像を描くのは誰?

トラック輸送から鉄道への切り替えはCO2排出量、道路整備費用など、かなりの効果が出るとは思います。トラックは重量があるため燃料を消費するだけではなく、道路の傷みの原因にもなります。受益者負担ということで、トラックの高速道路料金を車軸数で決めている国もあります。CO2排出量に関してはトラックを電動化すればいいという議論もありますが、航続距離が問題になりますし、恐ろしく高価で鈍重、しかも足の短いトラックになります。しかも昨今の電力不足を考えると電動化はあまり得策ではないでしょう。バスやトラックが全部夜間に充電始めたら現在の電力の余力からすると大規模停電を引き起こすかもしれません。

トラック運転手も高齢化し、不足し始めていることからも、全体最適の政策としてこういう話が出てきてもいいと思いますが、短期的にはトラック業界からは反発されるのでなかなか進めにくいとは思います。現在鉄道活用に関してはタスクが立ち上がっているようですが、業界の失業問題も含め、ロングレンジでの検討をさらに深めていただければと思っております。

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レタスは季節性があり、集荷先(発送元)と出荷数も日次調整必要。計画立案から実行までのリードタイムが恐ろしく短いサプライチェーンで、同じスーパーで売られているウィンナーソーセージなどの加工肉とかからすると、やっていることは「非常事態」に見えますがレタスにとってはこれが通常です。しかも単価が安いのでお金はかけられない。サプライチェーンそのものをアウトソースしているケースもあり、場所を確保して、何を持ってくるかを地元の農協とかにまかせるということもやっているスーパーもあります。

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