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Book56 : デジタルエシックスで日本の変革を加速せよ 対話が導く本気のデジタル社会の実現

ご紹介書籍

デジタルエシックスで日本の変革を加速せよ 対話が導く本気のデジタル社会の実現

著者:今岡仁, 松本真和, 伊藤宏比古, 井出昌浩, 島村聡也
出版社:ダイヤモンド社

「エシックス」とは耳慣れない言葉です。エシックス(ethics) は倫理、道徳、善悪といった意味を持ち、デジタルエシックスという文脈では、道徳的考え方や、倫理に関する原則のことを示します。昨今、AIの台頭による思わぬ軋轢や、フィッシング詐欺、ダークパターンと呼ばれる 利用者を不利な決定に誘導する悪さなどが問題になってきています。

企業としては短期的な利潤を追い求めるだけではなく、 社会的に有意義な活動によって結果的に有益な経済活動となることが理想であると考えられるようになってきました。
一見「倫理」や「道徳」という言葉が全面に出てくると、あれも無理、これも無理、ルールに縛られるような気がしますが、本書では「エシックスは足踏み状態を解消して前に進ませるアクセルの役割」になると解説されており、法的要件のクリアや、信頼の獲得、SNSでの扱い、AIと人権に関するポリシーなどをはっきりさせることで、曖昧で停滞していた案件を、確証を持って前に進めることができ、失敗を避けられると解いています。

また、概念的なことにとどまらず、デンマークデザインセンターが企業8社と作り上げた「デジタルエシックスコンパス」が詳しく紹介されており、悩める状況への「羅針盤」の役目を果たしてくれます。 このコンパスでは、基本原則、配慮すべきデジタル技術に基づいた22個の問いかけが用意されています。

例えば:

  • 利用者の間で不平等を生むことを防ぐ
  • 利用者の感情を、もてあそばない
  • 意図的に利用を難しくしていないか
  • 安易な仕掛けで中毒性を持たせようとしていないか
  • 利用者の注意力の低下につけこんで不利な事柄を進めようとしていないか

一見、こういった細かい事柄に配慮すると、コスト増になるという考えもありますが、 実際のところ新しい技術を受け入れる際や、サービスが拡大した際に後ろ指を刺されたり悪評が広まらないようにデジタルエシックスに十分な配慮を進めた方が、結果的に利益や利潤に繋がるという事例も数多く紹介されています。
最新のテクノロジーやアイデアをどう一般に受け入れてもらうか、そういった悩み事へのひとつの回答として役立つ書籍です。

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