連載コラム:今すぐ読むべき、仕事に活かす書籍紹介

Book36 :システムを作らせる技術 エンジニアではないあなたへ

ご紹介書籍

システムを作らせる技術 エンジニアではないあなたへ

著者:白川 克、濵本 佳史
出版社:日本経済新聞出版

本書は、いわゆる SIer(システムインテグレーター)とは逆の立場、事業会社に所属し、SIerにシステム構築をお願いする立場から、どういう切り口で、どう要求したり相談したりすれば、求めるシステム、場合によっては求める以上のシステムが構築できるかといった観点から書かれている珍しい書籍です。

タイトルにある「作らせる」は、少々上から目線の言葉ではありますが、内容は充実しておりそんなことはありません。本書のタイトルの通り、システム開発を依頼する立場の人は、作らせる立場でもあり、最新のIT技術に詳しいわけでもなく「自分たちの仕事に詳しい」人であり、そこでの仕事をどうシステム開発で手助けできるかが、いつも課題になります。

担当者はITシステムそのものには詳しく無くとも、何を優先すべきなのかを判断する必要があります。
また無限に費用と時間をかけられるわけではないので、何に投資すると一番価値が得られるのかを考えなければいけません。
社内の情報システム部やシステム開発を行うベンダーに、どう依頼すれば適切に受け取ってもらい、求めるものを作ってもらえるのか? システム開発に関わる人が日々出会うであろう葛藤や様々な課題を事例とともに解決策や道筋が紹介されています。

実際の仕事でも、すぐに役立ちそうなポイントがわかりやすく解説されています。

  • 優先順位の決め方。何を先に、何を優先的に作ってもらうのが良いのか?
  • 機能として要件定義できること以外の、要求事項のまとめ方。実施すること実施しないことを決める。
  • システム開発パートナーの選定の仕方、選定のための観点
  • 社内におけるシステム開発の投資承認の説明、決済のための手順や方策
  • 社内チームの立ち上げ方、開発中のベンターへの関与の仕方。ゴールを皆で共有する。
  • 新システム移行前の課題出し、データ移行、新システム稼動後の作業


著者の方々が経験してきた数々の現場、いうなれば修羅場のようなシステム開発の経験から、それらの原因や背景を理解した上で、開発ベンダーの立場を押し付けるのでもなく、さまざまな事情を考慮した上での最適解を提示しています。
現状維持を求める現場の要求を理解した上で、本質的ではない細かい要素にこだわりすぎず、最適なシステムを作ってもらう方法が指南されています。
本書の内容は特に新しいサービスのためのシステム構築というよりは既存システムのリプレースや、現状の仕事をどうシステム化しDXを推進していくかといった用途に向いていると言えるでしょう。
著者は「システムは誰かが作ってくれるものではなく、自分で作るもの!」と言い切っており、職種やスキルに関係なく、全てのビジネスパーソンに役立つ本です。

本コラムの更新案内をメールでお届けします

本コラムは、IT業界で働く皆さんに役立つ書籍をわかりやすく紹介するコラムです。
業界内で話題になった本、最新技術を紹介している良書、知識として身につけておいて損はない情報、
IT業界での働き方や仕事の仕方に役立つ書籍を厳選して紹介するものです。

連載コラム:今すぐ読むべき、仕事に活かす書籍紹介

「巨人の肩の上に立つ」という言葉があります。これは先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見する、先人の知識や経験のおかげで、自分はまだ小さいけれど高いところから見渡せるようになるという比喩です。

本コラムでは、IT業界で働く皆さんにとっての巨人となるべく、業界内で話題になった本、最新技術を紹介している良書、知識として身につけておいて損はない情報、IT業界での働き方や仕事の仕方に役立つ書籍を、比較的新しいものからチョイスして紹介するものです。

お問い合わせ

CONTACT

Webからのお問い合わせ
エクサの最新情報と
セミナー案内を
お届けします
ソリューション・サービスに関する
お電話でのお問い合わせ

平日9:00~17:00※弊社休業日を除く