ご紹介書籍
『DX(デジタルトランスフォーメーション)経営戦略 DXはテクノロジーだけでは実現しない!』
著者:ジェラルド・C・ケイン、アン・グエン・フィリップス、ジョナサン・コパルスキー、ガース・R・アンドラス
出版社:NTT出版
本書は「The Technology Fallacy / How People Are the Real Key to Digital Transformation」(抄訳:テクノロジーの誤解/デジタルトランスフォーメーションの真の鍵を握るのは人々であること)という原題です。
技術面からのDXではなく、人と人の関わり合いや組織論からアプローチしたデジタル時代におけるDX浸透への指南書です。
米国のDXに関する先進的な取り組みを行っている企業へのインタビューを行い、具体的な事例が紹介されています。
本書で述べられている企業におけるDX浸透のポイントは次のとおりです。
- 企業文化の醸成、必要な人員の確保、DXに必要な組織構造、業務の把握、それらが揃って、初めて成果が得られる
- 企業や事業そのものが未成熟の場合は、DX化だけを急いでも成果につながらない
- 不用意に企業外のDX人材を招き入れると、現場との乖離が生じ、企業文化にそぐわない場合がある
- いきなり外部人材を登用するよりも、既存社員のDXスキル向上・育成が得策
- いきなり大成功はあり得ない。実験や試作を繰り返しながら先に進む。実証実験で終わらないように
本書では例えとして「ダクトテープ(ガムテープ、粘着テープ)」による修繕が紹介されています。
これはアポロ13号月着陸船で起こった故障の際に、どんな最新テクノロジーよりも、ダクトテープに助けられたことに由来しています。
「デジタルトランスフォーメーション」でも同じで、仰々しい誇大表現に惑わされず、高額なツールの導入や巨額の予算ではなく、人の知恵と工夫によって数々のDXが可能であることが述べられています。
本書が推し進める組織論として、次のような切り口でDX人材をとらえています。
- デジタル時代のリーダーシップとは何か?今までとの違いは?
- デジタル時代に必要な心構えとは?
- デジタル人材を引きつける組織とは?環境とは?
本書はDXという視点に限らず、IT戦略を推し進める企業や、デジタル技術を取り扱う企業にとって、活用のしがいのある内容が満載の書籍です。
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