連載コラム:スマート工場を実現する道筋

第2回:設備保全の初級 どんな保全方式があるのか?

前回のおさらいと今回のテーマ


皆さん、こんにちは!全8回にわたるコラムシリーズの第2回目へようこそ。
このシリーズでは「未来に向けたスマートな保全活動をするためには?」を皆さんと一緒に探求します。


前回の第1回では、
保全員が抱える悩みや、現場の悩みから発生する企業問題についてみていきました。

第2回のコラムでは、
保全の手法はどのようなものがあるのか、適した保全方式はどのように選択するのかをみていきます。

設備保全の初級 どんな保全方式があるのか?

前回ベテラン保全マンの山田さんとの会話で保全員が抱える悩みについて理解した技の芽ちゃん。
今度はその悩みを解決するために保全方式について勉強するため、今日もお世話になっているベテラン保全マンの山田さんのもとへやってきました。
こんにちは、山田さん。
前回は保全マンたちの悩みを教えてもらいましたが、
今回はその悩みを解決するために、どんな保全方式があるのか教えてください!
保全方式には色々種類があるけれど、それぞれの特徴を理解することが大事だよ。
まずは基本的な保全方式を学んでいこう。

保全方式の種類

保全方式にはいろいろな種類があるそうです。
保全の事後保全、予防保全、予知保全に分類される5つの保全方式について山田さんと一緒に見ていきましょう。

1.事後保全(Breakdown Maintenance)

事後保全は、設備が故障した後に修理や交換を行う方法だ。この手法には、通常事後保全緊急保全の2つのアプローチがある。

通常事後保全

「通常事後保全は、設備が壊れるまで使い続けるやり方だ。
例えば、電球みたいな消耗品だと、壊れてもすぐに交換できるから、この方法がよく使われる。
計画的に『これが壊れるまで使い切る』って決めておいて、故障したら新しいものに取り替える。あらかじめ準備されたメンテナンスはせずに、使い切ることを前提にしているから、
メンテナンスの頻度やコストを最小限に抑えられることがメリットだ。」

緊急保全

「緊急保全は想定していない設備の故障を前提にしているんだ。大型の製造機械が急に止まってしまったら、すぐに修理しなきゃいけないよね?
そういった、故障が発生すると生産が止まってしまう重要な設備に使うことが多い。
事後保全は予測できない故障に備えて常に部品や修理チームを用意しておく必要があるし、修理が遅れたら生産スケジュールにも影響が出る。
緊急の対応はどうしてもコストがかかるし修理の費用だけじゃなくて、設備が止まっている間の損失も考えなきゃいけないんだ。」

2.予防保全(Preventive Maintenance)

予防保全は、故障が起きる前に計画的にメンテナンスを行う方法だ。
これには、定期的に時間に基づいてメンテナンスを行う時間ベース保全と、設備の状態を監視して必要な時にだけメンテナンスを行う状態ベース保全の2つがある。

時間ベース保全(Time Based Maintenance)

「これは定期的に決まった時間でメンテナンスをする方法だ。
例えば、半年ごとに機械の点検や部品交換を行う。計画的に進められるから、予期せぬトラブルを防げるっていうメリットがある。
でも逆に、まだ使える部品を交換したり、無駄な作業が発生することもあるのがデメリットだな。

状態ベース保全(Condition Based Maintenance)

「状態ベース保全は、センサー等を使って機械の状態をリアルタイムで監視するんだ。
振動や温度のデータを収集して、異常が見つかった時点でメンテナンスを行う。
これによって、必要な時にだけ対応するから、無駄な作業が減るんだよ。
ただ、状態を判断するための閾値設定が難しくて、その調整が重要なポイントになるよ。」

3.予知保全(Predictive Maintenance)

予知保全は、設備のデータをもとに故障を予測し、最適なタイミングでのメンテナンスを可能にする手法だ。

予知保全

「これは、さらに進んだ方法で、状態監視にもとづいて設備がいつ故障しそうかを予測するんだ。
センサー等から収集したデータを分析して、機械の故障タイミングをAIやデータ分析で予測するんだよ。
この方法のメリットは、最適なタイミングでメンテナンスを行えることだ。無駄な作業をさらに減らせるだけでなく、機械のダウンタイムも最小限に抑えられるんだ。
ただし、この方法は必要なデータの蓄積や高度なデータ分析技術が必要で、初期導入コストがかかることが課題だよ。」

さて、事後保全、予防保全、予知保全についてはわかったかな?
はい、それぞれの保全方式にメリットやデメリットがあるんですね。
ただ、設備に対してどの方式が最適なのか選べばいいのかよく分かりません…
じゃあ保全方式をどのように選択したらいいか基準をみていこうか。

保全方式の選択方法

設備ごとに保全方式をどのように選んだらいいのか、それぞれの選択基準を確認していきましょう。

1. 通常事後保全

  • 選択基準:消耗品や重要度が低い設備に適用され、故障が生産に大きな影響を与えない場合に選択。


「通常事後保全は、設備が壊れるまで使うっていうシンプルな方法だ。コストを抑える方法だから、無駄を避けたいときにはこれがベストだ。」

2. 緊急保全

  • 選択基準:重要な設備に対し、予測不能な故障時に迅速な対応が必要な場合に選択。


  • 「緊急保全は、生産に直結する重要な設備が突然壊れた時の選択肢だ。費用がどれだけかかってもすぐに対応しないと安全や生産に大きな影響が出る場合には、緊急で対応することが必要だね。」

    3. 時間ベース保全

  • 選択基準:重要な設備に対して、安全性を確保するために定期的なメンテナンスが必要な場合に選択。


  • 「時間ベース保全は、予期せぬ故障を防ぐために定期的にメンテナンスを行う方法だ。特に、設備が止まると困るような重要な設備の場合には、余計なメンテナンスコストがかかったとしてもしっかり定期的に保全をするこの方法が最適だよ。」

    4. 状態ベース保全

  • 選択基準:設備の状態をリアルタイムで監視ができ、必要なタイミングで保全を行いたい場合に選ぶ。


  • 「状態ベース保全は、異常を察知したタイミングで対応する方法だ。設備の状態を監視できる環境があれば、無駄なメンテナンスを避けて効率よく進められるよ。」

    5. 予知保全

  • 選択基準:センサー、AI等のデータ分析が可能な環境が整っている場合、重要な設備に対して選ぶ

  • 「予知保全は、データ分析やAIを使って設備が壊れるタイミングを予測する高度な方法だ。
    ただ、これは導入に時間やコストがかかるから、すぐに全ての設備に適用するのは難しいかもしれない。
    それでも、将来的にはこういった技術が必須になってくるんだ。
    だから、今のうちからデータを蓄積したり、技術に投資して準備しておくことが大事だよ。
    将来的には、効率も上がるし、設備の寿命も延ばせる可能性が高いよ。」
    なるほど!設備ごとにその設備の重要度、かけるコストやかかるコスト、環境が整っているかによって保全方式を決めていったらいいんですね。
    そうだね。それに、最適な保全を把握することで、今は環境が整っていないために実施できない保全についても、将来に向けた準備が大切になってくるよ。
    今回は簡単にそれぞれの保全方式について説明したけれど、次回は、TBMやCBM、そしてRBMといった具体的な保全方式について詳しく説明しようか。
    はい、それぞれの方式についてさらに深く理解したいです!

    次回予告

    どのような保全方式があるのか、どのように保全方式を選択していくのかについて理解していただけたでしょうか?

    次回は、3回目と4回目に分けて、
    中級編:時間保全ベースや状態保全ベースについて
    上級編:予知保全について、それぞれの保全方式について

    をより詳しく見ていきます。

    より良い保全現場の実現向けて、一緒に一歩ずつ学び、実践していきましょう。
    それでは、次回もお楽しみに!

    連載コラム:スマート工場を実現する道筋

    現場でどんな悩みがあるのか?各設備に適した保全手法は?スマート工場を実現するためにはなにが必要なのか?と気になる点をまとめました。
    保全現場の改革を推し進めるガイダンスとして、ぜひご活用ください!
    (1記事5分程度でご覧いただけます。)

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