(1)設備保全の現状の問題
IBM Maximo、Maximo Base Kit紹介資料
IBM Maximoの概要からMaximo Base Kitのカバー範囲、Maximoを活用した設備管理・作業管理のPDCAイメージと実際の画面を用いて各主要機能の詳細を説明しています。
※「Maximo Base Kit」はIBM Maximoをベースとした短期導入・低価格ソリューションです
(2)保全戦略および保全計画の策定
保全計画は、増大する保守コストの抑制と、設備ダウンタイムの削減や事故発生の回避のバランスが取れた計画が求められますが、保全計画の予算は前年比で組まれることが多く、根拠をもとに必要な保守を特定した計画が作成できないケースが多いようです。この原因として保守効果を測定したデータを収集・分析して保守の優先度を決定できていない点が挙げられます。
保全計画策定プロセスの詳細は、企業により多少の違いが見られますが、概ね、図2に示しますように、分析や優先度を設定する保全戦略から実行方法としての保全計画を導出するプロセスになっています。最初にリスク分析、故障解析を行い、適用可能な保全方式、保全箇所の優先度を決定して保全戦略を作成します。
保全方式では、対象物により、①事後保全、②時間基準による予防保全、③状態基準保全(condition-based maintenance)による予知保全や、④信頼性中心保全(Reliability-centered maintenance)を選択します。これらは、保全時期、機器の寿命推定から検査時期、状態監視箇所をもとに検査を行い、コストと信頼性のバランスが取れた保全計画を策定します。
これら一連のプロセスでは、検査対象設備、機器の詳細な情報、実施する体制とスキルを保有する要員、調達した部品など、設備に関わるヒト、モノ、カネ、メンテナンス業務に関わる様々な情報を一元化し、プロセスの各所で評価分析のためにこれらの情報を活用する環境が必要です。
IoT時代到来 予知保全への挑戦
執筆者紹介
連載コラム AI・IoTによる未来の保全
わが国は、社会インフラ、多くの産業の成熟化、高齢化、少子化に伴う人口構成の変化から、先進国でも未経験の未来を迎えようとしています。戦後から50年以上建設を続けて来た社会インフラはもとより、製造業では高度成長期に花形産業だった大規模プラント、工場が建設時期の順に老朽化を迎えており、事故の発生件数が増加しつつあり、いずれ活用できなくなる時期が目前に迫っています。労働力人口の急激な減少加えて、ベテラン社員の退職によるノウハウの喪失が顕著になっており、災害後の早期の復旧ができないどころか、施設や設備を維持することも難しくなることが容易に予想できます。
従来、資産管理(アセットマネジメント)は、資産を維持するコストで見る傾向にありましたが、本来はISOで定義されているように設備稼働維持のPDCAの運用で見るべきであり、近年、国家や産業の成長が見込めない中で、既存の資産(アセット)を如何に効率的に維持しながら利用できるかといった観点が見直され、必要不可欠な経営手法と注目されています。
本コラムでは、近年、盛んに導入されているデジタル化や欧米で盛んに取り組まれている第四次産業革命のコアとなっている設備保全手法も含め、次世代の保全のあり方について議論します。
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