【第1話】プロジェクト管理って難しい・・・PMOって重要
1.金融業界で求められる開発プロジェクトとは
一般に「金融業務」というと、堅苦しく古めかしい帳簿と伝票のイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかし、近年の情報技術革新の影響を受けて、金融機関と金融業務は大きく変化しており、従来のイメージでとらえることは正確ではなくなってきています。実際、現在の金融機関における金融取引の実務は、各種の金融情報システムによって支えられています。
金融情報システムとは、金融機関及びその関連組織が開発し、あるいは利用している、金融取引を行うための各種情報通信システムのことです。一般の人々にも身近な小口の金融情報システムとしては、銀行の現金自動預入支払機(ATM:Automated Teller Machine)、商店の店頭に置かれた電子マネーやクレジットカード決済用の端末装置、あるいは携帯電話やインターネットを通じた銀行取引や証券取引のためのシステムなどがあります。これに対し、金融機関の内部には、本支店間や同業他社の金融機関との間を接続する様々なコンピュータ・ネットワークが張り巡らされ、そこに様々な業務システムが接続されています。世界的な情報通信ネットワークが発達し,国内と海外の金融市場の統合化が進んだ結果、国際的な金融取引がリアルタイムで行われるようになりました。
金融業界の主要企業の多くは、銀行であれ、証券会社であれ、保険会社であれ、大口顧客から小口顧客まで幅広いレンジを取引先としています。同一の金融機関であっても、個人を取引相手とする業務と、大手企業や同業者を取引相手とする業務は、その形態が大きく異なります。このため、情報システムも、想定している取引相手先によって異なることになります。 例えば、銀行の情報システムについてみると、小口顧客を取引対象とするリテール・バンキングと呼ばれる銀行業務には、キャッシュカードによるATM取引、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、インターネット・バンキングといったものが含まれます。一方、 大口顧客や同業者を取引対象とするホールセール・バンキングと呼ばれる銀行業務には、短期金融市場、株式・債券市場、外国為替市場での取引や、国際的な金融取引が含まれます。
このように、各々の業務において利用される情報システムも異なります。そして、近年では顧客ニーズの多様化が進み、関連する業務やサービスも急激に多様化しています。そのため、多種多様な情報システムを連携することによって、その業務やサービスを実現する情報システムを作り上げる重要性がますます加速しています。
本コラムでは、複数の情報システムを連携することによって金融サービスを実現する金融情報システムの開発プロジェクトにおいて、プロジェクトを統括する企業のシステム部門側の立ち位置から、どのようなプロジェクト管理を実施したかについてご紹介して参ります。
2.一般的なプロジェクト管理と課題について
まずは、一般的なプロジェクト管理についての説明と、エクサが考えるプロジェクト管理における組織面と運営面からみた課題、そしてプロジェクトにおける推進上のポイントについて説明していきます。
2-1.一般的なプロジェクト管理の目的
それでは、プロジェクト管理とは何かについて説明します。プロジェクト管理は、リスクを最小限に抑える「計画」の実施と、「実行」時に発生する問題や差異をモニタリングおよび「評価」の実施、また差異に対する変更管理を実施し「是正対応」することのPDCAサイクル活動を指します。多様化、複雑化する今般の活動においては、特に計画の実施と評価・是正の活動が重要となります。
2-2.プロジェクト管理の成熟度
2-3.プロジェクト管理リソースの2極化
上記で説明したプロジェクト管理が一般的に普及してきた近年では、プロジェクト管理のリソースは内製化と外注の二極化がみられる傾向にあります。
そのような傾向のなかで、内製化と外注の検討は、企業のプロジェクト管理成熟度、リソースやプロジェクト内容や専門性有無によって判断される傾向にあります。
2-4.一般的なプロジェクト課題の理解
2-5.エクサの考えるプロジェクトの課題(組織/運営)
エクサの考えるプロジェクト管理における課題は、プロジェクトや組織を横断して発生する全体的な課題と、個別プロジェクト単位で発生する課題が混在します。
組織の戦略目標により近い業務プロジェクトにおいては、全体的な課題がより影響力が大きく重要な課題となります。
逆に個別プロジェクト課題は、そのプロジェクト自体の成功や品質に大きく影響を与える課題となります。
2-6.プロジェクトにおける推進上のポイント(横断課題/個別プロジェクト)
統合的な管理により管理プロセスや管理ツールの整合管理を行なうことが重要です。また、管理の標準化や規定類の整備を並行して行なうことが重要です。
2-7.PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)とは
個別プロジェクトや横断的な全体プロジェクトにおいて、このような課題を抱える中で、プロジェクト管理の重要性が認識されるようになりました。そして、IT系や業務系におけるプロジェクト活動や組織活動においては、プロジェクト管理を専任的に行なうPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を配置することが普及し始めました。特に、複数のチームを擁する活動や複数の部署が関わる複雑な活動においては、標準的に配置されています。
また、複雑なプロジェクトや長期的なプロジェクトに配置される傾向があったPMOは、その重要性が認識され中・小規模のプロジェクトにおいても適用されるケースが増えています。
プロジェクト単体のPMOが標準的に配置され始めてからは、それぞれのプロジェクト群を統合的に管理するプログラムマネジメントや組織単位での管理を行なう企業も増えています。
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