Book30 :『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』

執筆日:2021年8月4日

     ご紹介書籍 

    『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』

    著者:オードリー・タン
    出版社:プレジデント社

台湾のIT担当大臣、IQ180のプログラマとして最近メディアで取り上げられることの多いオードリー・タン氏。
本書は三ヶ月にわたる延べ20時間におよぶオンラインインタビューから構成されています。
台湾の新型コロナウイルスの封じ込めにおいて、どのようなIT活用、どのような思想プロセスで実行していったのかをたどっていくことができます。例えば新型コロナウイルスの「マスク施策」では、対面やアナログ的手続きしかできないところから対策を講じ、既存のデジタル技術を活用し素早く対応できるよう、問題を解決していく順序を重要視したとのこと。

デジタルテクノロジーやAIを技術面から紹介した情報や書籍は多いですが、本書はデジタル技術やAIを活用し、いかに社会と関わっていくのかを中心に述べられています。
そしてデジタル技術、AIを活用し、いかに「持続的な発展」を続けるか。「イノベーション」をもたらすか。
皆が参加する機会があり、影響を与えることができるかといった「インクルージョン」をとても大切にしています。
また「インクルージョン」の重要性を反映させた施策として最新技術についてこられない人も「誰も置き去りにしない」ことで、それが社会のイノベーションに繋がるということが述べられています。

デジタルテクノロジーやAI活用は、教育分野でも大いに役立てられています。
例えば最新の携帯電話網5Gも、都市部ではなく地方から徐々に導入を進め、教育に役立てているそう。
地方と都市の教育格差を無くし、学校でのプログラミング教育をどうすべきなのか?
プログラミング能力を磨くことが重要なのではなく、解くべき課題を見つけ出し解法を導き出す「デザイン思考」や既存の考えに囚われない「アート思考」が重要であることなど、多分野にわたった深い思慮をオードリー・タン氏が平易な言葉で自身の考えや台湾で行われている施策を例に紹介されています。

本書ではデジタル技術やAIを作る凄さもありますが「使う凄さ」こそが重要であり、AIの活用について次のように述べられています。

  • ある仕事のうち重複が多い仕事はAIや機械にまかせる
  • AIがいくら進化しても人間にしかできない仕事はある
  • AIに仕事を肩代わりさせる代わりに、人間はより価値のある仕事を生み出そう
  • いかにAIに人間の補佐をさせて、次の世代によりよい環境を残していくのかが重要
  • AIによって起こった結果の責任は人間が負わなくてはならない

オードリー・タン氏は睡眠の質と量にこだわっており、どんなに忙しくても1日8時間の睡眠を確保しているそう。 また就寝前にさまざまな課題の情報に目を通してから寝ることで、起きた時には解決策が思いついているらしく、「Humor over Rumor(噂よりもユーモアを)」というフェイクニュース対策として真実を面白く早く広める施策など、テクノロジーとアイデアを組み合わせた数々のアプローチなど、本書から私たちも見習える事柄を数多く知ることができるでしょう。

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