はじめに
DIGITALソリューションデザイン部の菊池です。
今回は、現在私が参画しているプロジェクトで定期的に実施している振り返りの概要と、その効果についてシェアできればと思います。
テレワークで疎かになるコミュニケーション
テレワークという新しい働き方が広く定着しつつありますが、対面で実施する業務と比較し、コミュニケーションの減少を実感している人は少なくないと思います。その影響は、作業の合間の何気ない雑談に留まらず、プロジェクトを進める上で本来必要であった軽い会話にまで及ぶことがあります。
例えばテレワークで、このように考えながら業務を進めてしまうことはありませんか?
- あのタスクってどんな感じで進めるんだっけ?
- 以前お客様との打ち合わせで言ってたあれってなんだったかな?
- 認識が曖昧な部分もあるけど、確認する手間がかかるし、このまま進めよう
対面で業務を実施していれば、すぐ隣にいる同僚に確認できるのに、テレワークでは手間に感じて確認を怠ってしまう。
このような状態で作業を進めた結果、お客様やプロジェクトメンバーとの間に認識齟齬が生まれ、手戻りが発生してしまう。
…といったように、最初は小さかったズレが、コミュニケーションのハードルの上昇がきっかけとなり、後になって大きな問題を生んでしまう可能性があるのです。
このような問題の発生を少しでも減少させるため、現在私が参画しているプロジェクトでは、メンバー全員で「YWT +/▵」というフレームワークを用いた定期的な振り返りを行っています。この振り返りは、テレワーク下でつい言いそびれてしまう言葉を伝え合う機会を作ってくれるため、本来の目的である業務改善だけではなく、コミュニケーション不足の改善にも繋がっています。
今回はそんな振り返りについて、用いたフレームワークや実際のワーク概要について説明してゆきます。
振り返りフレームワーク「YWT +/▵」とは
振り返りフレームワーク「YWT +/▵」は、「やったこと(Y)」「わかったこと(W)」「次にやること(T)」の頭文字と、「プラス/デルタ(+/▵)」から成り立ち、次に取り組むべき具体的なアクションを導き出すことをゴールとします。
手順としては、まず業務を通して経験したことを「YWT」の3種類に区別して整理し、そこから次に取り組むべき具体的なアクションを考えるという流れで行います。
やったこと(Y)
- 自分がやったこと・チームメンバーで行ったこと
- 起こそうとした変化・意識的に行ったこと
わかったこと(W)
- 「やったこと(Y)」からわかったこと(感じた課題なども含まれます)
- チームメンバーの行動から学んだことや気づき
次にやること(T)
- 個人で取り組むこと
- チーム全員で取り組むこと
⇒次に取り組むべき具体的なアクションを出す
次の手順「+/▵」では、振り返りそのものを評価します。(振り返りの振り返りの様なもの)
振り返り自体の良かった点を「+」、改善すべき点を「▵」として整理していきます。
これは、次回以降の振り返りの進行やファシリテーションをより良くしていくために実施します。
私たちが実践する振り返りワーク概要
私たちは以下のようなワークで、「YWT +/▵」を実施しています。
実施時間:60分程度
実施周期:2週間に1度
利用ツール:Google Meet(ウェブ会議ツール) + miro(オンラインホワイトボードツール)
参加者:プロジェクトメンバー全員
タイムスケジュール:
やったこと(Y) 15分
- 個人ワーク:やったことを個人でmiroの付箋に書き出し 5分
- チームで共有:出た意見をチームメンバーで共有 10分
わかったこと(W) 15分
- 個人ワーク:わかったことを個人でmiroの付箋に書き出し 5分
- チームで共有:出た意見をチームメンバーで共有 10分
次にやること(T) 15分
- 個人ワーク:次にやることを個人でmiroの付箋に書き出し 5分
- チームで共有:出た意見をチームメンバーで共有 10分
+/▵ 5~10分
- チームで共有:気づいたことから発言していく 10分
個人の意見を書き出す際は、深く考えはじめると出しづらくなってしまうため、質より量の感覚で思ったことをそのまま書き出すことがポイントです。
また、各メンバーから出た意見の共通点を探してグルーピングすることで、共通の意見や課題が可視化されます。それを見ながら会話することで、「こういうアクションを取っていくのが良さそうだ!」と、次に取り組むべきアクションの合意に繋がりやすくなります。
振り返りによって実感した効果
振り返りを行うことによって、以下のような効果を実感しています。
- 日々の作業その時々での気づきを改めて整理・記録として残すことができる
- 他のメンバーの学び・考えから得られることが多い
- チームでの課題を共有することができる
- 改善のためのアクションを出すことができる
⇒次回の振り返りで、実際に取った改善アクションを評価することもできる
アジャイル開発ではスプリントの終わりに振り返りを実施することが多いと思いますが、今回アジャイル開発ではないプロジェクトにも、定期的な振り返りを導入してみて、プロジェクトの形態に関わらず、都度振り返りを実施して業務を改善してゆくことは、大変重要であると実感しました。
さいごに
今回、振り返りと実感した効果についてシェアいたしましたが、ご紹介した手法や方式にこだわる必要は全くないと思います。重要なのはメンバーの意見や課題を発散・共有する場を設け、業務の改善に繋げるということです。
また、振り返りワークの余った時間で少しだけ雑談をする時もあり、入社後テレワークがメインだった私にとっては、コミュニケーションを取ることができる貴重な時間ともなっています。
コミュニケーション不足や業務に課題を感じている方は、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
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