エクサがMONOist DX &AI Forum 2025でセッションを開催
3つの事例から見渡す、BANI時代を生き抜く力
製造業を取り巻く環境は、VUCA(Volatility/変動性、Uncertainty/不確実性、Complexity/複雑性、Ambiguity/曖昧性)からさらに不確実性が増したBANI(Brittle/脆さ、Anxious/不安、Non-linear/非線形、Incomprehensible/不可解)時代へと向かっています。
BANI時代がもたらす予測困難・複雑化・属人化・デジタル人材不足......我々は、このような変化にどう立ち向かうべきなのでしょうか?
本レポートでは、12月に行われたカンファレンス「MONOist DX&AI Forum 2025~製造業DXの未来とAIの可能性~」でのセッション「BANI時代の『混沌』を競争力に変える~変革の成功事例」で紹介された製造業DXのジャーニーマップにおける「現場DX/経営DX/サービスDX」の3つの成功事例を紹介。製造業が"混沌を競争力に変える"新しい戦い方を身につけるためのポイントを考察していきます。
装置・業務データの統合管理によりITとOTを融合させた「現場DX」
「ベテラン頼みの後追い故障対応」によるさまざまな課題が
産業機器製造業A社では、主力商品の生産ラインで、設備の突発故障による生産計画への大きな影響が起こっていました。
従来、問題が発生してからベテランの勘と経験に頼ったいわゆる「後追い対応」を行っていたため、復旧に時間を要してしまい、また故障に備えた過剰在庫にもコストがかかっていました。それだけでなく、ノウハウが属人化することから、若手への技術伝承も課題となっていたのです。
当初同社では定期点検データを解析して予防保全を試みましたが、残念ながら「設備に今どのような異常の兆候があるか」というリアルな状況を捉えることはできませんでした。そこで改めて、設備装置のIoTデータを活用した改革に着手していきます。
設備の稼働状況をリアルタイムで把握、劣化・故障予測も
同社はまず、工程システムでリアルタイムの生産実績集計を実施しました。生産ラインの設備からはPLCを介して計測データを取得し、エッジサーバに蓄積。このデータを基に、統計解析ツールを利用して設備の劣化・故障予測を行いました。
設備管理システムIBM Maximoでは、設備台帳やメンテナンスの年間計画の策定、不具合対応実績を蓄積し、ダッシュボードで設備の稼働状況をリアルタイムに可視化しました。さらに、遠隔監視機能によって、工場の稼働状況を映像で監視し、ベテランが助言を行えるようにしたのです。
MTTR約20%短縮!突発故障で被るコストも半分以下に
こうした改革によって、リアルタイムな稼働状況とKPIが可視化されました。また、異常の予兆を検知した設備に素早くアクセスできるようになり、突発の故障を防いで「設備を止めない」プロセスを実現したのです。
さらにメンテナンス履歴やベテランの動きをデータベースに蓄積して、技術伝承のためのデータを蓄積できるようにもなりました。なお定量的な効果として、MTTR約20%の短縮、突発故障によるコストを3年間で約56%削減しています。
「IBM Maximo」の詳細はこちら
経営とITを融合させた業務プロセス改革で成果を挙げた「経営DX」
膨大なバリエーションや個別最適化による非効率を解消してスピード経営へ
住宅設備製造業B社は、事業の急激な変化に迅速に対応できる「スピード経営」の実現を目指して改革に取り組みました。ポイントは「膨大なバリエーションがありながら、即納対応できること」、「各部門や工場で個別最適化していた非効率なシステムを解消すること」でした。
BOM(部品表)の自動的な生成で「膨大なバリエーションがありながら、即納対応」を実現
B社製品はサイズや色といった無数のバリエーションがあり、事前にすべてのBOMを用意することは非効率的な状況にありました。そこでBOMの生成ルールをモデル化し、受注情報のパラメータから動的にBOMを生成する改革を行いました。複雑な製造ノウハウを体系化した上で、BOM/BOP生成・変換ナレッジソリューション「SPBOM Suite」によって仕様と品目群と構成の関係を洗い出してルール化し、動的にBOMを生成するルールを整備したのです。
受注情報のパラメータから、自動的にBOMを生成できるため、主に生産準備のリードタイムの大幅な短縮になりました。さらに「ERP」、「MPS」、「MES」といった、粒度やくくりが異なる用途別のBOMを、整合性を保った形で生成できるようにしています。
「SPBOM Suite」の詳細はこちら
MRPを高速化し「マルチサイトプランニング」へ移行、システムを効率化
従来B社は欠品や品薄が発生してから別工場に依頼するという「バトンタッチ方式」の事後対応で調整を行っていたことから、緩慢なアクションが課題となっていました。そこで全社PSIに基づいて欠品や品薄を一括調整するマルチサイトプランニングへの改革を行いました。
まず需要計画の精度を高めるため、SCM「Maestro」の導入でMRP(資材所要量計画)を高速化。また、システムから欠品・品薄の予見情報が必要部署に同時配信されるようにし、欠品による機会損失も削減されました。
「Maestro」の詳細はこちら
PIM/DAM導入によりアフターサービスシステム刷新を図った「サービスDX」
分散する4万点の部品情報......情報の間違いや手作業でのデータ整理も
精密機器製造業C社では4万点の部品情報が、製品カテゴリーごとの部門、担当者個人に分散。お客様サービスの質と社内業務の効率を阻害していました。
情報の不整合によりお客様への情報提供に遅れや間違いが発生し、総合カタログ作成のたびに手作業の整理も発生。従来のシステムが老朽化し、機能拡張やデータ分析も困難になっていました。そこで同社は、分散していた情報資産の一元化に着手。ECサイトやフィールドサービスとの連携も図られました。
精度とスピードを兼ね備えた情報で、お客様満足度も改善
まず、ERPから取得した部品の基本データにサービス用の関連情報を追加して、ECサイトやサービスシステムと連携。様々な技術情報をデジタルアセットマネジメントに格納して一元管理できるよう整えました。これにより4万点に及ぶ部品情報の一括更新が可能となり、管理工数は大幅に改善されました。また、ECサイトに鮮度の高い充実した情報を反映できるようになり、お客様満足度の向上にもつながりました。
部品情報の一元管理を実現し、大幅な業務効率向上を達成
部品に関するあらゆるデータを「Contentserv」で一元管理することにより、クリック一つで最新の情報を瞬時に得ることができるようになり、社内業務において大幅な業務効率向上につながりました。
「Contentserv」の詳細はこちら
まとめ:混沌を競争力へ変えるために必要なこと
成功企業の共通点は「平時からの着実な準備」
今回の成功事例に共通しているのは「システム導入の前に、しっかりとした準備がなされている」ことです。まず、改革の必要性を社内で共通認識として共有しています。そして次に、改革の方針を立案しています。そして、社内ルール整備などのIT化への準備も行われています。こうした準備は、差し迫ったときではなく平時に進めることが重要です。まずは自社の抱える脆さ、課題を明確化する必要があります。
エクサが提供する「最初の一歩」
エクサでは、最初の一歩を踏み出すために、日本で数人しかいないエキスパート「デザインスプリントマスター」監修のワークショップ形式で課題を明確化して、改革の道筋をお客様と共に考えています。そして、グローバルで高い評価を得ているナンバーワンのソリューション群とエクサ独自開発であるオンリーワンのソリューションを、お客様の課題を踏まえて最適な組み合わせでご提供いたします。
予測不能なBANI時代において、企業の競争力をどのように確立するか。『脆さ』をレジリエンスへ、『非線形』をアジリティへ、そして『不可解』を知のデジタル化による資産へ、このように変えていくことが、混沌を競争力に変える鍵となります。改革を成功させた3社は、環境が安定している平時に着実に準備を進めてきました。今こそぜひエクサと共に、DX の最初の一歩を踏み出すことをご検討ください。
関連ソリューション:
商品情報管理(PIM)ソリューション
https://digital-business.exa-corp.co.jp/solutions/pim.html
設備保全・統合資産管理ソリューション IBM Maximo Application Suite
https://www.exa-corp.co.jp/solutions/maximo/
製造基準情報(BOM/BOP)生成・変換ナレッジソリューション SPBOM Suite
https://www.exa-corp.co.jp/solutions/spbom/
サプライチェーンマネジメント(SCM) Maestro
https://www.exa-corp.co.jp/solutions/manufacturing/rapidresponse/
DX推進支援サービス
https://www.exa-corp.co.jp/solutions/dx-promotion/
関連する記事
関連ソリューション
関連事例
お問い合わせ
CONTACT
Webからのお問い合わせ
エクサの最新情報と
セミナー案内を
お届けします
