計画系SCM、S&OPのグローバルリーダーとして最も評価されているKinaxis Maestro™(旧称:RapidResponse)。昨年のKinexions24でRapidResponseからMaestroへとブランド名を変更。これまでの計画系領域にとどまらず、"エンドツーエンドのサプライチェーンオーケストレーション"へとさらなる進化を遂げています。
その開発元であるKinaxis社が主催するカンファレンス「Kinexions25」に参加してきましたので、内容や所感についてご紹介したいと思います。
開催概要
What is Kinexions?
Kinexionsとは、サプライチェーン分野で活躍する人たちが集まり、学び合い、情報を共有し、人脈を広げるための世界でトップクラスのSCMカンファレンスです。
サプライチェーンのプロフェッショナルの皆様、協働的なサプライチェーン・イノベーションの場、Kinexionsにぜひご参加ください!毎年恒例のこのイベントには、サプライチェーン・オーケストレーションを次のレベルへと押し上げる優秀な人材が集まります。テキサス州オースティンに集い、サプライチェーンの卓越性に関する最新かつ優れたアイデアを共有する、活気あふれるソートリーダー、業界専門家、そして同僚たちで構成されるコミュニティに是非ご参加ください。
(Kinaxis社 Kinexions紹介文より引用)
今回、Kinexionsへは「Kinaxis Maestroの最新動向の把握」「SCM業界の潮流を把握」「国内外のパートナー、ユーザーとの情報交換」を目的に参加しました。
開催期間・場所

オースティンの位置
日時 | 2025年3月31日(月) - 4月2日(水) |
---|---|
場所 |
テキサス州、オースティン |
タイムスケジュール

Welcome Receptionの様子
タイムスケジュールに従ってカンファレンスが開催されました。
1日目 |
|
---|---|
2日目 |
|
3日目 |
|
メイン講演&分科会
Kinexions25のメッセージ
今回のKinexionsにおいて大きなトピックは、「Maestro AIエージェント搭載」と「Databricksとのパートナーシップ」の発表でした。
Maestro「AIエージェント」の搭載を発表
主な講演内容
1. AIエージェントはもはや単なる概念ではなく、現実のものであり、サプライチェーンチームの意思決定、迅速な行動、そして混乱への対応方法を根本から変える可能性を秘めている。AIエージェントを活用すれば、サプライチェーンに質問を投げかけ、プラットフォーム内で即座に回答が得られる。
2. AIエージェントは、今日の最も困難な課題を解決するために協力してくれるデジタル同僚のようなものだと考えて欲しい。
3. AIエージェントは、何時間もかけて計算する代わりに、数秒で影響を評価し、最善の代替案を提案し、ユーザーの承認を得て実行することができる。かつて、数時間、あるいは数日かかっていた作業が、今では数秒、数回の会話チャットで完了し、数百万ドルの節約につながる可能性がある。
エクサ見解
AIエージェントの搭載により、Maestroが日常的なSCM業務を強力にサポートする未来が示されました。講演したAndrew Bell氏(Kinaxis chief product officer)の発言で特に印象的だったのは、「利用者は作業から解放され、最適な意思決定を選択するだけの世界を実現していく」というコメントです。
これは、Maestro AIエージェントの登場が、SCM業務の効率化と自動化を促進する新たな世界観を提示していることを意味しています。今年中にリリースが予定されており、その詳細に注目しましょう。
Databricks と提携したサプライチェーンデータファブリックの構築を発表
主な講演内容
1. 「Kinaxis MaestroとDatabricksのデータインテリジェンスプラットフォームが連携し、グローバルサプライチェーン全体でより迅速なインサイト、統合データ、スケーラブルなAIを実現する。この連携は、より俊敏でデータ主導型のサプライチェーンに対する高まる需要に応えるものである。
2. Maestroのサプライチェーンデータファブリックを強化し、企業は在庫や調達といった基幹システムからの情報に加え、気象パターンや市場シグナルといった外部インプットを、単一のガバナンスされた環境に統合できる。
3. 結果として、より迅速なインサイトの獲得、実行の俊敏性の向上、そしてよりレジリエンスが高くイノベーション対応力の高いサプライチェーンを実現する。
エクサ見解
外部インプットデータの準備は、これまで企業にとって大きな負担でした。しかし、Databricksのデータファブリックを活用することで、この課題が軽減され、より迅速な意思決定が可能となります。弊社のお客様からも外部データ準備の困難さについてお声をいただくことがありますが、Maestroとデータファブリックの連携により、複数の外部インプットを活用しながら、よりレジリエントなSCM(サプライチェーンマネジメント)の構築が実現します。
外部環境の変化に対応するためには、より多くのパラメーターを活用することが不可欠です。予測不能な変化に対応していく上で、この強力な連携に大いに期待します。
参加したセッション

メインステージの様子
各セッションでは、製品デモ、顧客セッション、実践ワークショップ、トレーニング、ネットワーキングといった充実したラインナップが提供され、SCMの最新トレンドや技術を深く学ぶ機会となりました。私自身も2日目、3日目はSCM関連のセッションに集中的に参加し、最新事例講演やネットワーク構築を通じて、大変有意義な時間を過ごすことができました。
- 製品デモ
- 顧客セッション
- 実践ワークショップ
- コミュニティのお祝い
- 徹底的なトレーニング
- イノベーションショーケース
- ピアネットワーキング
- フュージョンゾーン
所感
Kinexions25を通じて、Maestroが従来の計画業務に加え、より広範な業務領域への対応を進めていることが明確になりました。特に印象的だったのは、「AIエージェント」の実装です。
現在のMaestroユーザーが活用するAIは、AIチャットによる機能問い合わせが主流でしたが、今回の新機能「AIエージェント」は、チャット上で計画業務における意思決定の支援から、その結果のシステムへの反映までを可能にします。
これにより、各プランナーが意思決定に必要な情報を迅速に得られるようになり、計画業務において大きなサポートとなるでしょう。加えて、Databricksとの提携など、従来のSCP(サプライチェーン計画)の範囲からサプライチェーンオーケストレーションとしての進化と広がりが感じられました。
私たちはこうしたMaestroの進化を取り入れながら、お客様ごとの業務に合わせた幅広いソリューション提供が求められていると認識しています。
拡張性と運用現実性の両立を意識しながら、SCM領域での価値を継続的に高めてまいります。
2026年のKinexionsは「ラスベガス」での開催が発表されました。
弊社メンバーも参加を計画しており、次回のKinexionsについても皆様にご報告できることを楽しみにしています。
関連する記事
関連ソリューション
関連事例
お問い合わせ
CONTACT
Webからのお問い合わせ
エクサの最新情報と
セミナー案内を
お届けします
