失敗しない脱VMware を行うには?
4つの対策や移行する際の判断基準などを解説

脱VMwareは何から始めればいい?

「何を判断材料にすればいいのだろう」
「何から検討すればよいのかわからない」

VMware環境であることに限界を感じ脱却しようと考えてはいるものの、本当に移行すべきか、どこへ移行すべきか、判断に迷っている担当者の方も多いのではないでしょうか。

しかし今回のVMwareのライセンス改定は、企業のインフラを見直す絶好の機会でもあります。さらにクラウドやコンテナなど最新技術への移行を後押しする追い風として、自社のDX推進を一気に加速させるきっかけと捉えている企業も増えています。

本記事では、脱VMwareに向けた対策方法と失敗しないための判断基準を解説します。移行戦略の策定に役立つ資料も案内していますので、ぜひご覧ください。

脱VMwareが止まらない理由

多くの企業インフラを支えてきたVMwareですが、2023年末にライセンス形態が変更され、各企業に深刻な経営リスクをもたらしています。この事態を受け、多くの企業が「脱VMware」に舵を切ることとなりました。

主な原因は以下の3つです。

  • 急激なコスト高騰により予算が追いつかない

  • サポート品質が低下し、運用継続性への不安が高まった

  • 維持費に予算が奪われ、DXが前に進まない

詳しく見ていきましょう。

急激なコスト高騰により予算が追いつかない

脱VMwareが加速している背景には、ライセンス体系の大幅な変更によるコストの急騰が考えられます。

これまで多くの企業が利用していた「買い切り型(永続ライセンス)」の保守サポートが終了し、サブスクリプション型への移行が求められるようになりました。その結果、長期的なコストであるインフラの維持費が従来の数倍に膨らむケースもあり、既存の予算では対応しきれない企業が続出しています。具体的には、以下の4つの変更が重なったことでコスト負担が一気に増大しました。

変更点内容影響
買い切り型からサブスクリプション型への移行 買い切りライセンスの販売が終了し、サブスクリプション型へ移行 毎年の継続コストが発生し、長期的な費用が大幅に増加
保守契約の更新終了 永続ライセンスのままでは保守サポートを受けられなくなった 保守契約にはサブスクリプションライセンスが必要
料金体系の変更 課金対象がCPUソケット単位から、CPUコア単位への変更 仮想マシン用の高コアCPUでコスト増加
製品ラインナップの統合 個別に選択できていた製品が4つのバンドルプランに統合 使わない機能までバンドルされた製品を購入するためコスト効率が悪化する可能性も

サポート品質が低下し、運用継続性への不安が高まった

上記のコストの問題だけでなく、サポート体制が変化したことも企業の不安を大きく高めています。

2025年のパートナープログラムの大幅な見直しにより、新基準を満たせない中小規模のパートナー企業は、VMware製品の販売・サポートができなくなることが発表されました。これにより、これまで長年にわたって頼りにしてきた身近なパートナーからのサポートが突然受けられなくなり、新たな委託先を探すことを余儀なくされる企業も出てきています。

さらに深刻なのが、ベンダーロックインのリスクです。インフラをVMwareに依存し続ける限り、メーカーの方針一つで自社のコストや運用環境が大きく左右されます。今回のような急激な変更が再び起きた場合、対応しきれないリスクは決して小さくありません。ガバナンスの観点からも、特定ベンダーへの過度な依存は望ましい状態とは言えないでしょう。

こうした背景から、VMwareから離れてほかの仮想化基盤やクラウドへの移行を検討する企業が、今まさに増えています。

※2 出典:Broadcom『Fueling Customer Success Through Deep Partner Collaboration

維持費に予算が奪われ、DXが前に進まない

「とりあえず現状維持」という判断は、一見安全に見えて実はリスクをはらんでいます。高騰し続ける維持費が予算を圧迫し続ければ、システムをサポート切れのまま放置する「塩漬け」状態に陥る可能性が高まり、ただコストが無駄に失われていくだけの状況になってしまいます。

さらに競合他社がクラウドの柔軟性や生成AIを積極的に活用し、サービス改善や業務効率化を着々と進めている中、自社は既存環境の維持にリソースを取られ続けてしまいます。本来であればDX推進や新規サービスの開発に充てるべき予算が、インフラの維持費として消えていくのです。

その結果、投資すべき先にお金が回らなくなり、企業としての競争力が静かに低下していくでしょう。大きな障害が起きているわけではないため気づきにくいですが「気づいたときには競合との差が開いていた」という状況が発生する恐れがあります。

このようにVMware環境を維持することは、コストやガバナンスなどの問題に直結するだけでなく、企業のIT戦略全体を停滞させる機会損失につながるリスクをはらんでいるのです。この危険性に気づいた企業は脱VMwareへと取り組みを進めています。

脱VMwareで担当者が直面する「3つの壁」

上記のような脱VMwareの必要性を感じていても、実際に移行先を選定して動き出すのは容易ではありません。多くの担当者が、以下の3つの壁に直面しています。

  • コストの壁

  • 技術の壁

  • 時間の壁

詳しく見ていきましょう。

【コストの壁】移行にかかる費用の見通しが立てにくい

まず、脱VMwareを検討する上で直面するのが、移行コストの予算確保という問題です。脱VMwareを実施することによるコストメリットが数字で示しにくいため、社内で予算を取りづらいという声が多く聞かれます。

移行にあたって考慮すべき主なコストは以下の3つです。

  • 初期費用:新環境の整備・構築にかかるコスト

  • ランニングコスト:移行後の継続的な運用にかかるコスト

  • 二重払いコスト:移行期間中、新旧環境を並行稼働させることで発生する一時的な費用

加えて、移行先として多くの企業が候補に挙げるクラウドは、基本的に従量課金方式です。実際の稼働状況によって毎月の請求額が変わるため、中長期的なコストをあらかじめ正確に見積もることが難しく、「結局どれくらいお得になるのか」という問いに答えにくい構造になっています。

このように明確な投資対効果を算出しづらいことが、予算承認を得るうえでの大きなハードルとなっています。

【技術の壁】移行後もこれまで通り運用できるか不安

コストと並んで大きな壁となるのが、移行後の運用に対する技術的な不安です。

新しい環境に移った際、これまで積み上げてきた運用フローがそのまま使えるとは限りません。クラウドや移行先の技術を扱えるエンジニアが社内に不足していれば、移行後にトラブルが起きたときの対応に不安が残ります。「動かせても、維持できるか自信がない」という状況です。

さらに、VMware向けに最適化された運用をそのまま新環境に持ち込めるかどうかも、事前に丁寧な検証が必要です。場合によっては業務フローや運用プロセスの見直しが避けられず、現場への負担が一時的に大きくなることも考えられます。

技術・人材・プロセスの三つが絡み合うだけに、「移行は決断したが、本当にやり切れるか」という不安を抱える担当者は少なくありません。

【時間の壁】迫りくるタイムリミット

三つ目の壁は、タイムリミットまで時間がないことです。
VMwareのライセンスや保守契約の更新期限が目前に迫っている場合、移行先をじっくり比較検討したり、PoC(概念実証)で動作を確かめたりする余裕がありません。

システムの検証から移行完了まで、本来であれば十分な時間をかけるべきプロセスを、限られた時間で成立させなければならない。このスケジュールの厳しさが、担当者にとって大きなプレッシャーとなっています。

脱VMwareに向けた「4つの対策」

前述の3つの壁を乗り越え、自社に最適なインフラを構築するための選択肢は大きく4つあります。

  • クラウドへの移行(Cloud Lift&Shift)

  • オンプレミスへの移行

  • ハイブリッド環境

  • 延命措置

詳しく見ていきましょう。

対策1:クラウドへの移行(Cloud Lift&Shift)

クラウドへの移行とはAWSやMicrosoft Azure、Google Cloudなどのクラウド上に、利用していた仮想マシンをそのまま移す方式です。環境を大きく作り直すことなく移行できるため、脱VMwareの手段として多くの企業が検討しています。

大きなメリットとしてはハードウェアを自社で調達・管理する必要がなく、契約後すぐに利用を開始できる点が挙げられます。また、障害対応はクラウド事業者が担うため運用負荷も軽く、サーバー拡張も柔軟に行えるためスモールスタートに向いています。

一方でデメリットとしては、データ量や稼働率・為替の影響でコストが変動するため、中長期的な費用を正確に見積もりにくい点が課題です。またインターネット回線に依存する構成上、回線障害が発生するとシステム全体が利用できなくなるリスクも考慮が必要です。

メリット
特徴詳細
ハードウェアの初期費用が不要 機器の初期調達が不要で、契約すればすぐに利用できる
ハードウェアの運用負荷が少ない ハードウェア障害による対応はクラウド事業者が対応するため、運用負担が軽減される
スモールスタートに向く サーバーの拡張(スケールイン・アウト)が容易であり、段階的な拡張が可能
事業継続(BCP)に優れる インターネットがあればどの拠点からもアクセスできるため耐障害性が高い
デメリット
特徴詳細
コスト予測が難しい データ量や稼働率、為替によって利用料金が変動するため、中長期的なコストが読みづらい
ネットワークに依存する インターネット回線の障害時にシステムが利用不能になる

クラウドへの移行(Cloud Lift & Shift)は初期の設備を調達する必要がないため、短期間での脱VMwareを実現できる手法と言えます。

対策2:オンプレミスへの移行

自社の設備で稼働しているVMware仮想化基盤を、自社の別設備へそのまま移行(V2V:Virtual to Virtual)する方式です。

NutanixなどのHCI環境への移行のほか、OpenShiftとIBM Fusionを組み合わせて次世代コンテナ基盤を構築する方法も実現できます。

主なメリットとしては、まずコストが一定化しやすく予算管理がしやすい点が挙げられます。データ転送による従量課金が発生しないため、コスト的にも有利です。

また、VMwareに近い操作感の製品が多いため、既存の運用フローやバックアップ構成をそのまま流用しやすく、現場への負担も比較的小さくて済みます。さらに他社と基盤を共有しない物理的な隔離環境を維持できるため、厳しいコンプライアンス要件にも対応しやすいのが特徴です。

一方でデメリットとしては、ハードウェアの購入・設置・電源設備などの初期投資に加え、機器の保守費用や老朽化に伴うリプレースなど、継続的なコストが発生する点が挙げられます。また、BCP対策として冗長化を図る場合には、追加の設備投資が必要になります。

メリット
特徴詳細
予算が管理しやすい 運用コストが一定になりやすく予算化しやすい
パフォーマンスが高い データ転送による従量課金が発生せず、大規模データでも高速なレスポンスが期待できる
運用変更の負荷が少ない 運用がVMwareに近い製品が多く、既存の運用フローやバックアップ製品をそのまま流用しやすい
セキュリティが固い 他社と基盤を共有しないため、物理的隔離が求められるコンプライアンス要件に対応できる
デメリット
特徴詳細
初期費用・ランニングコストが必要 ハードウェア、設置区画、電源設備などの初期投資と、機器保守料などのランニングコストが必要
BCP対策には追加コストが必要 事業継続(BCP)のために冗長化する場合は、追加の設備が必要
ハードウェアの維持費が必要 機器の保守費用や、老朽化に伴うリプレース対応が定期的に発生する

従量課金のクラウドとは異なりコストが安定するため、大容量データを扱うシステムや常時稼働が求められる環境では、オンプレミスが有利な選択肢となります。

対策3:ハイブリッド環境

オンプレミスとクラウドそれぞれの強みを組み合わせ、システムの特性に応じて使い分ける方法です。例えば以下のようにシステムの特性に合わせてインフラを使い分けます。

  • Web・アプリケーション: アクセス増減が激しいため、柔軟にスケールイン・アウトが可能な「クラウド」に配置する。

  • データベース(DB): 機密性の高い個人情報や、転送コストが膨大になる大容量データを扱うため、物理的隔離とコスト固定化が可能な「オンプレミス」に残す。

主なメリットとしては、既存のIT資産を有効活用しながらコストを抑えられる点と、一斉移行のリスクを避けつつ予算や要件に合わせて段階的にクラウドへ移行できる柔軟性が挙げられます。

デメリットとしては、オンプレミスとクラウド間でデータの整合性を保ちながらセキュアに連携させる設計が必要となり、構築の難易度が上がります。また管理画面がクラウドとオンプレミスで分かれるため、運用が二重管理になりがちな点も課題です。

メリット
特徴詳細
既存資産を活用できる 既存IT資産の有効活用により、調達・運用コストを低減できる
段階的な移行ができる 一斉移行のリスクを避け、予算と要件に合わせて段階的にクラウド移行できる
デメリット
特徴詳細
連携の難易度が高い オンプレミスとクラウド間の整合性が崩れないような設計や、セキュアな統合管理の仕組みを構築する必要がある
運用管理がサイロ化しやすい クラウドとオンプレミスで管理画面が分かれ、運用が二重管理になりやすい

既存IT資産への投資を無駄にせず、段階的に脱VMwareを進めたい企業にとって有効な選択肢といえます。

対策4:延命措置

上記3つの対策とは異なりますが、今回の移行は一旦見送り、第三者保守サービスを活用しながら既存のVMware環境をそのまま使い続ける選択肢も企業によっては検討する価値はあるでしょう。

主なメリットとしては、現行環境に手を加えないため移行に伴うダウンタイムや予期せぬ障害のリスクがなく、現場の運用プロセスもそのまま継続できます。担当者の再学習や業務フローの見直しといった負担が発生しない点は、現場にとって大きな安心材料です。

一方でデメリットとしては、前述したような第三者保守のコストが加わることでランニングコストが増加する点、そしてハードウェアの老朽化によるシステム障害リスクを根本的には解消できない点が挙げられます。

メリット
特徴詳細
システム停止のリスクがない 現行環境に手を加えないため、移行に伴うダウンタイムや予期せぬシステム障害のリスクがない
運用体制に変更がない 現場の運用プロセスをそのまま継続できるため、担当者の再学習や業務フロー変更の負担がない
デメリット
特徴詳細
コストの増加 第三者保守によりランニングコストが増加する
ハードウェアの老朽化リスク ハードウェアの老朽化によるシステム障害リスクを排除できない

延命措置はあくまでも次期インフラへの移行を慎重に検討するための時間を確保する、戦略的な一手として捉えるのがよいでしょう。問題の先送りではなく、準備期間として活用することが重要です。

脱VMwareを失敗しないための判断基準とは

脱VMwareに「これが正解」という選択肢はありません。システムの規模や特性、確保できる予算、そして経営方針などによって最適解が異なります。まず自社の状況を正しく把握した上で、以下の4つの軸から検討することが重要です。

評価軸移行先を決定するためのポイント
①システム特性とデータ量 コストに直結するデータ転送量や、アクセスの増減はどの程度か
②中長期的なIT戦略 直近のコスト削減を最優先するか、将来的なインフラを見据えるか
③既存資産の活用 まだ減価償却の終わっていない既存ハードウェアが活用できるか
④移行のタイムリミット ライセンス更新期限までに残された時間はどの程度か

たとえば、データ量が50TBを超え24時間稼働するシステムであればオンプレミスの方がコスト的に有利になりやすく、逆にデータ量が少なく季節によってアクセスが変動するWebシステムであればクラウドの従量課金が活きてきます。

また、目先のコスト削減だけにとらわれず、将来のビジネス拡張やコンテナ化を見据えてあえてクラウドへ移行するという経営判断も十分あり得ます。正解は一つではなく、自社の方針と現状に照らし合わせた判断が求められます。

こうした判断を適切に行うためには、稼働中の仮想基盤の規模を正確に把握した上で、客観的なアセスメント(評価)を実施することが、脱VMwareを成功に導くポイントです。

脱VMwareを成功させるために今できることとは

今回のVMwareのライセンス改定による影響を最小限に抑え、安定したインフラを築くためには、客観的な判断による対策・移行先の選定が欠かせません。

株式会社エクサでは、AWS、Azure、Google Cloudなどのクラウド移行はもちろん、Nutanix、OpenShiftを活用したオンプレミス環境への移行検証も実施しています。

  • 既存のVMは本当に動くのか?

  • 移行後の性能はどうなるのか?

  • コストはどの様に変化するのか?

これらの疑問に対する実証データをまとめたホワイトペーパー「 VMware移行、どこへ行くべきか? ―実環境検証で導く、オンプレ・クラウド選定の判断基準―」を無料でダウンロードできます。

検証結果の中には、既存環境と比較して「最大60%以上ものコスト節減」に成功した実例も含まれています。自社にとって最適な脱VMwareを成功させるための判断材料として、ぜひ本資料をご活用ください。

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