富士通メインフレーム刷新の最適タイミングは?|2035年から逆算した刷新開始時期と判断基準

2035年のメインフレーム問題に着手した企業の背景に迫る

クラウドやデータの利活用、AI技術の急速な進化などにより企業を取り巻くIT環境は、この数年で大きく変化しています。基幹システムも例外ではありません。長年企業の中核を支えてきた富士通メインフレームについても、大きな転換点が訪れています。「メインフレームの保守を2035年度末で終了する」というものです。

この期限だけを見れば、「まだ時間はある」と感じるかもしれません。実際、現在も安定稼働していれば、刷新を急ぐ理由は見当たらないでしょう。しかし、すでに情報収集や初期検討を始める企業も出てきています。彼らは決して「今すぐ移行する」と決断しているわけではありません。それでも動き始めているのはなぜでしょうか。

本ブログでは、2035年までの公式スケジュールをあらためて整理し、"まだ先"と考えることのリスクや、「いつ・どの観点で検討を始めるべきか」といった判断軸を紹介します。

保守終了までのスケジュール

まずは、富士通メインフレームを取り巻く公式なスケジュールを整理しておきましょう。

2035年度末には保守・サポート終了予定

富士通は、メインフレーム(GS21シリーズ)および関連サーバーについて、2030年度末で販売・製造を終了すると発表しています。そして、2035年度末には保守・サポートを終了する予定です。あわせて、Fujitsu Cloud Service for Mainframeや関連データセンターサービスも同時期に終了となります※1。

2030年度末 メインフレーム(GS21シリーズ)および関連サーバーの販売・製造終了
2035年度末 メインフレームの保守・サポート終了
2035年度末 Fujitsu Cloud Service for Mainframeおよび関連データセンターサービス終了

メインフレーム刷新完了には時間がかかる

業務に支障をきたさず刷新するには、上記のタイムラインを意識しなければなりません。

なお、刷新プロジェクトを進めるには一定の期間が必要です。一般的には、下記程度の期間が想定されます。

  • PoC(移行性検証)や評価に数か月程度

  • 本格的な移行プロジェクトに数年規模

実際にかかる期間はシステム規模や選択する方式などによって大きく異なってきますが、工程を積み上げていくと、移行完了までに複数年を要するケースは珍しくありません。

2035年度末という期限は、一見すると遠い将来の話に思えますが、検討・準備・実行の各フェーズを逆算すると、決して余裕があるわけではないことがわかります。

さらに刷新判断が期限直前になると、十分な対応ができない可能性があります。今すぐ刷新判断をすることはできなくても、「いつどの観点で進めるか」といった検討は、早急に始める必要があるでしょう。

※1 出典:富士通『 富士通メインフレームに関する約束

メインフレーム刷新を今から検討する理由

「まだ10年の猶予がある」と静観している企業がある一方、すでに情報収集や初期検討を始めていう企業もあります。後者はなぜ動き出しているのでしょうか、主な理由を見てみましょう。

1.期限の現実味が増してきた

前述の通り、移行完了から逆算すると準備に使える時間は限られています。2030年度末の販売終了、2035年度末の保守終了という期限が近づくにつれ、「そろそろ動かなければ」と検討を始める企業が増えています。

2.社内の有識者が減りつつある

また、長年メインフレームを担当してきた技術担当の定年退職や異動が見えてきたことをきっかけに、「いまの体制でいつまで対応できるのか」と考え始める企業も少なくありません。

3.ベンダーのキャパシティやコストが上昇している

将来的に移行需要が集中した場合、ITベンダーのキャパシティが逼迫し、コストが上昇する可能性があります。「需要が集中する前に状況を把握しておきたい」という観点から、早めに動き出すケースも考えられます。

これらの課題を認識している企業は、移行の最終決断にまでは至らなくても、まず現状を把握し、どのような選択肢があり得るかを整理する、いわば"判断の準備"を始めています。

2035年問題を「移行の話」として捉えるか、「準備の話」として捉えるか。その違いが、検討開始のタイミングを分けていると言えるでしょう。

メインフレーム刷新に伴う3つの課題

前章では、企業が検討を始めるきっかけとして、有識者の退職やベンダーのキャパシティ懸念などを挙げました。しかしこれらは表面的なきっかけに過ぎません。多くの企業が2035年のサービス終了を理解しながらも、なかなか動き出せない背景には、以下の構造的な課題が存在しています。ここでは、2035年のメインフレーム問題に関する3つの構造的な課題をみていきます。

1. 複雑化したシステムの移行コストが増大

メインフレームを取り巻く環境が複雑化するほど、将来の移行は難しくなります。

近年、DXやAI活用の進展により、メインフレームは単独で完結する基幹システムではなく、外部サービスやクラウド基盤、各種APIと連携する"ハブ"としての役割を担うケースが増えています。

連携が増えること自体は価値の創出につながりますが、その一方で依存関係は複雑になります。すでに「小さな改修でも影響調査に時間を要する」状態にある場合、連携がさらに拡大すれば、移行時の調査範囲や検証範囲も広がることが予想されます。

その結果、テスト工数が膨らんだり移行コストや期間が増加したりすることや、想定外の依存関係が後から判明するなどといった事態につながります。

今は安定していても、環境が複雑化するほど、移行時の負荷は確実に増していきます。

2. 属人化が進み知識共有が困難

メインフレーム刷新の難易度を押し上げる大きな要因は、技術そのものよりも"人"にあります。

長年安定運用されてきた環境では、業務ロジックや例外処理、運用上の工夫が特定の担当者の経験や暗黙知に依存しているケースが少なくありません。設計書が存在していても、実装との乖離がある場合や、実運用のノウハウが文書化されていない場合もあります。

こうした状況で有識者の退職や異動が進むと、仕様の確認だけで想定以上の時間を要したり、移行要件の整理が難航したりするリスクが高まります。

このように問題は人材不足にとどまりません。「知識がどこにあるのかわからない」という状態そのものが、移行の難易度を根本から高めてしまいます。

3. 技術者不足で外部リソースの確保が困難

2035年が近づくにつれて、上記で挙げたように移行需要が集中する可能性があります。

しかしCOBOLやメインフレームに精通した技術者の高齢化はかねてから指摘されており、市場全体での供給は減少傾向にあります。若手人材が参画しにくい技術領域であることも、供給減に拍車をかけています。

需要が高まる一方で供給が限られれば、外部リソースの確保が難しくなるだけでなく、移行プロジェクトの開始が後ろ倒しになったり、想定より高いコストでの実施を余儀なくされたりするリスクもあります。

自社が動き出すべき判断基準3つ

上記の課題は、企業によって深刻度が異なるため、「自社はまだ大丈夫なのか、それとも今すぐ動くべきなのか」という判断に迷ってしまうこともあるでしょう。

そこで、メインフレーム刷新への着手タイミングを見極めるための判断軸を3つご紹介します。まずは自社の現状を振り返りながら、それぞれの軸でどの程度のリスクを抱えているかを確認してみてください。

軸①システム構成の複雑化が進んでいるか

メインフレームと外部システムの連携が増えるほど、移行時の影響範囲は想像以上に広がります。特に次のような状況が見られる場合、移行難易度はすでに高まっていると考えてよいでしょう。

  • クラウド基盤やSaaSとのAPI連携の要望が増えており、今後も拡大する見込みがある

  • 改修時の影響範囲の調査に数週間を要する

  • 外部システムとの連携内容の文書類への反映が追い付いていない

特に「影響調査に数週間以上かかる」状態は、現時点でもすでに相当の複雑性を抱えているサインです。連携がさらに拡大すれば、移行コストは加速度的に増大します。

軸②有識者の退職・異動が現実味を帯びているか

人材リスクは、発生してから対処しようとしても手遅れになりやすい領域です。特にシステムを支える中心メンバーの定年退職のタイミングは、メインフレームからの移行完了を考える1つの目安と言えます。次のような状況であれば、手を打つ必要があります。

  • メインフレーム運用の中核メンバーの年齢が50代後半に集中している、または、3~5年以内の定年退職予定者が複数存在する

  • 担当者のキャリア志向がクラウドやAI領域にあり、現在の業務との乖離が生じている (異動の希望や転職のリスクが考えられる)

  • 後継者が明確に決まっておらず、育成の見通しも立っていない

「まだ誰も辞めていない」という現状は安心材料にはなりません。退職が決まってから動き出しても、仕様の確認と整理だけで数か月を要するケースは珍しくないためです。

軸③外部リソースの確保が難しくなっているか

ITベンダー側の状況は、自社だけでは把握しにくい領域です。同業他社やベンダーとの情報交換を通じて、継続的にリソース状況を確認することを推奨します。以下のような兆候があれば、市場のひっ迫はすでに始まっています。

  • 同業他社と会話する中で、メインフレームやCOBOL案件の単価上昇が話題となった

  • ITベンダーへの相談で打ち合わせを依頼すると、いつも数週間後以降の日程調整となる

  • ITベンダーに相談、PoC、見積りなどを依頼しようとしたが、暗にお断りされてしまった

市場の人的リソースの状況を体系的に確認するのは困難ですが、いざリソース不足に気付いた時には、プロジェクト開始までに数か月から半年待ち、場合によっては1年以上待つ可能性があることを念頭に置く必要があります。

上記3つの中で1つでも該当する軸があれば、現状の把握を始めるサインと考えてよいでしょう。移行するかどうかはその後の話です。まず「自社がどういう状態にあるか」を知ることが、メインフレーム刷新を判断する第一歩となります。


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メインフレーム刷新の選択肢

一方で、実際にメインフレーム刷新を検討し始めてもスムーズには進まないでしょう。多くの企業が「どの方式を選ぶべきか」という問題に直面するためです。しかしこの問題には明確な正解があるわけではありません。なぜならメインフレームの刷新は「移すか、作り直すか」といった二択ではなく、

  • どこまで業務を変えるのか

  • どこまで既存資産を活かすのか

  • どの程度の期間・リスクを許容するのか

といった複数の観点が絡み合うテーマだからです。
ただし一見すると複雑に見えますが、実際のアプローチは大きく4つに整理できます。

1. 再構築(Re-Architect / Re-Build)

既存システムの仕様やコードを参考にしながらも、設計から全面的に作り直す手法です。従来のモノリシックな構造から、マイクロサービスなどの最新アーキテクチャへ転換することも可能です。

業務やシステム構造そのものを見直す前提となるため、変革志向が強い企業に適した選択肢といえます。

2. リホスト(Re-Host)

ソースコードやデータ構造をほぼ変更せず、実行基盤のみをオープン環境へ移行する手法です。いわゆる「リフト&シフト」に近い考え方で、まずはメインフレーム特有の制約から脱却することを主眼に置きます。

業務への影響を抑えながら基盤コストを見直したい場合に検討される方法です。

3. リライト(Re-Code)

既存のCOBOL資産をJavaやC#などの現代的な言語へ変換する手法です。業務ロジックそのものは維持しつつ、開発言語や実行環境を近代化します。

業務を大きく変えずに将来の拡張性や人材確保の柔軟性を高めたい企業にとって、現実的な選択肢の一つとなります。

4. パッケージ適用(Replace)

自社開発システムを廃止し、ERPやSaaSなどの既製製品へ置き換える方法です。自社特有のやり方を見直し、「Fit to Standard(業務を製品に合わせる)」という思想へ転換します。

業務標準化を前提とする場合に検討されます。

正解は企業により異なる

これらの方式は、それぞれ「正しい」側面を持っています。しかし同時に、変化の大きさ、組織への影響、投資規模、移行期間、将来の自由度、といった点でトレードオフが存在します。

業務を抜本的に変えれば将来の柔軟性は高まりますが、移行負荷も大きくなります。逆に、影響を抑えれば短期的な負担は小さくなりますが、将来の制約が残る可能性もあります。

つまり、方式選定とは「優劣の比較」ではなく、「自社が何を優先するかを決める行為」です。ここが整理できていないまま期限だけを意識すると、判断はどうしても後ろ倒しになります。

自社にとって適切なタイミングで適切に判断をするためにも、十分に時間をかけて検討する必要があります。今すぐ検討に入ったとしても、決して早すぎることはありません。

EXERAが提供する価値

前章で触れたとおり、メインフレーム刷新には複数の選択肢があります。その中で、「業務ロジックは維持しながら近代化したい」という企業にとって、リライトは現実的なアプローチの一つです。

しかし、リライトは単なる"言語変換"ではありません。実際には、

  • 変換後コードの保守性

  • オンライン制御部分の再設計負荷

  • 性能や安定性といった非機能要件への対応

  • 移行後の環境依存

といった論点が存在します。

EXERAは、富士通メインフレーム特有のオンライン制御(AIM)をJava環境上で再現するために設計された富士通メインフレーム向けJavaリライトソリューションです。

一般的なリライトではオンライン制御の再設計が必要になりますが、EXERAはAIM互換フレームワークを提供することで既存の処理モデルを大きく変えずにJava環境へ移行できます。

EXERAの特徴

下記、EXERAの特徴を3つにまとめました。

1. 富士通特有資産を前提とした設計

富士通メインフレームでは、オンライン処理を制御する「AIM」など、特有のミドルウェアが利用されています。

一般的なリライトでは、この部分をJava標準フレームワークへ置き換えるため、オンライン制御部分の再設計が発生し、結果として業務ロジックの修正範囲が広がるケースもあります。

EXERAは、AIM互換フレームワークを提供することで、富士通特有の処理モデルをJava環境上で再現可能な構造を備えています。これにより、

  • 業務ロジックの書き換え範囲を抑制

  • 既存の処理特性を踏まえた移行設計

が可能になります。これは、「業務影響を最小限に抑えたい」という企業にとって大きな意味を持ちます。

2. 移行後の"第2のロックイン"を避ける設計思想

リライト後も、特定ベンダーの独自仕様に依存する構成では、環境を変えるたびに制約が生まれます. EXERAは、Jakarta EE(旧Java EE)準拠の設計思想を採用しており、業界標準仕様に基づいた構成を志向しています。

これにより、特定の実行環境に強く依存しない形での展開が可能となり、将来的なクラウド移行や基盤変更の自由度を確保しやすくなります。

リライトの目的が単なる延命ではなく、将来の選択肢を広げることにあるのであれば、この設計思想は重要なポイントとなります。

3. 言語変換で終わらせない"運用の近代化"

言語をJavaに変換したとしても、運用モデルが従来のままであれば、開発・保守の生産性は大きく変わらない場合があります。

EXERAは、コンテナ技術の適用を見据えた構成を採用しており、CI/CDなどの自動化基盤との連携も可能です。これにより、環境差異の抑制、テストやデプロイの効率化、より短いサイクルでの改善といった、運用面での近代化も視野に入ります。

リライトは"変換"ではなく、"再設計"であるという視点を持つことが重要です。

まずは、適合性を確かめることから始めよう

もちろん、EXERAがすべての企業にとって唯一の正解というわけではありません。重要なのは、自社の業務特性やシステム構成に適しているかどうかを確認することです。そのために有効なのが、PoC(移行性検証)です。

実際の資産を用いて検証することで、技術的な実現性、想定される課題、移行規模の目安などを具体的に把握することができます。

「今すぐ移行するかどうか」を決める前に、「移行できる状態かどうか」を知る。EXERAは、その第一歩を支援します。 詳しくはこちらをご覧ください。

2035年問題に対応するためには今から検討を進めることが重要

2035年に富士通メインフレームの保守サービスが終了するにあたり、多くの企業で基幹システムをいつ移行するべきか頭を悩ませています。しかし、問題の本質は"期限"そのものではありません。本記事でみてきたように、メインフレームを取り巻く環境は、技術・人材・市場のいずれにおいても、静かに変化を続けています。何も整理されていない状態のまま時間が経過すれば、いざ判断が必要になったときに、十分な比較や検証ができない可能性があります。

今重要なのは、移行するかどうかを決めることではなく、「いつ考え始めるのか」「どの観点で整理するのか」「どの程度の選択肢を持てる状態にしておくのか」などを明確にすることです。

その第一歩として、PoC(移行性検証)があります。PoCは移行を決める場ではなく、自社の現状を可視化し、実行可能性と課題を把握するためのプロセスです。小さな検証を通じて、将来の判断材料を準備することができます。

EXERAは、こうしたPoCフェーズから段階的な検討を支援します。

2035年問題を"いつ移行するか"ではなく、"どのように準備するか"を明確にしていくことが求められています。それが、将来自社にとって最適な選択肢を得るための現実的なアプローチではないでしょうか。

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