組織内でサイロ化が発生すると、業務効率が低下したり、データの利活用が難しくなったりと、様々な悪影響をもたらします。サイロ化は、放っておくと状況をさらに悪化させるため、早めに解消しておくことが重要です。本記事では、サイロ化の種類や課題、解決策について解説します。
サイロ化とは?
例えば、作成した資料を所属部門のみで管理するストレージに保存していた場合に、サイロ化が発生します。他の部門が資料を必要としたときにストレージを参照できなければ、該当する部門の担当者へデータを要求する手間が必要です。また、資料の存在自体を知らなければ、同じ内容の資料を新たに作成するといった無駄を生じさせます。
このようにサイロ化が起こると、業務効率の低下やデータの利活用を阻害するなど、企業運営に様々な影響を及ぼします。ここでは、サイロ化の種類や起こる原因について解説します。
サイロ化には様々な種類がある
一言で「サイロ化」といっても種類は様々ですが、主な例として、「システムのサイロ化」、「組織のサイロ化」、「データのサイロ化」の3つが挙げられます。
システムのサイロ化は、社内の各部署や部門で使われるそれぞれのシステムが連携できない状態を指します。
組織のサイロ化は、部署や部門間の連携がスムーズに行われず、他部門がどのような業務を行っているのかを正確に把握できない状況です。
データのサイロ化は、各システムや部門でデータを共有できていない状態を指します。
各サイロ化の課題や解決方法については、後述していますので、ぜひ確認してみてください。
サイロ化が起こる原因
事前に部門間で話し合わず、各々が独自に選定したシステムやツールを導入することが、システムのサイロ化を招きます。このような事態は、それぞれが担当する業務にあわせてシステム運用を最適化しようとした結果として発生します。
特定の業務遂行において部門内では使い勝手が良いシステムだとしても、連携を前提としていなければ、組織全体ではかえって効率を下げる結果となりかねません。
さらに、利用するシステムの種類やデータ量が増えるにつれてサイロ化は深刻化します。あとになってデータを統合しようとしても、異なるシステムでは出力される形式も異なるため、データの蓄積にともなってサイロ化の解消が難しくなっていきます。
また、従業員同士や部門間で連携が取れておらず、社内で積極的に情報共有する風土が形成されていない環境は、組織のサイロ化を悪化させる要因のひとつです。
サイロ化のデメリット
現代はデジタル技術の発展に伴って企業が取り扱うデータの総量が増大しており、事業活動を通して収集・蓄積されたビッグデータの戦略的活用が求められています。しかし、サイロ化は事業活動において様々な弊害を生じさせるため、組織の持続的な発展を妨げる要因となりかねません。サイロ化がもたらす主なデメリットとしては、以下の4点が挙げられます。
生産性が低下する
サイロ化によって生じるデメリットのひとつは生産性の低下です。生産性はヒトやモノ、お金といった経営資源の投入量に対する産出量の比率を表す指標で、企業にとって生産性の向上は非常に重要度の高い経営課題です。しかし、業務システムが組織内で分断された状態で管理されている場合、部門を横断した情報共有が困難となるため、組織全体における生産性の低下が懸念されます。
また、各部門が個別の業務システムを運用している場合、保守・運用における業務負荷と管理コストの増加を招く点も大きなデメリットです。さらに組織内でデータがサイロ化している場合、データの収集に多大な時間を要するとともに、更新されていない古い顧客データを参照したり、他部門が作成済みの書類を再度作成したりなど、無駄な作業が発生します。このような非効率的な業務体制では従業員一人ひとりの労働生産性が低下し、収益性の悪化や経営基盤の弱体化を招く要因となります。
DXを実現できない
経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖(※)」が差し迫っており、国内では様々な産業で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進が重要な経営課題となっています。2025年の崖とは、企業が保有するITシステムの老朽化・ブラックボックス化によって生じる国内全体における市場競争力の低下を指す問題です。この問題を解消するためにはデジタル技術の戦略的活用による経営改革が不可欠であり、企業ではITインフラの刷新によるモダナイゼーションが求められています。そして、先進的なITインフラを構築する上で欠かせないのが組織内におけるサイロ化の解消です。
先述したように、現代はデジタル技術の進歩とともに企業が取り扱うデータの総量が増大しており、ビッグデータを活用した市場調査や需要予測の重要性が年々高まっています。データ分析のスピードと精度を高めるためには、事業活動を通して収集された膨大なデータ群を一元的に管理する仕組みが欠かせません。しかし、従来のオンプレミス環境で運用している基幹システムは各部門で個別に管理されているのが一般的であり、部署によってデータの形式や粒度などが異なります。このようなシステム環境では全社横断的なデータ連携が困難となるのはもちろん、2025年の崖に直面することで世界の市場競争から取り残される可能性が高まります。
(※)参照元:DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~|経済産業省(https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf)
経営の意思決定が遅れる
しかし、業務システムやデータが分断されている場合、部門間連携の遅滞やデータの重複・矛盾が生じるため、リアルタイムなデータマネジメントが実現できません。その結果、スピーディーな経営の意思決定ができず、市場環境の急激な変化に対する迅速かつ的確な対応が困難となります。変化の加速する現代市場では最新のデータを部門や支社間で共有し、情報のリアルタイム性を確保することが重要であり、サイロ化はビジネスチャンスを逃す要因となりかねません。
顧客満足度が下がる
また、現代はデジタル化の進展に伴って市場の成熟化が加速しており、プロダクトの性能・機能といった機能的価値や、コストパフォーマンスに基づく訴求方法では差別化が困難になりつつあります。競合他社にはない価値を顧客に提供するためには、より感覚的かつ精神的な情緒的価値の創出が必須であり、そのためには見込み客の潜在需要や消費者のインサイトを俯瞰的かつ客観的に分析しなくてはなりません。ところが、情報のサイロ化が生じている場合、需要予測の精度が低下し、新たな付加価値の創出と顧客満足度の向上が困難となります。
サイロ化を解消するメリット
生産性向上
サイロ化の改善には、まず自社の業務全体を洗い出し、どの部分においてサイロ化が生じているのかを把握する必要があります。そのため、改善を進めるプロセスにおいて、これまでには気がつかなかった手順の無駄が明らかになり、業務フローの最適化が可能です。
データがサイロ化している現場では、データの二重入力や転記などの無駄な作業が発生しがちです。サイロ化の改善によって不要なアナログ業務を削減できれば、社内のリソースをより重要性の高い業務へ割り当てられるようになります。これにより、新たな商品の開発やマーケティング施策への注力など、生産性の高い業務に集中できます。
また、サイロ化を改善して社内のデータを活用できる環境が整えば、蓄積したデータを解析・学習して社内業務の自動化に活かせます。AIや機械学習を取り入れることにより、さらなる業務効率化が期待できます。
データの価値向上
例えば社内の売上データを正確に把握している企業なら、過去の売上実績から自社の商品が売れる季節などの傾向を導き出し、生産スケジュールの策定に反映するといった活用方法が考えられるでしょう。サイロ化の改善は社内に存在するデータの価値を向上させ、迅速かつ正確な経営判断を実現します。
AIなどの技術を活用すれば、ビッグデータから市場の動向を見極めたり、新たな市場ニーズの開拓を進めたりすることにも役立ちます。
イノベーションの促進
サイロ化された状態では気がつかなかった新しいアイデアを取り入れることで、新たなビジネスモデルや新商品を開発し、市場に新たな価値を投入できます。サイロ化の解消によって社内のイノベーションを促進し、顧客に対する新たなアプローチを可能にするだけでなく、市場における競争力の強化も実現できます。
サイロ化を改善するポイント
ポイント1:職域を超えたトレーニングを行う
各従業員が他部門の業務内容を理解することで、携わる事業のプロセス全体を把握し、取り組んでいる業務の立ち位置をより強く認識できるようになります。従業員それぞれが社内全体のチームとしてのつながりを意識していれば、自然と他部門との連携を取りやすくなるため、組織のサイロ化の改善へとつながります。
また、従業員が様々な業務を経験する過程で、自身の適性を再認識する機会が与えられるため、今後のキャリア開発にも効果的です。
トレーニングの方法は企業によって様々です。一例として、部門別の勉強会を設ける方法があります。従業員が興味のある勉強会へ自主的に参加できるような方式を選択すると、日頃取り組んでいる業務以外でも興味のある知識やスキルを獲得できるため、新たな適性を発見するきっかけとなるでしょう。
また、部門間の交流を活性化するために、定期的にミーティングの機会を設けるのも方法のひとつです。例えばマーケティング部門、インサイドセールス部門、営業部門が合同でミーティングを行うことで、社内の営業活動における現状認識をより強固なものにしつつ、部門間の結束を強められます。
ポイント2:責任者同士が協力する
責任者同士がお互いの目標を知ることで、サイロ化を解消するためにはどのようなアプローチが必要なのかについて、アイデアを出し合えます。また、「サイロ化を解消する」というひとつの目標に向かって進んでいこうとする結束力も生まれます。
責任者がサイロ化の解消に取り組む意識を強く持たなければ、所属するメンバーの協力を引き出すことも難しくなります。責任者がサイロ化解消への意識を強く持ち、従業員を牽引する姿勢を見せることが、全社的な改善への意欲を向上させます。
ポイント3:他部署との交流を図る
社内のコミュニケーション活性化は、組織のサイロ化を防止するだけでなく、積極的な情報共有によって「データのサイロ化」回避にもつながります。
他にも、部門間を横断したチーム編成はサイロ化解消に効果的です。例えばサイロ化解消に向けたプロジェクトを発足する際には、情報システムや総務など専任する部門のみでチームを編成するのではなく、社内のあらゆる部門からメンバーを集めましょう。各部門の意見を受け入れる場を作ることで、部門間の交流を活発化できます。
通常、データのサイロ化はひとつの部門で起こっているわけではありません。複数の部門がそれぞれに孤立したシステムやデータを運用することで、サイロ化はさらに悪化します。各部門でどのようにしてサイロ化が起きているのか、情報共有を徹底する意味でも、部門を横断した意見交換の機会は重要です。
ポイント4:データ統合システムを活用する
システムを導入せずに社内のデータを統合的に管理するためには、複数の部門が同じ形式でデータを作成する必要があります。しかし、日々の運用の中で全ての部門が同一のルールや様式に従って正確なデータ管理を行い続けることは、現実的に困難をともないます。
ある部門が、様式で想定していないデータの収集を必要とした場合、ルールや様式に変更を加え、全部門で対応する必要があります。その結果、正しく入力できていない場合や、手間を惜しんで勝手に様式を変更してしまうことで、統一が困難になります。
データ統合システムを導入すれば、システムによって決められたフォームに情報を入力するだけで、あらゆる部門のデータを簡単に蓄積できます。共通の様式を維持・管理するための手間も削減できるため、管理者の負担軽減が可能です。
サイロ化を解消するためには、データを統合的かつ継続的に取得できる環境を整えなければなりません。この点でも、自動的にデータを蓄積できるシステムの導入が効果的です。
サイロ化の種類別問題と解消方法
特にデータのサイロ化を解消するためには、「分析」と「オペレーション」でそれぞれの弊害に対する解決策が必要です。
組織のサイロ化
このような組織では、日頃から他部門との交流が積極的に行われず、「すぐ隣の部門がどのような業務を行っているのか分からない」というケースも珍しくありません。そのような状況だと、例えばマーケティング部門がすでに接触を図っている見込み客に、営業部門が重複して接触を試みてしまうといった問題の原因となります。
従業員が自身の業務にのみ関心を持ち、他部門の業務内容を知ろうとしないことも、組織のサイロ化を悪化させる要因です。
組織のサイロ化を解消するためには、部門間で積極的に交流を図る社内風土の醸成や、従業員同士のこまめなコミュニケーションが重要になります。部門を横断したミーティングの実施や、グループウェア、チャットツールの活用によって、社内コミュニケーションを活性化させましょう。
近年では、ファイル共有やチャット、Web会議機能、進捗管理など、組織やチームの業務を広くサポートする機能を持った「コラボレーションツール」も登場しています。グループウェアやチャットツールのような単独のツールを複数導入すると、導入や運用に手間取る場合があります。
単一で複数の機能を備えたコラボレーションツールを活用してサイロ化の解消を図りましょう。
データのサイロ化
分析の弊害は、データの利活用ができないことによる分析精度の低下を表します。一方のオペレーションの弊害は、業務に必要不可欠なデータがサイロ化し、管理にかかる手間の増大や業務の非効率化が課題です。
分析の弊害
データのサイロ化による分析の弊害は、データ分析のために必要不可欠なデータが社内のあちこちに点在しており、統合的に管理されていないことによって起こります。
部門ごとにデータの保管、管理を行った結果、他の部門に求めるデータがあってもアクセスできないといった事態を引き起こします。
それだけでなく、一箇所にデータが集まっていないと、AIなどを活用した精度の高いデータ分析が難しいため、人の手によるデータ分析や、経験則に頼った企業運営を行わざるを得ません。人の手で行うデータ分析は、主観的な要素が混じりやすい側面もあり、システムを活用した客観的な分析に比べて精度が低下しやすい点が課題です。
また、経験則に頼った運営は、主観的で曖昧なため運に左右されやすく、方針を打ち立てる際に根拠となるデータを示せないため、組織への説得力を持たせられません。
分析の弊害を解消するためには、データ統合基盤を用意して、一元的にデータを集約できる環境を構築する必要があります。しかし、膨大なデータを蓄積できるスペックの高いストレージを用意すると、導入・維持に高いコストがかかります。
コスト面も考慮しつつ統合的にデータを管理するなら、情報のライフサイクルに注目した「ILM」の考え方を取り入れることが大切です。アクセス頻度の高い「オンラインストレージ」にスペックの高いクラウドストレージを割り当てて、ほとんどアクセスされない「オフラインストレージ」には安価なテープストレージを割り当てるなど、コストパフォーマンスの高い設計を心がけましょう。

オペレーションの弊害
また、異なる部門で同じようなデータを別々に管理していると二重の手間をかけることになります。
多くの場合、社内の文書ファイルに関するルールが明確に設定されていないために、このようなサイロ化を招きます。適切な文書やデータの保管はコンプライアンスの遵守にも影響するため、運用ルールを見直しましょう。
業務データを統合的に管理するなら、社内の共通ドキュメント管理基盤を導入する方法が望ましいでしょう。共通ドキュメント管理基盤とは、組織や部門をつなぐ「ハブ」の役割を担うシステムを指します。社内のあらゆる部門に設置されているストレージを共通基盤でつなぐことでデータを集約し、統合的な管理を実現できます。
共通ドキュメント管理基盤を導入するなら、コンテンツクラウドの「Box」がおすすめです。社内に点在するデータだけでなく、社外の協力会社や契約パートナーが扱うデータや、営業担当者が持ち歩くスマートフォンなどを含んだ、あらゆるデータを管理できます。

システムのサイロ化
各部門の業務に個別最適化されたシステムは、一見すると効率化に役立っているように見えます。しかし、各システムのデータ連携をサポートするための共通部品を作らず、各部門が独自にシステム開発を進めてしまうと、全体での統合的な管理が困難となり、サイロ化を引き起こします。
また、開発を重ねることによってシステムの複雑化が進めば、メンテナンスに工数がかかり、システムを扱える担当者が限定されるため、属人化が進むリスクも高まります。
この課題を解決するためには、社内での統合的なシステムの開発が重要です。統合システムを開発する際は、全社的な標準ルールを定め、統制を取る必要があります。
統制を取らずにアプリケーションの個別開発を進めると、運用開始後に適切なID認証の管理が行われず、IDのサイロ化が生じる可能性があります。
各部門が自由にIDを発行・管理できる環境下では、社内で使用されているIDを正確に把握できず、セキュリティリスクが高まります。IDを統合的に管理するためには、全社共通の統合認証基盤を構築しましょう。対応するシステムやアプリを一度の認証で一括して利用可能にするシングルサインオン(SSO)を実現すれば、セキュリティ上の要件を管理しやすいだけでなく、日々の認証の手間を削減できます。
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