営業におけるAI活用例8選|実際の活用シーンと合わせて解説


営業部門では、見込み顧客の発掘や分析から商談の準備、商談、フォローアップまで、担当者が抱える業務は膨大です。日々の業務に追われ、有望な見込み顧客へのアプローチが後手に回る、商談の質を高める準備時間が不足するなどの課題があるケースもみられます。
実際に、営業担当者が本来のコア業務である「顧客との対話」に充てている時間は、週の業務時間のわずか30%に過ぎないというデータもあります※1
残りの70%を占める非コア業務の負荷軽減こそが、営業生産性向上、ひいては収益拡大の鍵となります。

営業における業務効率化や課題解決のため、AIの活用を検討しているものの、「具体的にどのように活用すればいいのか」「自社に適したAIツールは何か」と悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、営業部門におけるAI活用の具体例を紹介し、導入のポイントや注意点まで詳しく解説します。AI活用による営業改革を推進し、競争力を高めたい企業の皆様はぜひ参考にしてください。

出典:
※1 Salesforce『State of Sales (6th Edition)

営業の各ステップにおけるAI活用例5選

業務効率化のため、さまざまな部門においてAI活用は進んでいます。
THE ADECCO GROUPが行った調査では、日常的にAIを使う働き手の数は、「2023年の31%から大幅に増加して、2024年は48%」になったと報告されています。「仕事でAIを活用する働き手」がAIを活用して節約できる平均時間は1日あたり平均1時間という結果も出ており、実際に業務効率化につながっているようです※2

ここでは、営業担当者が個人ですぐに始められる、生成AIツールを使った業務効率化の例を紹介します。ChatGPTやGeminiなどの汎用的に利用できる生成AIツール、Nottaのような議事録自動作成ツールなど、無料または低コストで使えるツールでも、日々の営業業務をある程度効率化することが可能です。
以下の表は、営業プロセスのステップごとに、代表的なAI活用の方法をまとめたものです。

AI活用例
1. 仮説立て 市場分析と顧客ニーズの仮説立て
2. アプローチ検討 戦略的なゴール設定とアプローチ策定
3. 商談準備・調整 提案書・営業メール・トークスクリプトの作成
4. 商談実施 議事録の自動作成・要約
5. フォローアップ&Nextアプローチ フォローメールの即時生成と次回仮説の立案

それでは、ステップごとの具体的なAI活用方法を見ていきましょう。

1. 【仮説立て】市場分析と顧客ニーズの仮説立て

AI活用により、数時間かかっていたリサーチ業務を劇的に短縮できます。

【具体例】

  • ChatGPTやGeminiなどに「〇〇業界の最新トレンドを3つ要約して」と指示
    ⇒ 情報収集する時間を大幅に削減

  • 顧客リストや有価証券報告書の情報(機密情報は除く)を入力し、「この企業群が共通して抱えている可能性のある経営課題」の仮説について、AIを壁打ち相手に
    ⇒ 商談前の準備の質向上

2. 【アプローチ検討】戦略的なゴール設定とアプローチ策定

仮説に基づき「何を達成すべきか」と「どのように進めるべきか」をAIと論理的に検討することができます。

【具体例】

  • 顧客の課題仮設(例:コスト削減より売り上げ拡大を優先)をChatGPTやClaudeなどに提示し、「この課題を解決するための提案の方向性をいくつか挙げて」と指示
    ⇒ 多角的なアプローチ案を抽出

  • 洗い出した複数のアプローチ案について、「期待効果や想定リスク、実行に必要なリソースを整理して」 と指示
    ⇒ 比較検討のたたき台を効率的に作成

  • 洗い出した複数のアプローチ案について、「期待効果や想定リスク、実行に必要なリソースを整理して」 と指示
    ⇒ 比較検討のたたき台を効率的に作成

3. 【商談準備・調整】提案書・営業メール・トークスクリプトの作成

提案の構成や骨子の作成をAIに任せることで、営業担当者は内容のブラッシュアップに集中することができます。

【具体例】

  • 顧客の課題と自社製品の概要をChatGPTやClaudeなどに提示し、「この課題を解決するための提案書の構成を作成して」と指示
    ⇒ 提案の骨子をスピーディーに作成

  • 顧客の業種やその他の情報をAIに読み込ませ、「〇〇という課題を持つ顧客向けのアポイントメールを3パターン作成して」と指示
    ⇒ パーソナライズされた文面をスピーディーに作成

  • 「顧客が抱えそうな疑問は?」「顧客から『競合A社との違いは?』と聞かれた場合」など、想定される質問や状況をAIに入力し、論理的な切り返しを作成
    ⇒ 質問への回答準備の効率化

4. 【商談実施】議事録の自動作成・要約

AIの活用で議事録作成と商談後の要約作業を効率化できます。

【具体例】

  • NottaやOtter.ai(無料枠あり)といった生成AIの文字起こしツールを活用し、商談中の会話をリアルタイムでテキスト化
    ⇒ 担当者はメモを取る必要がなくなり、顧客との対話に集中

  • 議事録のテキスト全体をAIに読み込ませ、「決定事項・ToDoリスト(誰が、いつまでに)・顧客の主な懸念点など要点を絞ってまとめて」と指示
    ⇒ CRMなどへの入力作業を効率化

5. 【フォローアップ&Nextアプローチ】フォローメールの即時生成と次回仮説の立案

AI活用で、商談後のフォローメール作成と、次回アプローチに向けた仮説のブラッシュアップがスピーディーに行えます。

【具体例】

  • 商談終了後すぐにChatGPTやGeminiなどに商談の要約を入力し、「商談のお礼と、次のアクションを再確認するフォローアップメールを生成して」と指示
    ⇒ 一から文面を考える時間を短縮

  • 商談で得られた実際の顧客課題やニーズをAIに入力し、「当初の仮説との差分」や「次回提案すべき新たな切り口」を抽出
    ⇒ 次回アプローチの精度を向上

  • 「顧客が抱えそうな疑問は?」「顧客から『競合A社との違いは?』と聞かれた場合」など、想定される質問や状況をAIに入力し、論理的な切り返しを作成
    ⇒ 質問への回答準備の効率化

出典:
※2 THE ADECCO GROUP『変化を乗り越える AIが牽引する仕事の世界への適応

営業組織全体で取り組むAI活用例3選

営業担当者が個人ですぐに使えるAIツールに加えて、組織全体でAIを導入・連携することで、営業組織全体の生産性を向上させることが期待できます。

Salesforceの調査※3では、AIを利用する営業チームは、利用しないチームに比べて収益増を実現する可能性が約1.3倍高いとしており、組織的なAI活用の有効性が示唆されています。

組織の生産性向上を実現するAI活用例を紹介します。

1.社内ナレッジ共有の効率化

営業担当者が提案書の作成や顧客から想定外の質問への対応に直面した際など、AIは社内の暗黙知や膨大な資料から即座に回答を見つけ出すことが可能です。
多くの企業で課題となっているのが、ナレッジの散逸と属人化です。膨大な営業資料、製品マニュアル、過去の類似提案書が社内フォルダやチャットツールに点在し、必要な情報が見つからない状況が多々あるでしょう。

この解決策として、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)の活用が挙げられます。通常AIは、学習時に含まれていなかった企業固有の情報には回答できません。しかしRAGを用いることで、社内に蓄積された文書やナレッジを検索結果として参照しながら、回答を生成することが可能になります。

さらにRAG構造の社内ナレッジAIを導入し、「〇〇業界向けの製品の成功事例は?」などと入力するだけで、AIが社内データベースを横断検索し、該当する資料や回答を瞬時に提示します。これにより、提案の質とスピードを同時に向上させることが期待できます。

2.AIアバターで営業ロールプレイング研修

従来の上司や先輩とのロープレには、時間的制約や評価の属人化(評価基準のばらつき)といった課題がありました。相手役の時間確保が難しく、十分なトレーニングの機会を設けられないことも少なくありません。

AIアバターを相手にすれば、実際の顧客を想定したシチュエーションで、繰り返しトレーニングを行うことが可能です。さらに、AIがトレーニング中の対話内容を客観的に分析し、「話す速度」「キーワードの使用率」「コンプライアンス違反の有無」などを即時フィードバックすることができます。
そのため育成プロセスを迅速化し、効率的な営業スキル平準化にもつながります。

3.蓄積されたデータからビジネスインサイトを抽出

組織全体のAI活用が進むと、日々の活動データが自然と蓄積されていきます。

全社の商談履歴、顧客からの問い合わせ傾向、提案成功率などの膨大なデータを、AIに横断分析させることで、「どの業界・企業規模で成約率が高いか」「どの時期にどのような課題が顕在化しやすいか」といった成功パターンや傾向を可視化できます。
さらに、AIが導き出したインサイトをもとに「今後注力すべき市場セグメントの特定」「新規サービス開発の方向性」「営業リソースの最適配分」といった経営判断の支援も可能。勘や経験則に頼らないデータドリブンな意思決定が、組織の競争力を高めます。

エクサのAIエージェント「ai with」は、営業担当者が社内手続きや資料検索で「誰に聞けばいいかわからない」という悩みをチャットボット機能で解決したり、AIアバターによるロールプレイング研修でスキルアップをサポートします。

出典:
※3 Salesforce『Salesforce Report: Sales Teams Using AI 1.3x More Likely to See Revenue Increase

営業部門でのAI導入の進め方と活用のコツ

ガートナーの調査では、企業の最高収益責任者(CRO)の35%が、「2025年までに組織内に生成AI運用チームを設立する」としています※4。多くの企業において、AI導入に向け、組織全体で取り組むことの重要性を理解していることがうかがえます。
営業組織へAIを導入する際の3つのステップと活用のコツを紹介します。

AI導入の進め方

組織全体に一斉導入すると予期せぬトラブルで頓挫するリスクが高いため、小さな成功体験(クイックウィン)を作り、組織内に「AIは使える」というポジティブな空気感を形成することが重要です。スモールスタートで「小さな課題」から効果を検証し、段階的に展開してきます。

⮚ ステップ1:スモールスタート(約3ヶ月)
まずは特定の業務や少人数のチームに絞って導入し、効果の確証を得ることに集中します。

<このステップで実施すること>

  • 試験運用の対象者と対象業務を選定

  • 活用しやすい環境の整備、運用ルールの設定

  • 小さな成功体験(クイックウィン)の創出と効果検証

⮚ ステップ2:部分導入・拡大(約2~4ヶ月)
ステップ1の検証結果に基づいて利用範囲を徐々に広げつつ、本格的な運用に耐えうるシステムへと磨き上げます。

<このステップで実施すること>

  • ステップ1の試験運用の対象者へのヒアリング

  • ヒアリングで抽出された課題に対する短期間での改修

  • 利用した人の成功事例を他のメンバーへ共有

  • 利用対象者の拡大

⮚ ステップ3:定着化・仕組化・全社展開(約6ヶ月~)
AI活用を個人のスキルやモチベーションに依存させず、組織で「当たり前」に活用するための仕組みを構築します。

<このステップで実施すること>

  • 新人研修へのAIツール利用講習の組み込み

  • AIの利用を前提とした業務ルールの標準化

  • 利用率や実務への定着度などAI利用状況のモニタリング

  • 各部署にAI推進リーダーを配置

より詳細な導入ステップをご説明した資料もご用意しています。

  • ユースケース事例
  • 絶対押さえておくべき3つの注意点

現場主導で変革を起こしたいリーダー必見のガイドです。


出典:
※4 Gartner『Gartner Says 35% of Chief Revenue Officers to Establish a Generative AI Operations Team in their Go-To-Market Organization Within Two Years

AIの活用のコツ

下記のような点に注意することが、AIの有効活用につながります。

⮚ 機密情報・顧客情報の漏洩に注意する
一般向けの無料AIツール(ChatGPTの無料版など)に入力した情報は、AIの学習に利用され、意図せず機密情報や顧客情報を外部に提供してしまう可能性があります。
「機密情報・顧客情報は一般向け無料AIツールには入力しない」といったルールを定める、入力データが学習に利用されない法人向けAIサービスを選定するといった工夫が必要です。

⮚ ハルシネーションを適切にコントロールする
生成AIには、事実と異なる情報を生成する「ハルシネーション」という現象があります。ハルシネーションをコントロールすることが、安全、かつ有効な活用につながります。

ハルシネーションと、その適切なコントロール方法について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
生成AIを効果的に使いこなすために|ハルシネーションのメカニズムと付き合い方を解説

⮚ AIの出力データは必ず検証する
例えばChatGPTやGeminiなどの機械学習モデルの多くは、内部の判断プロセスが見えない「ブラックボックス型AI」と呼ばれるものです※5。そのため「エビデンスも示して」と指示したり、複数のAIで確認したり、人の目で検証したりするなどの対応で、その可能性を限りなく低くすることができます。
また、昨今は内部の判断プロセス示す「ホワイトボックス型AI」が注目を浴び、開発が進められています。

出典:
※5 IBM『ブラックボックスAIとは何か、その仕組みとは』

営業活動におけるAIの適切な導入で実現する「強い営業組織」

営業活動におけるAI活用は、市場分析やメール作成といった定型業務の効率化に留まらず、AIアバターによる実践的な研修や、組織内のナレッジ共有を通じて、営業組織全体の力を底上げする手段としてとても有用です。

本ブログでご紹介した具体例からもわかるように、適切なステップでAIを導入し、現場に定着させることで、営業生産性や収益性の改善が期待されます。重要なのは、ツールを導入して終わりにするのではなく、自社の課題を明確にし、セキュリティやハルシネーションといったリスクへの対策を講じながら、組織全体で活用し続けることです。

株式会社エクサは、営業DXやAI活用支援において豊富な実績があり、貴社の営業プロセスに最適なAIソリューションをご提案いたします。提供サービス「ai with」は、AIアバターによる営業研修や、社内ナレッジのAI検索機能を通じて、営業担当者のスキル向上と業務効率化を同時に実現します。営業組織全体の生産性向上にお悩みの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

関連する記事

関連ソリューション

お問い合わせ

CONTACT

Webからのお問い合わせ
エクサの最新情報と
セミナー案内を
お届けします