ビジネスシーンにおいて、生成AIを取り入れたいと考えているものの「具体的にどの業務から始めればいいのか」「本当に効果があるのか」と迷っている人は少なくありません。2022年のChatGPTの登場以降、多くの企業で導入の検討が進み、現在は「導入するか否か」から「いかに安全かつ効果的に活用し、組織の収益性や競争優位性を確保するか」を問うフェーズへと移行しています。
本ブログでは、明日からすぐに実践できる生成AI活用のアイデアを8つご紹介します。日々の定型業務から専門的な業務、さらには人間の思考プロセスそのものを支援する高度な活用まで、具体的な方法をお伝えしますので、ぜひ業務効率化にお役立てください。
生成AIによる業務効率化アイデア8選
生成AIは、あらゆる業務シーンで活用できます。
一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査によると、言語系生成AIを「導入済み」、あるいは「試験導入中・導入検討中」とした企業の合計値は41.2%※1に達しています(2024年度調査時点)。また、導入済みの企業の約7割が何らかの効果を感じています。
さらにSalesforceの調査では、パフォーマンスの高い営業チームはそうでないチームに比べてAI活用率が約1.9倍高いという結果が出ており※2、多くの企業にとって必須のインフラになりつつあることがうかがえます。
ここでは、明日からでも実践可能な、業務効率化につながる生成AIの活用アイデアを8つご紹介します。
| アイデア | できること |
|---|---|
| 1. 文書・資料を作る | メール・報告書・議事録の自動作成 |
| 2. 情報を集める | リサーチ時間を大幅短縮 |
| 3. 分析する | データから傾向を読み解く |
| 4. アイデアを出す | 企画立案とブレストの相談相手 |
| 5. 人の思考を支援する | 思考の整理と具体化を支援 |
| 6. 文章を直す | 翻訳・校正・要約で品質向上 |
| 7. 顧客対応 | 営業メール・問い合わせ返信の効率化 |
| 8. 人材育成 | 研修コンテンツとロープレ相手 |
1.文書・資料を作る|メール・報告書・議事録の自動作成
白紙の状態から文章や資料を書き始めるという作業は、多くの人にとって心理的なハードルが高く、時間もかかる業務です。生成AIにたたき台(ドラフト)を作成させることで、人は0から1を生み出す時間を劇的に短縮し、内容のブラッシュアップという付加価値の高い作業に集中できます。
以下に、AI活用で効率化できる具体的な業務とプロンプト例、成果を紹介します。
【具体例1】メール作成
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プロンプト例:「〇〇社との打ち合わせのお礼メールを丁寧な文章で作成して」
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成果:適切な敬語・表現を用いた文面を数秒で生成
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備考:「会議で話題になった〇〇の件についても触れて」などの指示を加えることで、パーソナライズされた文章の作成も可能です。
【具体例2】議事録作成
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プロンプト例:会議の音声データを文字起こしツールでテキスト化し、AIに入力した上で、「決定事項・ToDoリスト(誰が、いつまでに)・懸念点の3点を抽出して要約して」
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成果:要点を押さえた議事録を作成
【具体例3】プレゼン資料の骨子作成
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プロンプト例:「新規顧客向けの会社紹介プレゼン資料の構成を10ページで作成して」
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成果:効果的な目次案を提示
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備考:「このスライドの具体的な説明文と、説得力を高めるために必要なグラフデータの種類を提案して」などと指示を重ねることで、資料の内容まで具体化させることができます。
2.情報を集める|リサーチ時間を大幅短縮
生成AIは、膨大な情報の中から必要な要素だけを抽出・要約することを得意としています。従来、複数のWebサイトを巡回して行っていたリサーチ業務をAIに任せることで、情報のファクトチェックや考察に時間を使えるようになります。
【具体例1】業界動向調査
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プロンプト例:「〇〇業界の、2025年の市場トレンドを5つのポイントで要約して」
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成果:主要なトピックを短時間で抽出
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備考:Perplexity、Microsoft Copilotなどの検索特化型AIを使えば、参照元のURLも提示されるため、ファクトチェックの効率化にもつながります。
【具体例2】競合調査
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プロンプト例:「競合A社の新製品Bについて、公開情報から強みと弱みを分析して」
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成果:瞬時に自社製品と競合製品の違いをわかりやすく(表、箇条書きなど)提示
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備考:AIの回答にはハルシネーション(AIが学習データに基づいて生成する、もっともらしいが事実ではない情報)が含まれる可能性があります。AIが集めた情報はあくまで手がかりとし、一次情報源で裏付けを取るプロセスを業務フローに組み込むことが重要です。
ハルシネーションについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
『生成AIを効果的に使いこなすために|ハルシネーションのメカニズムと付き合い方を解説』
3.分析する|データから傾向を読み解く
データ分析と聞くと、Excelの複雑な関数やBIツール、あるいはプログラミング知識が必要だと思われがちです。しかし、生成AIを活用すれば、自然言語で指示するだけで高度な分析が可能になり、専門家でなくても基本的なデータ分析が行えるようになります。
【具体例】売上分析
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プロンプト例:売上データやアンケート結果などのExcelファイルをAIにアップロードした上で、「この3ヶ月間の売上推移から読み取れる傾向を分析して」「特定の地域で売上が落ちている原因の仮説を立てて」
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成果:データの特徴や異常値を瞬時に検出し、注目すべきポイントを言語化
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備考: さらに、「このデータを基に、月別の売上推移を棒グラフで可視化して」などの指示で、プレゼン資料にそのまま使えるグラフ画像やコードを出力させることも可能です。
4.アイデアを出す|企画立案とブレストの相談相手
一人で企画を考えていると、どうしても自身の経験や知識のバイアスにとらわれ、発想が偏ってしまいがちです。生成AIを客観的な視点を提供するブレインストーミングパートナーとして活用することで、異質な視点を取り入れ、アイデアの幅を広げることができます。
【具体例1】ブレインストーミングパートナー
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プロンプト例:「30代女性向けの健康食品のキャンペーンアイデアを10個提案して。既存の枠にとらわれないユニークな切り口も含めて」
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成果:ブレインストーミングパートナーとして、多様な角度からのアイデアを提示
【具体例2】アイデアの評価
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プロンプト例:「このアイデアのメリットとデメリットを挙げて」
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成果:瞬時にメリット・デメリットを整理して提示
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備考:「実現するために必要なリソースをリストアップして」などとさらに深掘りしていくことで、ちょっとした思いつきを実行可能な企画へと発展させることも可能です。
5.人の思考を支援する|思考の整理と具体化を支援
単にアイデアを出させるだけでなく、そのアイデアを具現化するための思考プロセスそのものをAIに支援させる活用法です。
私たちは業務において、しばしば「何から手をつければいいかわからない」「考えがまとまらない」という状況に陥ります。そのような時、AIに壁打ち相手やガイド役になってもらい、思考を整理・誘導してもらうことで、課題解決のスピードと質を高めることができます。
【具体例1】課題整理の支援
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プロンプト例:「営業成績を改善するための課題分析をしたいので、私にいくつか質問をして、現状を整理してください」
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成果:ユーザー自身が最終的に「商談数は十分だが、クロージング力が弱い」などの真因に気づくよう、AIが「ターゲット顧客の選定に問題はありますか?」「商談数は足りていますか?」「成約率のボトルネックはどこですか?」といった質問で誘導
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備考:自身の思考の整理に活用する場合は、「営業成績が上がらないので解決策を」と指示するのではなく、プロンプト例のような内容が成果につながりやすいです。
【具体例2】意思決定の支援
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プロンプト例:「この戦略案を実行する上で、考慮不足のリスクや論理的な飛躍がないか、厳しめにレビューして」
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成果:客観的な視点で思考の抜けや漏れをチェックし、ユーザーの独りよがりな思考を修正
6.文章を直す|翻訳・校正・要約で品質向上
AIは文章を作成するだけでなく、文章を直す作業も得意です。AIを活用することで、個人の文章力や語学力などに依存せず、成果物の品質を一定レベル以上に保つことができます。
【具体例1】翻訳
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プロンプト例:「ビジネスシーンに適した、礼儀正しくかつ親しみのある表現で翻訳して」
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成果:単なる直訳ではなく、日本語の文脈に合った、かつ、ビジネスとして適切な英語表現で翻訳
【具体例2】校正
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プロンプト例:「この文章の誤字脱字や不自然な表現をチェックして」
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成果:短時間でミスの洗い出し、修正など
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備考:「この専門用語だらけの文章を、知識のない新入社員でも理解できるようにして」といった指示を出すことで、読み手に合わせたわかりやすい文章に整えることも可能です。
【具体例3】要約
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プロンプト例:「この長文レポートの要点を300字でまとめて」
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成果:重要点を押さえたサマリーを作成
7.顧客対応|営業メール・問い合わせ返信の効率化
個々の顧客に合わせたスピーディーできめ細やかな対応は顧客満足度につながりますが、人間のリソースだけでは、できることに限界があります。AIの活用で対応を迅速化でき、顧客満足度向上に寄与します。
【具体例1】メールの種類ごとのテンプレ作成
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プロンプト例:「問い合わせ受付メール、見積依頼への返信メール、商談後のフォローメール、クレーム初期対応メールについて、それぞれ適切なトーンと構成の文面を作成して」
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成果:状況ごとの返信文をあらかじめ用意しておくことで、迅速かつ安定した顧客対応が可能
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備考:AIが作成した文面をテンプレとして保存しておくことで、対応時は適宜文面をアレンジするだけで、スピーディーな返信が可能になります。
【具体例2】FAQたたき台作成
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プロンプト例:「この新商品について顧客から想定される質問を10個挙げ、それぞれに対する回答を作成して」
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成果:Webサイトやチャットボットに反映させるFAQのたたき台を作成
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備考:WebサイトやチャットボットでFAQを顧客に確認してもらうことで、自己解決を促し、問い合わせ対応の工数削減までつなげます。
8.人材育成|研修コンテンツとロープレ相手
企業の競争力を高めるためには、人材育成は不可欠です。しかし中には、人材育成のための時間や指導者を十分に確保できない企業もみられます。AIの活用により、人材育成の効率化と指導者の負担軽減につながります。
【具体例1】研修コンテンツ作成
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プロンプト例:「ビジネスマナー研修のテキストを5章構成で作成して」「理解度確認のためのクイズを10問作って」
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成果:体系的な研修資料のたたき台を短時間で作成。
【具体例2】商談ロープレ
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プロンプト例:「あなたは予算に厳しい製造業の購買部長です。私の提案に対して、価格面での懸念を強く示してください」
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成果:AIに練習相手になってもらい、終了後に「話す速度」「論理性」などについて客観的なフィードバックをもらえる
エクサのAIエージェント「ai with」は、AIアバターとの対話を通じて、単なる商談の反復練習に留まらず、金融商品知識の習得度を測ったり、コンプライアンス上注意すべき点をフィードバックしたりするなど、営業担当者の総合的なスキルアップをサポートします。
営業業務における具体的なAI活用事例については、以下の記事をご覧ください。
『営業におけるAI活用例8選|実際の活用シーンと合わせて解説』
出典:
※1 一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)『企業IT動向調査2025(2024年度調査)』(2025年3月公表)
※2 Salesforce『State of Sales (5th Edition)』
生成AIで業務効率化した成功事例
生成AIの活用で業務効率化に成功した企業の事例を紹介します。
大手生命保険会社:AIが営業活動を支援し、業務効率と営業力を同時向上
ある大手生命保険会社では、営業担当者のアシスタントとして独自開発したAIを活用し、営業力強化に取り組んでいます※3。
AIは営業担当者のデバイスに常駐し、商談の録音・要約や活動報告の自動作成などの機能を備えています。また、AIが顧客役となり、商談シミュレーション(ロールプレイング)を通じて、営業スキル向上のための支援もします。
実証実験では、商談報告作成の精度向上や、営業管理職の負担が大幅に軽減される成果が確認されました。
大手製造業:全社AI導入による開発・間接業務の効率化
ある大手製造業グループ会社では、1万名を超える国内全従業員を対象に自社専用の生成AIアシスタントをいち早く導入・定着させています※4。
プログラミングのコード生成から工場における作業手順書の作成、さらには消費者アンケートのコメント分析に至るまで、あらゆる職種の従業員が日常的にAIを活用しており、その利用回数は2024年度だけで240万回に達しました。
導入効果は極めて大きく、従業員1人あたり月に4時間弱の業務時間短縮が実証され、全社換算で年間約45万時間もの業務削減に成功したと発表されています。近年では、単純な質疑応答だけでなく、経理や法務などの専門業務を完遂する自律的な「AIエージェント」機能にまで拡大しており、利用率も約5割に達しています。
その他、生成AIでの活用事例は以下のブログで紹介していますのでご覧ください。
『【業種別】生成AIの活用事例10選!導入時のポイントや注意点も解説』
出典:
※3 PR TIMES『Awwと第一生命、バーチャルヒューマンを活用したPoBを実施』
※4 日本経済新聞『パナコネクト、生成AIツールを自社導入 年間45万時間の業務削減』
業務効率化を進めるにはAIとの「共創」が企業の競争力を決定づける
本ブログでは、明日から着手できる8つの活用アイデアから、組織全体で成果を創出するための先進事例、そして安全な運用のためのリスク対策までを解説しました。「組織として具体的にどのようなステップで導入を進めるべきか」については、ガイドブック「AI導入を成功させるには?押さえておくべき導入ステップを解説」に詳しくまとめています。あわせてご参照ください。
生成AIは個人の業務効率化にも、組織全体の生産性向上にも有効です。全従業員が日常業務でAIを活用し、そこから得られたデータや知見を組織の資産として蓄積することで、大きな成果を生み出せます。
株式会社エクサは、生成AIの安全な導入と組織全体への定着を支援しています。「ai with」は、RAG技術による社内ナレッジ検索やAIアバターによる実践的な営業研修を通じて、ハルシネーションやセキュリティリスクに配慮しながら、現場主導でAI活用を推進できる環境を提供します。個人の業務効率化から組織全体の生産性向上まで、段階的なAI導入をお考えの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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