こんにちは。わたしは上流工程のコンサルティングとプロジェクト全体のマネジメント、の双方を担っています。入社当初はアプリケーション開発を担っていましたが、人事分野のERP導入を手掛けるようになってからは、アプリケーション統括リーダー、プロジェクトマネジャー、上流工程のコンサルタントとロールが変わっていきました。さまざまなロールを経験することにより、プロジェクト導入は、単に成功裡に終えるだけでなく、その後、継続的にシステムをお使いいただくことが重要と捉えるようになりました。そのためには、現行業務が抱えるさまざまな課題を正確かつ効率的に捉え、迅速に新業務へと変革を推し進めることが重要となってきます。今回はエクサアセットであるQSSERIES®を活用した業務効率化手法をご紹介します。このQSSERIES®は、20年以上に亘る弊社のプロジェクト導入経験に基づいて蓄積したノウハウに関して、上流工程から下流工程まですべてを体系化し、業種・業態別に一般化したものです。
業務効率化における主たる課題とは
一般的に、業務効率化において、以下のような課題が発生します。
課題1 : 現行人事業務全体像の把握、改善点の特定
‐現行人事業務およびシステムの全容を短期間で効率よく把握し、非効率かつ高コストな業務を見出すこと。
課題2 : 解決指針・目標の設定
‐改善点について、解決指針を提示し、具体的な目標を設定すること。
課題3 : 施策の実行と検証
‐解決指針・目標に沿って改革を進めること。
これら3点の課題解決のためのアクションについて、次章以降にて少し踏み込んでお話します。
課題1 現行人事業務全体像の把握、改善点の特定
この課題は、「現行人事業務およびシステムの全容を短期間で効率よく把握し、非効率かつ高コストな業務を見出すこと」がゴールです。
そのためには、まず、「①短期間に現行人事業務の調査をすること」が必要です。しかし、大企業の場合、グループ各社分の人事業務の存在という圧倒的な物量があり業務全体像を把握することが困難だったりします。解決策としては、業務プロセスやその付帯帳票数も少ない小規模な企業は、調査対象から除外し、主要企業に絞ることが有効です。例えば、グループ会社(資本比率が50%以上)のうち、企業規模1,000名以上を対象とする、などが良いと思います。次に、「②人事業務プロセスを明確化し、各プロセスの煩雑度、効率化・共通化の手掛かりを得ること」が必要です。しかし、「課題は何ですか」、と愚直に聞いてもTOBEを知らない担当者からは課題を引き出すことが困難であったりします。そうしたときには、業務担当者の目線で一般的な業務プロセスと課題を指し示すことで、業務担当者の共感と閃きを引き出すことができます。そのためには、人事業務イベント一覧を用いて業務内容を確認することと、仮説を盛り込んだヒアリングシートを用いて課題を引き出すことが肝要です。それらは、QSSERIES®を構成する資料の一部である、[人事業務イベント一覧]および[業務論点集]をベースに、当該会社用にアレンジを加えて適用することで迅速に作成することができます。
その結果、業務担当者が抱える課題をうまく引き出すことができます。
課題2 解決指針・目標の設定
<算出方法>
- 業務担当者の年間作業時間を勤怠実績から算出・・・a
- 業務担当者のグループウェアなどの総タスク量を算出・・・b
- 業務担当者の当該業務にかかるグループウェアなどの総タスク量を算出・・・c
- 当該業務にかかる年間作業時間・・・a×c÷b
つぎに、「仮説を立てる=解決指針を決めること」が必要です。そこで、業務担当者から引き出した課題を用います。つまり、形骸化した業務プロセスなど不要・重複している業務プロセスについてある程度この時点で仮説が立てられるはずです。これらの排除による削減率から算出することが考えられます。
これら2点を明確化することにより、解決指針を提示し、具体的な目標を設定することができると思います。
課題3 施策の実行と検証
この課題は、「課題2で設定した解決指針・目標に沿って改革を進めること」がゴールです。そのためには、まず、「廃止・共通化・効率化できる業務プロセスについて計画遂行のための関係者の合意を得ること」が必要です。しかし、過去累々と蓄積された業務プロセスが積みあがっており、歴代担当者がいないと廃止・共通化・効率化を判断できなかったりします。解決策としては、システムの客観ログ(アプリケーションサーバーのアクセスログや監査ログなど)から業務プロセスの現状分析をします。過去10年程度のスパンで見た場合に、使用率の低い業務プロセスは廃止・共通化・効率化の対象と判断することができます。しかし、業務担当者は無駄な承認プロセスであることを認識していても、現行業務以外の業務を知らないため、業務変革への意欲が低かったりします。そうしたときには、新たな業務によりもたらされる利点を説明する必要があります。したがって、TOBEモデルをもとにしたプレゼンテーションを業務担当者へ実施することが効果的です。その際には決定権を持つキーマンに陪席してもらうことが重要です。
このようにして業務担当者の意識改革を促し、キーマンとの合意形成を実現します。加えて、業務効率化は繰り返し実行することにより、さらに高いゴールへ到達可能です。課題2において仮説をたてた解決指針と削減目標の達成度を定期的に検証し、施策の修正をしていく必要があります。そのためのスキームを構築しておくことも重要です。
プライベート紹介
近所を散歩したり、サイクリングしたり、コンビニで好きなものを買ったり、コロナ禍の制限内でこじんまり精一杯生きています。
イメージとしては下図のようなものとなります。
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