DX時代の価値ある基盤環境とは

青木 啓文

Hirofumi Aoki

プロフェッショナルITアーキテクト
基盤構築

私は入社以来、CAD製品の開発やCADを使った業務システムの開発を約10年、Webシステムのフレームワーク開発等を約3年、その後、基盤構築に関わって20年近くになります。最近までは主に大型案件のオープン系基盤構築を数年単位でこなしてきました。

黎明期のWebシステムの基盤構築、ビッグデータ、仮想化による統合、自動化、各時代のトレンドに合致した案件を主にリーダーを担当し、時にPMや技術支援を担当しながら業務を推進してきました。

基盤構築の期間、最初はデータベースやアプリケーション・サーバー、メッセージ製品などの業務システムの主要なミドルウェアを担当しました。その後、運用系のミドルウェアやOS、ストレージ、仮想化などを含めた基盤領域全般へ対応できる範囲を少しずつ広げてきました。

最近はDX関連の業務を推進しています。

このような経験を背景に私のミッションは弊社メンバーとともに成長を続けながら、ニーズのある基盤環境をお客様に満足していただけるように価値を提供することです。

DX時代のオープン系DB環境

最近はプライベートクラウド上にデータベース製品でDX環境の構築を行っております。
また、その傍らでプライベートクラウドの運用や、本格移行のつなぎとして、HWサポート切れによるストレージ製品の新旧入れ替えに伴う移行、新たな仮想化基盤の検証などを担当しております。

DX環境についてはホストデータベースのレコードの重複排除、正規化やプログラムのブラックボックスの排除を実施し、資産価値を高め、ビジネスモデルの変革へつなげていくためにオープン系のデータベース環境へ移行するというものです。

オープン系のデータベース環境につきましては、ホスト同等の性能や信頼性の要求、解析処理の高速化要件、災害対策要件があるため、標準的なデータベース環境では事足りずに本格的なエンタープライズ向けの高度な機能を複数採用しております。

これらの機能を使った環境構築は即席で対応できるものでなくノウハウが必要になります。私は過去の案件でノウハウを得る機会がありましたのでメンバーへのスキルトランスファーを実施しながら業務を推進しています。より多くのメンバーがより多くのスキルを習得することにより、組織力が向上して多様なITソリューションやシステムの安定稼働につながって顧客満足度に寄与できると考えています。

取り組みの実績をご紹介します

1. クラウド化の進展とIT投資の価値の変化

オープン系システムは大型案件が一巡して、クラウド化が進展してきていますが、それは顧客のITへ投資する価値の変化でもあると考えます。かつてクライアント・サーバシステムからWebシステムへ変遷したときは、それまでのシステムに対して全面的に刷新する必要があり、各製品の専門要員を潤沢に割り当て構築していったものでした。ただ、それ以降、一度作ったWebシステムのHW老朽化対応案件では、設計書や構築手順・運用手順が流用でき、また、製品の自動チューニング機能の提供により設計が簡略化されました。その結果、手順や設計書の価値は相対的に下がってしまい、新技術の仮想化への価値が見出されました。その後は手順書の再利用率が高くなり、また、ノウハウが転用できるものは価値が下がりながらビッグデータ、自動化、プライベートクラウド化のように新しい技術への価値が見出されてきました。即ち、個別の技術はコモディティ化されながら、投資対象へのウエイトが変わってきていると考えます。

2. 新技術習得による新しい価値の提供

このような動向を踏まえ、私はその時点でできることに固執して留まるのではなく、新しい価値をお客様に提供できるように常に技術習得などチャレンジしながら取り組んできました。
その一例として、自動化がフォーカスされた案件の紹介をします。
基盤の構築作業と変更作業の大半を自動化対象とした構築案件です。製品やOSSの自動化ツールの採用も検討しましたが、要件に見合わず全てスクラッチ開発することになりました。
全てを構築対象とする初期構築にも、運用フェーズでの部分変更にも使え、更には設計書と環境値のチェックができるなど難易度の高い要件となりました。
基盤のプログラミングレベルを大きく超え、かつ、多くの製品を対象としたグランド・デザインを行う必要があり、新たなチャレンジとなりました。

私がいままであまり関わっていなかった製品を含めて、辛抱強く、全ての構築手順を理解することによって大きな処理は統一するように工夫しました。また、既存の製品やOSSの自動化ツールの仕組み等をある程度まで理解して、スクラッチ開発する上で設計上の見落としがないようにしました。

プログラムに関しては、データ構造を操作できるプログラム言語を選定すれば、本格的なプログラムを組み込むことが可能となり、要件を満たすことに気付きました。CAD製品などを開発していた時、独自のデータ構造を考案した経験が活きたと思いました。基盤を担当してから20年近く本格的なプログラミング経験がなかったので、何となく難しいと感じていましたが、構築手順の確認や全体的に整合する大筋の流れを繰り返し考えているうちに少しずつクリアになり要件に見合うものが作れるという確信へ変わりました。思わぬところで経験にも助けられました。

3. 標準化とメンバーへの展開

仕組みを考えた後は基盤構築メンバーの大半が開発できるようにする必要がありました。そのため、プログラムが得意なメンバーとひな型の作成と標準化を行い、他メンバーへ展開することで対応しました。
また、スクラッチ開発する工期が非常に厳しく、メンバーでアイデアを出した結果、アジャイル開発を採用することにしました。コミュニケーションを密にして不具合のリスクを早期に気付き改善していくことで工期の課題を乗り切ることができました。

このような課題対応をチャレンジや工夫で乗り切り、サービスインして1年後、障害件数が激減して、重大障害も無く、お客様経営層・品質管理部門から高い評価をいただくことができました。
障害件数の激減は自動化による人為的ミスの排除という面で非常に効果があり、プロジェクト計画で想定していた以上の結果になりました。

IBMの技術力とJFEスチールの運用ノウハウ

弊社は大型案件においてIBMと基盤全般の推進や構築・運用を数多くこなしてきました。IBM製品をはじめ、ハードウェアからミドルウェアのかなりの広い製品を使いこなす必要があり、それらの製品について組織としてより深く、より広く熟知しています。IBMから継承した高い技術力が身についています。また、JFEスチールはじめ、数多くのお客様で止められない運用に関わってきたノウハウを持っています。そのような要員が集まって、新しいスキルも積極的に習得し、難局を乗り越えるアイデアを出して実行することで成功裏に終えることができたと考えます。

将来の展望

現状は大型案件が一巡して、クラウド化が進展している状況から、規模が縮小している傾向があり、DX推進が本格化しようとしております。DXを実現するアーキテクチャーとしてマイクロサービス化によるモダナイゼーションが提唱されています。このようなことからニーズとして小さな単位で改良を重ねながら価値を創出していくことが求められてきている可能性があると考えます。これらを含んだニーズに対応するには、フォーカスされる最新の技術のみならず、多岐に渡る基礎技術や移行技術も必要となり、かつ、スピードも要求されるようになってくると考えます。このような動向を踏まえ将来も、お客様に満足していただけるように価値を提供していきたいと思います。そのために常に努力を行っていくつもりです。

プライベート紹介

休日にメタボ対策としてのスポーツや趣味で気晴らししています。
どちらも、まだまだ学ぶことがあり向上心をもって楽しんでいます。

※記載されている製品名、社名は、各社の商標または登録商標の場合があります。
※記事内容は掲載当時のものとなっております。

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