多様化するシステム要件に伴い、
オープン化を行う必然性と今後の展望

株式会社JOE様【インタビュー】

レガシーマイグレーション オープン化

株式会社JOE 前垣内恒和社長、松井泰副社長、西出敏一PMに聞く

株式会社JOE様は、給与計算業務、人事関連業務に関するコンサルタント業務、及びアウトソーシング受託を中心に事業を営まれています。

今回、保有されるシステムの1つである給与計算システムについて、「新基盤構築」、「アプリ言語のオープン化」、「極力業務変更を行わない」をキーワードに、メインフレームからオープンシステムへのレガシーマイグレーションプロジェクトを、2011年4月に開始され、2012年10月無事完遂されました。
サービスイン後3ヶ月経過し、当時の事を振り返って頂くとともに、今後の展望について前垣内恒和社長、松井泰副社長、西出敏一PMにお話を伺いました。

無事サービスインおめでとうございます。 今回、プロジェクトにより独立採算となるシステム基盤を手に入れられましたが、現在のご心境と、今後どのような経営方針、戦略をお持ちでしょうか?

JOE前垣内社長様

JOE前垣内社長様

【前垣内社長】
現在の一般的な給与計算受託業務は、顧客満足度が低いと考えています。
給与計算は人事部のいち機能であり、全機能ではありません。その中でここ10年、人事部におけるITというのは、ワークフローの考え方が主流となりつつあります。
(ワークフローの考え方では)人事業務は、人事・給与・研修・タレントマネジメントなどの従業員と人事部の情報交換機能が重要となります。我々もそこに向わないと、給与計算だけでは将来が無いと考えています。

さらに、顧客満足度を考えた時、給与計算ではなく、人事業務全体に広がってきています。給与計算はBtoBで済みましたが、ワークフローの考えた方だとBtoBtoE、すなわち、従業員の満足度を上げる事を考えなければいけません。(直接のお客様である)人事部も、従業員の満足度を上げたいというお考えがあり、その要望に応える事ができる環境が、オープン環境だと思います。
また、システムツールという考え方でいけば、現在のように全てを自社で作成したシステムを持つのではなく、ある場面ではパッケージを使用する、ある場面では自作をするなど、多岐に渡った選択肢をもつ基盤が有効だと感じています。
この場合、今回選択したメインフレーム環境からオープン環境への選択は必然であり、コンバージョン・マイグレーションは有効な手段と位置付けました。

ただ、実際に立ち上がると、これだけ大規模なプロジェクトの場合、未経験がゆえに自社の技術スキルがどこまで対応できるかわからなかったため、平均値として考えるしかありませんでした。それゆえ、差を埋めるための力が求められますが、松井副社長、西出PMの推進力に加え、エクサ様の経験に裏付けされた高い技術力の組合せが成功を導いたと考えています。
さらに忘れてはならないのが、その推進に付いて来る全メンバーの協力や頑張りなくしては達成できませんでした。
全社挙げて目標に向け一丸となったおかげで、無事サービスインできたと思っています。

エクサを採用した選定理由は?

JOE松井副社長様

JOE松井副社長様

【松井副社長】
まずはメインフレームにかかる費用から考えれば、オープン化という選択肢が我々の会社では最適でした。
もうひとつは、このプロジェクトをうまく進める要素は何か?を考える中で、オープンの技術も当然必要だが、結局現行のメインフレームが何をしているのかを、どのくらい理解できるのかが重要であると考えました。
メインフレームに関する造詣の深さと言う点で、エクサ様が適任だと判断しました。

技術要素で言えば、言語、処理方式、データ構造等全体の理解度がやはり大事であったと感じています。その点でもエクサ様はオープン化マイグレーションのご経験もあり、期待できると判断しました。

顧客サービス向上という観点で、今回のプロジェクトはどのような位置付けになりますか?

【松井副社長】
今回オープン環境は手に入れましたが、システムの仕組み自体は(マイグレーションのため)何も変わっていません。
先を考えれば、処理効率、JOEWEBを始めとしたエントリーシステムの連携強化、お客様増加に耐えうる基盤を作って行く事が大事だと思っています。また、お客様の個別ニーズは、個々に応じてこれからも変わっていきます。
今回の使命は、これらのニーズに応えうる基盤環境を手に入れる事で、サービス向上の原点と考えています。

プロジェクトを推進、特に大阪・東京と拠点を跨ってのシステム構築となったわけですが、工夫された点は?
ご苦労なさった点は?

JOE西出PM様

JOE西出PM様

【西出PM】
東阪のシステムは、一部の共通処理を除き、動作環境、データ量、処理の流れなど東阪独自のものがあります、プロジェクト発足当時から東阪システムをひとつのシステムと考えて推進して行くことにしました。
特に注意をしたことは、「集中・試行・現物」ということです。
集中とは、プロジェクトに関係する情報は全て大阪で一元管理することにしました。計画、進捗、課題という具合ですが、全体を正確に把握するためには集中が必要です。
試行とは、汎用機の特殊技術を徹底的に洗出し、技術パイロットフェーズでテスト確認後、各テストフェーズを進めたことで後続フェーズがスムーズに運べたと思っています。
最後の現物とは、全体にいえることですが、現状、現場、現物を見て判断をすることで、何事にもエビデンスを重視して進めました。各担当者には大変努力を行っていただきましたが、成果があったと思っています。

サービスイン後の維持管理の状況は如何でしょうか?

【西出PM】
並行処理時は作業量が約2倍になる中、大変でしたが開発と運用の双方が切磋琢磨し運用技術の習得しました。
切替後は、苦労の甲斐あって利便性、即時性が向上したと思います。

それでは、皆様にお聞きします。
オープン化を行った効果は?

【前垣内社長】
メインフレームにもオープンにもそれぞれの良さがあります。一昔前は処理速度やキャパシティなどH/W、M/W等オープンでは弱かった部分も、時代が進むにつれ技術が向上し、弱みではなくなってきています。
そんな時代背景の中、人事給与業務は何にこだわるべきなのか考えると、人事給与システムは間違いなくオープンに移っていくと思います。オープン化の効果は、皆がそちらの世界に入っていく事に対して取り残されない、競争・変革が行われる畑に、我々が入っていく事ができたということです。
自社で作るだけではなく、他社が開発したいいもの。 例えばベンチャー企業が安く、よりよい製品を出すのは、オープン版が圧倒的に多いわけですし、当然利用するためにもその畑に入っていく事が大事だと思います。
マイグレーション後のシステムを使いこなせる自信があるのならば、どんどん実施すべきだし、使いこなせないようならば、するべきではないと考えます。

【松井副社長】
メインフレームで動いている以上、その制約から逃れられず、手を出せない部分が多分にありますが、オープン化にした事で殻を破る事が出来たと思います。
社内的な効果でいうと、メインフレームしか知らなかった技術者が、今回のマイグレーションを実施していく中でうまくオープンの技術を習得できました。これにより、メインフレームとオープンの両方のスキルを身につける結果となり、スキル向上が出来たことが大きな成果です。

【西出PM】
少数派の汎用機から多数派のオープン化へ移ったわけですが、スタートラインに立った気持ちです。今後は、オープン化技術を活用し、品質向上、利便性向上、効率化を目指しお客様に喜んでいただけるシステムに整えて行きたいと考えています。

今後実施して行きたいシステム化のテーマは?

【松井副社長】
1つは、業務上、印刷処理が重要なのですが、PDF化の選択肢を増やすなど、印刷方法改訂を検討したいと考えています。
もう1つは、顧客拡大を進めていきますので、基盤の拡大を検討したいと考えています。

【西出PM】
前出の通り、ペーパーレス化は重要なテーマと認識しており、環境資源面やお客様の利便性、ユーザービリティなどバランスを考えながら進めて行きたいと思っています。また、顧客拡大を進めていく上で品質維持・向上は必須条件で工夫をして仕組みのブラッシュアップを行ってゆきたいと思っています。

最後にプロジェクト成功の秘訣は?
また、EXAのマイグレーション技術について総評、要望等お聞かせください。

弊社PMと記念撮影(恐縮です)

弊社PMと記念撮影(恐縮です)

【前垣内社長】
プロジェクト成功の秘訣は、マイグレーションにかかわらず、計画通り、原則通りに遂行することが重要と考えています。その意味でPMBOKの考え方は有益です。
様々な局面で様々な問題は出てきますが、当初の役割分担以外のものが出てきた際に、きっちり整理し、タイミングよく振り分けることだと思います。

【松井副社長】
最も重要なのはコミュニケーションだと思います。今回のプロジェクトではその辺りが良かったですね。
さらに、エクサ様のキャッチフレーズである凸がった技あり人が、多数居ることにより、ニッチな技術で困ったときでも提案してもらえたことがよかったです。引き続き、良き仲間として良い関係を継続していきたいと思います。
要望としては、もう少し業務視点を加味して提案をして頂けるとよいと思います。

【西出PM】
現場では、「たぶん、だろう」を排除し、現物に固執したことが、計画通りに進捗出来たのではないでしょうか。
この点では、特にエクサ様には努力を惜しまず協力していただき感謝しています。

■編集後記<インタビューを終えて>

お忙しい中、インタビューにご協力頂き有難うございました。
JOE様のオープン化プロジェクトをご提案させて頂くに際し、弊社のコンバージョン技術を最大限活用し、効率的かつ高品質を意識しスムーズに完遂できるよう心掛けました。 実施にあたって弊社の至らぬ点も多々ありましたが、プロジェクト開始時からその思いを共有して頂き、前垣内社長、松井副社長、西出PMのお言葉の通り、「計画的かつタイムリーな判断」、「上下左右の円滑なコミュニケーション」、「納得がいくまでの議論」が成功裏の大きな原点であり、JOE様会社一丸となっ た賜物であると、インタビューを終えて確信いたしました。
このようなJOE様のオープン化プロジェクトに参加できたことを感謝するととも に、改めてお礼を申し上げたいと思います。
オープン化は出発点であり、さらなるお客様満足度向上に向け変革されることをお祈り申し上げるとともに、貴社ご健勝の一助になれればと思います

名称  :株式会社JOE (URL: http://www.joe-hr.com/)

東京本社:〒102-0083 東京都千代田区麹町2丁目7番地 半蔵門ビル7階
大阪本社:〒550-0001 大阪市西区土佐掘2丁目2番4号 土佐掘ダイビル 10階
主な事業:

1.給与計算業務
2.人事関連業務に関するコンサルタント業務及び、アウトソーシング受託
3.コンピュータ、ソフトウェアの販売、並びに保守管理業務
4.その他各号に付帯する一切の事業


創立  :1995年4月1日
代表者名:代表取締役社長 前垣内 恒和

事例ページもご覧下さい。
株式会社JOE様 事例

本事例の記事内容は掲載当時のものとなっております。

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