INTERVIEW
#05
ITには、
人間の可能性が詰まっている
成瀬祥子
Naruse Shoko
エンタープライズ開発本部
開発本部長
2001年入社
成瀬はエクサで初となる女性の開発本部長だ。
そんな立場からイメージするようなキャリア志向の女性というわけではない、むしろ、それとはかなり異なった人生を歩んできたといっていい。
1988年に大手情報システム会社に就職し、その後出産と育児の傍ら2度の転職を経験して、エクサと出会うことになる。
生活でも仕事でも多くの出会いを体験して、驚きや喜びを感じて成長できた。
女性としての気負いはないが、今は自分らしいマネジメントを実現したいと考えている。
自分らしく生きることの大切さ
就職活動の際に、ある情報システム会社の面接を受けて、大学時代にコンピュータを使って河川の水質変化の予測をしたことがとても面白かったことを、ついつい熱心に話してしまいました。すると面接官の方が「50歳になった時、あなたは何をしているでしょうか。50歳になった時にそのテーマに立ち戻ることができるといいですね」と言ってくれました。
それは私にとって予想外の言葉でした。
私はその瞬間にその会社に入社を決めたのですが、後で考えると、ITというものが、自分のなかに大切なものを変わらずに持ち続けることができる世界であることを感じたのだと思います。
2001年にエクサに入社するまでに、2度の転職と並行して2人の子供の出産と育児を経験しました。
最初の情報システム会社では5年間、システム構築の基本を蓄積できましたし、システムの知識をかわれて就職したメーカーでも5年間、事業会社の側から業務やビジネスのリアルな姿を目の当たりにすることができました。
また、子育て中に通信教育での小中学生への学習相談の仕事を経験して、相手の気持ちになって考える体験をしたことも、とても印象に残っています。
その時々の生活や仕事のなかでの経験が、今の自分の財産になってくれていると感じています。
ERPパッケージとの出会い
エクサに入社以降は、2013年に室長というマネジメント職に就くまでの間に、チームメンバーからプロジェクトのリーダーであるプロジェクトマネージャーと立場を変えながら、現場でお客様とコミュニケーションをとって、チームでプロジェクトを進める仕事に携わりました。
その間、一貫して、企業のお金やモノの情報を一括で管理して、経営に活かすことを目的に導入される基幹系のERPパッケージを扱い、既存のERPをお客様に適応させるためのシステム開発を行なってきました。
多くのお客様に対してERP導入のお手伝いをするうちに、現在の自分につながるような大切な経験をすることができたと思います。
あるプロジェクトでの体験
ERPに関する経験も豊かになった頃、2005年から関わったプロジェクトで、システム構築を通して企業の「管理会計」を知ることになりました。
さまざまな経営データを収集して分析し、財務諸表や経営判断のための評価基準をアウトプットする仕組みですが、一言でいえば企業の財務の健全性や経営の状態を「見える化」するためのものといってもいいでしょう。
印象的だったことは、導入後に報告が出てきた時に、お客様の経営陣の方たちが、自社の状況を目にしてとても驚き、戸惑われているように感じたことでした。
今まで思い描いていたものとは異なった現実が数値として示されたという感覚だと思います。
「見える化」してしまうIT
私はこの経験から、ITが大きな力を持っていることをあらためて感じることができました。
ITは、今まで見えなかったものや、見る必要がないと考えられていたものを、情報という形で明らかにしてしまう。まるで覆われたベールを剥ぎ取るように、見える化してしまう。
それまでは、お客様の想いを形にしたいという気持ちで仕事をしていました。
しかし、お客様に貢献するためには、単にシステムを提供するだけでは、もはや足りないのではないか。
もっともっと大きな可能性を持っているのではないか。
ITの進化とともに、これからはシステムをどのように活用したらいいのか、そもそも何が課題なのか、何をどう変わらなければならないのか、というお客様の深層にある問題を、パートナーとして共に考えて、提案していく存在にならなければいけないのではないか、と感じさせてくれる体験でした。
その後、クラウド化や社会の変化が進むにつれて、一層この動きは加速されていると感じます。
人間に向き合う仕事
また、同じプロジェクトでもう一つ、印象深い体験をしました。
それはプロジェクトマネージャーの方の仕事の進め方でした。
その方は他社の社員で、私はエクサから協力会社の立場でメンバーとしてプロジェクトに入っていたのですが、そんな立場は関係なく、お客様との会議でも「なんでも思ったことを言ってくれ」と繰り返し私に伝えてくれました。
それまでリーダーとしてプロジェクトを進めていくことには積極的な興味がなかったのですが、プロジェクトマネジメントが、会社間の垣根を越えた、人間と人間の信頼や責任や尊重に基づく仕事なのだと強く感じるようになりました。
少しずつマネージャーとしてのイメージができてきた瞬間だったと思います。
情報は、表に出て初めて「情報」になる
その後、私はいくつかの現場でチームのリーダーを経験しました。
リーダーの仕事はメンバーに指示して動かすことではなく、目標を共有して、自律的に動いてもらうようにサポートすることだといえるでしょう。
なかにはメンバーがかなり疲弊しているような現場もあります。
そんな時には、悪い情報はなかなか表に出ないものであることに気がつきました。
状況を把握するには、一人ひとりから情報を得るために話を聞くことが大切です。
メンバーにはいろいろな個性を持った人々がいます。皆の前で話すことが苦手な人でも、個人的にであれば話してもらえるように、こまめに問いかけ続ける努力をしました。
少しずつステップを踏んで目標を共有すれば、メンバーたちはスペシャリストなので自分で動いてくれるようになります。
お客様と信頼関係を確立するためにも、悪い情報ほど早く共有して、対処することが必要でした。
「なんでも思ったことを言ってくれ」という言葉の大切さを今でも噛みしめています。
新しい視点でサポートする
子育てと家族を大切にしたいと考えた私がエクサと出会い、いつしか、現場で一人の技術者として働く仕事が好きだった私が、いくつものプロジェクトを抱えて予算と実績を管理する室長になって、その後、部長の役割を経て、2021年には本部長となりました。
一見、役職が上がれば、権限が大きくなるように見えますが、実はそれぞれの役割には新しいスキルや視点が必要になります。
部長になれば一人ひとりの状況を全て把握することは物理的に非常に困難になります。部長は室長たちと、本部長は部長たちと、互いの想いや体温を伝えながら、目標を共有することが必要になります。
今、事業本部という、企業全体や事業全体の視点を持つ場所に立つと、現場で感じてきた変化が、エクサのビジネスや一人ひとりの仕事に変革を迫っていることを感じます。
進化を続けるITに対するお客様の期待は、より高度になり、パートナーとしての深い提案と実現が求められています。
心に届く言葉
コンピュータで未来を予測できること、今まで分からなかったことが明らかになること、環境を守ることにつながること、そして、社会や生活が変わること。そんな驚きに魅せられた私に
「50歳になった時、あなたは何をしているでしょうか。50歳になった時にそのテーマに立ち戻ることができるといいですね」
といってくれた言葉が、今も、自分の心を原点に帰らせてくれている気がします。
経営という視点から、環境に優しい企業、人間をサポートする技術、個性が活きる職場を実現するために、努力していきたいと思っています。
ONE DAY SCHEDULE
- 8:30
- 出勤(在宅勤務)
メールチェック、本日の会議予定、ToDo確認。
2つの会議に出席。
合間にメール対応、提出資料作成、電話対応、関係者とチャット。
- 12:00
- 昼食 家族の昼食準備、自宅にて昼食。
- 13:00
- 業務再開 3つの会議に出席。 合間にメール対応、提出資料作成、電話対応、関係者とチャット。
- 19:00
- 退勤 家族の夕食準備、諸々家事対応。
PRIVATE
プライベートにおける自分らしい瞬間
金曜日もしくは土曜日の夕食をとっているときですね。息子たちと晩酌を交わすのが至福のひとときです。週末に他のことは何も考えず、平日1週間分の食事を作り置きしているときも、自分で居られる瞬間です。
あとは、休みの日の朝、一人で早起きしたときとか、実家の母とウォーキングしているときなどが、自分らしいプライベートの過ごし方です。
INTERVIEW