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#02
小西裕己 × システムアーキテクト
吉村知香 × AI

個性の共演から、
新しい価値が生まれる

小西裕己

Konishi Hiroki

金融開発本部
DIGITALソリューションデザイン部
2018年入社

吉村知香

Yoshimura Tomoka

金融開発本部
DIGITALソリューションデザイン部
2001年入社

第一章


謎を探る

AIを育てる

吉村知香は2001年にエクサに入社して以来、システムエンジニアとして多くの金融業界のお客様を担当してきた。
さまざまな現場でのシステム構築や、お客様へのソリューションの提案を経験し、3回の育児休暇取得と復帰とを重ねながら、2015年からは先端的な技術を提供する部署に異動し、AIに関する技術を深めるプロジェクトに携わっている。
AIにデータを入れて学習をさせることは地道で根気のいる作業だ。それは、何も分からない子どもに何かを伝える作業と似ている、と吉村は感じる。
AIに対して、まるで人間を相手にしているような、自分が育てた子どものような感覚にとらわれることもある。

システムが使われない

そんな彼女のもとに、あるお客様からの依頼が届いた。
その依頼の趣旨は次のようなものだった。
吉村たちのチームがお客様と共に企画して構築し、運用しているAIを利用した業務支援システムが、現場の社員に利用されていないことがわかった。
そのシステムは、問い合わせに答えるオペレーターに、AIが有用な情報を提示することで業務を支援するもので、併せてペーパーレスを実現することを企図していた。
提供する情報は役に立つはずのものだったし、運用上も問題がないはずにもかかわらず、現場のオペレーターたちはシステムをなかなか利用してくれない。
お客様の社内ではその理由がわからないので、究明してほしい、というものだった。

現場で何が起こっているか

いいと考えてシステムをつくっても、現場の人々から拒絶されてしまうことは、かつてはよくあることだった。パソコンなどの端末に慣れていなかったり、効率化のはずが、利用する人にとってはかえって大きな業務負担になってしまったりと、業務設計に問題がある場合もある。
今回の場合はいずれも注意して問題を回避しているはずだった。AIを利用していることにも問題はないはずだった。
吉村のチームはまず、全国のオペレーターを統括する部署の方から現場の声を聞き、年齢や経験などを元にセグメントを行って、幾つかの「ペルソナ」を設定することにした。
ペルソナとはマーケティングで活用される概念で、具体的な名前や年齢、環境、行動原理などを持った架空の人物像を指す。
それぞれのペルソナになりきってシステムを利用し、業務の際に何を感じるのか、どんな体験をするのかを改めて検討し、議論を重ねた。

見えてきた課題

検討の結果、いくつかの問題点が浮かび上がった。
ひとつは、システムを利用する際には「検索」によって必要な情報を引き出す手順になっているのだが、従来の業務にはなかった検索という行為が障壁となって、システムが利用されにくくなっていると思われた。
検索にあたって、現場のニーズやスキルにあったワードをレコメンドとして表示することで、より検索しやすい仕組みにする改善が考えられた。
さらに、新人オペレーターに対する教育が従来の紙ベースのままで進められていて、システムの利用は、現場で身に着けるというステップになっていることが判明した。
このことで一旦紙ベースでの業務に慣れてしまって、システムの利用法を修得することが業務負担になっていた。システムに合わせた新人教育のカリキュラムが必要だった。
吉村はお客様に考えられる原因と改善策を提案した。
システムを構築して提供することだけではない役割が、自分たちに求められ始めていることを彼女は実感した。

第二章


新しいアイデアを生むために

チームでアイデアを出す

大学院で情報工学を学んだ小西裕己は、2018年にエクサに入社した。
担当したお客様は金融業界で、吉村は部署の先輩にあたる。ただ入社以来、吉村と同じプロジェクトで仕事をする機会はなかった。
彼らの部署では数ヶ月に一度、仕事とは無関係の数名のチームをつくって、あるテーマに対して短期間でアイデアを出して発表するというイベントを仕事の一環として行っている。
例えば、吉村と同じチームになったある回のテーマは「Z世代(アメリカのマーケティングの概念で、1997年から2013年生まれの人々を指す)の若者たちに受ける金融商品、金融サービスは何か」というものだった。
このテーマは小西にとって、興味深いものだった。

システムアーキテクトという目標

小西は保険業界を中心に金融機関の事務アプリなどの構築を体験してきたが、最近はウェブで金融商品を販売するシステムのプロジェクトにユーザーインターフェースをテーマに関わっている。
アクセスしてきたユーザーがウェブサイト上でどのような動きをするのかを考えてサイトを設計する仕事だ。最近は色の印象がユーザーにどのような影響を与えるのかに興味を持ってカラー分析に関する資格を取得した。
といっても彼はウェブデザイナーを目指しているわけではない。
システムの構築からエンドユーザー向けのウェブサイト画面まで、幅広い知識を吸収して、システム全体の構成をトータルで考えられるエンジニア、お客様の要望になんでも応えられるようなシステムアーキテクトを目指しているのだ。
そのために、ウェブサイトのデザインも一つの要素として捉えて、知見を広げようとしている。

より広い視点へ

小西がつくっているウェブサイトは、アクセスしてきた人のニーズにあった情報を提供して、申し込みや購買といった行動を起こしてもらうことを目的としている。企業のウェブサイト自体には人を集める機能は少ないので、SNSやポータルなどとの連携が必要になる。
小西が「Z世代」のテーマに興味を持ったのは、最近、どうしたらアクセス者が増えるだろうか、と考えていたからだった。
彼は吉村たちメンバーとともにチーム全体で「Z世代」の属性を具体的なペルソナに落としてみる作業を行うことにした。

ゼロからイチをつくる

「若い人にとって保険商品を必要とする場面は少ない」と考えていた小西は、それでは彼らは一体どのような消費行動をするのかについてメンバーの意見を聞いてみたいと思った。
新入社員からのアンケートに基づいてペルソナを設定し、皆で意見を出し合うと「何らかのコミュニティに属していること」が大きな価値観ではないかと気がついた。
そこで、購買ごとにポイントを付与して、それを寄付する。さらに、好きなアーティストやインフルエンサーなどと共感したり、繋がって同じ体験をする仕立てになるような金融サービスをアプリで提供する、という提案を発表した。
小西にとって、吉村たちの視点から、自分のテーマが広がったように感じられた体験だった。

第三章


個性を伸ばそう

他者と向き合う

ペルソナとして他者になりきって業務や商品を見てみると、人によって差が出てくるはずだ。属性を詳細に設定しても、そのイメージは人によってさまざまだろう。
だからこそ、メンバーがペルソナになりきって、いろいろな感覚を出し合えば、それぞれの経験や知識に根ざした多様な視点が出てくるはずだ。他者の立場になるという想像力を働かせている分だけ、自分の考えとは異なった視点を出すこともできる。
いろいろな問題点が明らかになり、アイデアや問題解決の糸口も見つけられる。
小西や吉村は、仕事のなかでこのように他者と向き合う場面が増えてきていると感じている。

相手の立場に立つこと

小西はウェブサイト上でユーザーが体験する感覚を、さまざまなペルソナになりきって経験することがとても大切なことだと感じている。利用者の視点から見た世界をリアルに感じて、行動や感じ方を予測できることが、システムを設計するうえで重要なことだと考えるからだ。
彼にはエクサに入社後しばらくした頃、少し悩んだ経験がある。
それまで自分が持っている知識だけで仕事を乗り切ろうと頑張っていたのだが、自らのスキルが不足していることを痛感したことがあった。
そこで彼は気持ちを切り替えて、周囲の先輩たちやウェブの情報から常に学ぶように心がけた。
また、人の言葉が耳に入らず、自分の都合や論理を優先させていたことにも気がついて、お客様の要望の背景にある事情にも気を配るように努力した。
自分の考えに固執することなく相手の立場に立つことが、信頼される条件であり、役に立つシステムを提供するための前提になることを強く感じたのだ。

共感力というスキル

AIを専門としている吉村は「互いの認識にはズレが生じることが当たり前のことだ」と考えている。
自分はチームのメンバーとしてお客様に役に立つシステムをつくることが好きで、チームのリーダーには向いていないと考えていた。しかし、後輩も増え、支えられる立場から周囲を支える立場に立つことが次第に多くなっている。
メンバーたちが互いに思い込みで動いてしまうと、問題が起きることを実感した。 だから、できるだけ何度も確認をしながら認識のズレを最小限に抑えていくことを心がけている。皆をグイグイと引っ張っていくリーダーではないが、一人ひとりに寄り添って、後ろから支えていくような存在でありたいと考えている。
吉村は自分らしいリーダー像やペルソナのように、他者への共感力こそ自分が培ってきたスキルだと感じ、この分野で周囲に貢献できることに喜びを感じている。

未知に挑む

エクサの仕事はお客様の想いや要望を形にすることだった。高い技術力と真摯な姿勢で役に立つシステムを提供し、運用することだった。
もちろん、それはこれからも変わらない。
ただ、小西と吉村は、いま仕事の現場で大きな変化を実感している。
ITが実現できることの可能性が広がり、お客様には認識できていない課題に対するソリューションや、未知のビジネススキーム、ワークフローが実現されようとしている。
人間の行動や視点に隠れている傾向を感じるスキルや、未知を予測する専門性がシステムエンジニアにも求められているのではないか。
お客様のパートナーとして、共に歩むために、小西も吉村も、それぞれの個性を伸ばしていこうとしている。