INTERVIEW
#04
コミュニケーションを
めぐる冒険
鈴木肖太
Suzuki Shota
金融開発本部
DIGITALソリューションデザイン部
2013年入社
「コミュニケーション」といえば、人と挨拶を交わしたり、人と話をしたり、連絡や報告や相談をする、ということで、それほど難しくはない、と多くの人は思うかもしれない。逆に人とのやりとりに苦手意識を持っている人もいるだろう。
しかし、組織や仕事のなかでの「コミュニケーション」は、誰にとっても、道しるべもない森のなかをさまよい歩くようなものだ、と鈴木は考える。
正解がない世界の中で、それでも前に進もうとする人々をITでサポートしたい。
そんな想いが、鈴木をさらなるスペシャリストへと導いている。
ITへの憧れ
子どもの頃、インターネットが注目を浴びて、ITが巨額のお金を生み出すことを知った時、その社会的な影響力の大きさに驚きました。世の中を変えることができる力に、憧れのようなものも感じました。
将来はIT の技術者になってみたいと漠然と考えるようになっていたと思います。
理数系が得意だったことと、自分で何かを作って、社会に役立ててみたいという気持ちから、学部時代には組込系に関する勉強、院生時代には電子の制御に関する材料工学系の研究を行いました。技術が世の中にどう組み込まれていくのかを知りたくて、興味の赴くままにいろいろとチャレンジしてみたという感じです。
就職を前にして、社会的な影響力という点と進化が早いという点で、システム開発の面白さが蘇ってきました。生涯続けられる仕事として、上流工程でも仕事ができるSEを目指して就職活動を進めました。
エクサとの出会い
当時の私は、社会的な影響力が大きな分野で働きたいと考えて、銀行や保険会社といった「金融」関連のシステム開発に携わってみたいと思っていました。
エクサとの出会いも、金融関係のシステムを幅広く手掛けている企業であることを知ったことがきっかけでした。さらに、何よりも惹かれた点は、先輩社員に感じた優しさでした。
学生時代には同じ学生寮の友人たちとスノーボードに興じたり、飲食業のバイトで接客を体験したりと、他者とのコミュニケーションに不安を感じるようなことはありませんでした。
プログラミングも新しいことばかりで楽しかったですし、周囲の先輩もいい人ばかりでしたので、仕事を進めていくことに心配はありませんでした。
ですから、仕事の初めに、コミュニケーションについて悩んでしまう経験をするということは、私自身にとっても予想外の出来事でした。
思わぬつまずき
といっても、人間関係で悩んだわけではなくて、私自身が「仕事」というものを理解するまでに案外時間がかかってしまったという感じです。
これは今考えると、私にとって、とても貴重な体験でした。
入社後は新人研修を経て、志望通りに大手生命保険会社のシステムの開発プロジェクトに配属されて仕事が始まりました。
与えられたタスクをこなすことから始まるのですが、初めは分からないことだらけで、何をどう聞いたらいいのかも分かりません。
自分の仕事の報告をしようにも簡潔に要点をまとめることができません。相談するにしても何を聞いたらいいのか分からない状態で、漠然とした質問をしてしまうことになります。
それでも周囲の先輩たちはバックアップしてくれて、私が孤立してしまうことはなかったのですが、自分自身ではどうしたらいいのか分からない状態が、2年以上も続いてしまいました。
いつの間にかコミュニケーションに苦手意識を感じるまでになってしまいました。
いろいろな立場、いろいろな事情
そんな時に、周囲の先輩たちやお客様が互いに話しているやりとりを観察するうちに、あることに気がつきました。
友人とのコミュニケーションでは、共通体験があったり、互いに気が合っていて、価値観が似ていたりしているので、多くの前提条件を共有できています。
ところがプロジェクトでのコミュニケーションは、皆が別々のことを行っていることを一つにまとめるためのものだといってもいいでしょう。全く異なった立場や視点や考え方を持った人が情報をやり取りしなければならないので、何が前提条件になっているのかを理解しないと仕事が進まなくなってしまいます。
これは当たり前のことです。しかし、私にとっては、自分と相手の立場が全く違うことに気がつくまでにかなりの時間がかかってしまったのです。立場が違うということは、互いに相手が何を望んでいるのかを知ることが重要になります。それまで私は、聞かれたことに答えようと、相手には関係が薄いような、自分のタスクの詳細について説明してしまっていたのだということに気がつきました。
自分の仕事とは何か
自分のタスクには、もともとその仕事がどのような経緯で自分の担当になっているか、という「前の事情」があって、さらに自分のアウトプットの後に誰が何をするのかという「後の事情」がある。それ全体が自分の仕事なのだ。そんな基本的なことにようやく気がつくことができました。
周囲の先輩たちのように、いろいろな立場の人たちの事情を考えながら、チームで前に進んでいこう、と考えると、新しい技術の修得も一層楽しくなり、周囲に貢献できているという自信にもつながりました。
なぜ今、新人時代の体験を話すのかというと、近年、社会や企業組織のなかで「コミュニケーション」が大きな課題になりつつあるのではないかと感じるからです。
AIによるサポートを実現するために
その後、私は生保、銀行のシステム開発やAIに関する技術を身につけて、技術修得だけではなく、リーダーとしてプロジェクトを進める役目も体験しました。
さらに、2021年からはエクサが自らリリースする「seeQAnswer」(シークアンサー)というサービスの開発に携わっています。
「seeQAnswer」はAIを利用して、チャット形式で業務に関する質問と回答を重ねることで、企業のなかの知的資産の集約と継承、利用を実現するためのサービスです。見方によっては、社員間のコミュニケーションから、組織の状況や潜在的なスキルをあぶり出そうとする仕組みでもあるといえます。
私は開発を進めるための技術的な役割を期待されてこのプロジェクトに参加していますが、技術だけではなく、私が新人時代に経験した悩ましい体験がいつか、このような仕組みを作るうえで活きるのではないか、と考えています。
このようなサービスが成功するためには、利用する人々への理解が必要ではないかと感じているからです。
今やITは、効率化や省力化から、組織や人間の心の奥にある課題に寄り添って、新しい価値を生み出すことを目指しているように思えるからです。
血の通った技術を蓄積したい
自分の体験や個性を仕事に活かしていくためには、自分のなかに「血の通った技術」を蓄積させていく必要があると考えています。
ITの世界には膨大な領域があります。自分がお客様や社会に対して、何をアウトプットしたいのかを常に考え、そのためにはどんな技術が必要なのかを意識して、選択と集中によって必要な技術をキャッチアップしていくことが大切だと考えています。
入社以来のさまざまな体験を経て、子どもの頃に感じていたITへの憧れが、周囲の多様な個性とともに仕事を進めることによって、よりよい世界を実現できるような成果となってくれるに違いない。そんな確信と楽しさを感じながら、日々仕事に取り組んでいます。
ONE DAY SCHEDULE
- 9:00
- 出勤、コードレビュー
- 9:30
- 朝会
- 10:00
- 部ミーティングに出席
- 11:00
- 同僚とペアプログラミング
- 11:30
- コードレビュー
- 12:00
- 昼休憩
- 13:00
- お客様と打ち合わせ
- 14:00
- 進捗会議
- 15:00
- コーディング
- 16:00
- プロダクトマネージャーと要件整理
- 17:00
- コードレビュー
- 17:30
- 退勤
PRIVATE
プライベートにおける自分らしい瞬間
娘と遊ぶのが一番の楽しみです。毎日色んな事ができるようになっていく姿に感動するとともに、「自分も負けずに成長していかなくては」とも感じます。
「自分らしさ」とは何かを定義するのは難しいですが、技術に触れている瞬間は楽しいので、休みの日でも娘と遊ぶとき以外はソフトウェア設計に関する本を読んだり、コーディングしたりしていることが多いです。また、過去にAI案件を担当したこともあって、データ分析のコンペティションに参加したりもしています。なかなか満足のいく結果が出ず歯がゆく思うことも多いですが、普段の業務とは異なったドメインのデータに触れることも多く、かなり刺激になっています。
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