DXへの取組みにおける「商品情報管理」の重要性

徳広 淳一郎

Junichiro Tokuhiro

シニアアプリケーションスペシャリスト
コンテンツ管理

こんにちは。私はこれまで「コンテンツ管理」や「検索ソリューション」などさまざまなソリューションを提供する業務に従事し、ソリューションを取り扱う前のリサーチから、構想・提案・構築・サポートまでのあらゆる局面での業務を経験してきました。
その結果、単に製品仕様や利用技術に詳しいのでなく、ソリューションを中心に、どのようにお客様のお役に立てるかを考える「ゼネラリスト」なエンジニアになったなぁ、と感じています。
そもそも若いころ、当時の上司から「スペシャリストではなくゼネラリストを目指せ」と言われて、そういったジョブアサインをして頂いたと認識しています。当時SEは「スペシャリスト」を目指すのが主流でしたので、上司の発言の意図は「管理職を目指せ」だったのかもしれませんが、私は「ゼネラリスト」なエンジニアを気に入っています。

特に最近の「DevOps」とか「DX(デジタルトランスフォーメーション)」などへの取り組みは、これまでのシステム化のような局所的な取り組みではなく範囲や時間軸の観点で広く長いものとなります。こういった取り組みの全体観には「スペシャリスト」よりも「ゼネラリスト」な視点が重要になってくるのではないでしょうか。

世間では「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」のどちらがどうだ、など比較されがちですが、大げさに二分化などせず、それぞれの特性を活かしてプロジェクトを成功に導くことができればよいのではないか、と思っています。

現在私は、「PIM(商品情報管理、Product Information Management)」のソリューションを担当しています。
「PIM」は販売やマーケティングのための商品情報を管理するデータ基盤で、柔軟なデータモデルと多彩なインターフェースであらゆる顧客接点と連携できるため、最近は「DX」に絡んでのPIMのご相談が増えてきています。
今回は、「DX」への取り組みにおいて「商品情報管理基盤」が重要であるということをお伝えします。少しでも皆様のご参考になりましたら幸いです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

「DX」というキーワードが話題となっている昨今、DX推進のための組織づくりや、検討を進めている企業の皆様も多いのではないでしょうか。
我々もその取り組みをご支援させていただく機会が増えてきていると感じています。
DX、と一言で言うとその領域は広いのですが、一例として私が考えている「販売・マーケティング領域のDX」についてご紹介します。

販売やマーケティング領域でのDXにおいては「営業・マーケティング活動のデジタル化」や「新たな顧客体験の提供」など、商品を販売する側の視点と、購入する側の視点の双方向でさまざまな取り組みが進んでいます。
これまで店舗やECで個別に管理していた商品や顧客のデータを統合して、統合したデータを使って分析するためのデータ基盤を構築する、といった流れが考えられますが、大掛かりになってしまいなかなか前に進まない、というケースも少なくありません。

さらに、データを集めて、整えて、分析して、施策につなげて、結果のデータを集めて...、という周期的な運用が必要ですが、特に販売やマーケティング活動のように外的要因による変化が大きな場合は、より迅速で柔軟な運用が求められます。
データを駆使した意思決定のためにも、販売・マーケティング領域では「2つの軸」でしっかりと支えるデータの構造を準備すべきだと考えます。

販売・マーケティング領域のデータを支える2つの軸
~「商品情報」と「顧客情報」~

販売・マーケティング領域のDXで、最も重要なデータの2つの軸が「商品情報」と「顧客情報」です。
ここでは広義に捉えて、「商品情報」には商品名や価格のような属性値だけでなく、画像や動画、マニュアル、ユーザーの"口コミ"なども含み、「顧客情報」には氏名や住所だけではなく、購入履歴やサイト訪問履歴なども含みます。

この「商品情報」と「顧客情報」を組み合わせた代表的な例としては、ECサイトの商品のレコメンドや、DMやプロモーションなどのターゲティングが挙げられます。
「"モノ"と"モノ"」「"モノ"と"ヒト"」「"ヒト"と"ヒト"」のように、商品や顧客の関連性を見て商品をおすすめしたり、顧客の興味に応じた商品を紹介したりできます。更に「そのページを見た」とか「SNSにイイネした」などの行動(コト)との関連性も分析対象になり、ユーザーの興味にすぐ反応できるようになってきているのではないでしょうか。
今後こういった分析結果から、どの顧客に何を提示すれば効果的かを自動で推測できるようになると、人が介在しない迅速な営業・マーケティング活動も現実になってくる、と考えています。

ただ、「商品」と「顧客」の2つの軸がしっかりしていなければ、分析や判断に手間や時間がかかります。
ここでは、私の専門分野の「商品情報」を例に詳細を説明していきます。

商品情報には、基本的な情報として型番や名称、シリーズ、スペックなどの情報があります。
これらの情報は通常「商品マスタ」として厳格に管理されていますが、ここに分析のための一時的な情報や、流動的な情報を追加するのは運用上不可能ということが多いです。
止むを得ずマスタ上に「予備1」「予備2」などの項目を増やして独自にやりくりしているというケースもあるのではないでしょうか。
足りなくなったらマスタに項目を増やしていくという運用を自力で自由にできれば問題ないのかもしれませんが、必要になると都度外部に相談して作業を依頼するという運用では、なかなかやりたいことが実現できません。

商品情報のその他の項目として「Webに掲載する紹介文」「概要」「商品画像」「文書」「動画」「アクセサリー品」「後継品」などがありますが、こういった内容は商品マスタでは管理していない場合が多く、必要に応じて担当者が手作業で収集している、という話も聞きます。このような項目は「販売・マーケティングのための商品情報」として「PIM」で管理しましょう。

PIMによる商品情報管理がDXを加速する

PIMは、商品マスタで持つ基本情報に加えて販売・マーケティングのための情報、プロモーションやセールなどの時限的な情報、顧客や市場のニーズやトレンドに応じて流動的に変化する商品の情報や、情報の間の関連性を管理できます。
これらのPIMで保有する商品情報を分析の「軸」として活用することで、より幅広い視点での分析が可能になります。

実際の事例でも、各種の分析作業にはマスタデータではなくPIMの商品情報を使用する、というケースが多いです。
数万、数十万点の商品をどうグルーピングしたら顧客の購買傾向が見えるのかなどは、試行錯誤になると思いますが、PIMを利用していればその際に分析担当者がご自身で柔軟に編集できるので、かなり有意義です。

更に、分析した結果を商品情報に反映する基盤としてもPIMは効力を発揮します。
PIMはWebサイト、ECサイト、店舗、カタログなど、あらゆる顧客接点に商品情報を提供するプラットフォームですので、複数の顧客接点を利用する顧客の「カスタマージャーニー」から得た分析結果から、商品情報をより魅力的にアップデートしていくという反復的なプロセスも、PIMであれば容易に実現できます。

また、DXで取り上げられるの一つのケースとして「サブスクリプション」「リカーリング」と言った「モノ」ではなく「コト」でのビジネスへの展開があります。
PIMでは「契約管理」はできませんが、「コトの商品情報管理」「商品とサービスの間の関係の管理」ができます。「サブスクリプションの対象となる商品群」や「この本体に対応する付属品、サービスメニュー」などの関係情報を統合的に管理して、販売・マーケティング活動に活用するだけでなく、顧客に対する継続的で迅速なサポートやサービスを実現するための体系的な商品情報が準備できます。

販売やマーケティング活動において「売上」や「PV(ページビュー)」などの「データ」は現在でも重要な役割を持っていますし、ITの進歩とともに、これまでは取得できなかったデータが収集でき、これまで捌ききれなかった量のデータを分析できるようになったことで、より多くの局面で「データ」を活用しています。
この「データ」から見える「ファクト」をビジネスにどう活用するのか、というのがDXの目的の一つであると考えていますが、そのためにも特に販売・マーケティング領域では「商品情報」と「顧客情報」の2つの軸が重要だと考えます。

商品情報の未来

社会的にはAIやロボットの活用など、機械による自動化が進んでいます。
またB2B企業でも、顧客はWebなどで調査してECで購入するというケースが増えていて、海外では既にB2Cコマースよりも大きな市場となっています。
そのような時代の変化に対応していくためにも、あらためて「商品情報」を再定義し、「DX推進のエンジン」としていくことが重要ではないでしょうか。

もう少し未来には、AIが設計図などから商品スペックなどを比較して自動的に商品を選定したり、各パーツの稼働状況や経過日数からスペアパーツを自動発注しておいてくれたりというのが当たり前になる時代が来るのかもしれません。
そうなれば「人に響いたマーケティングメッセージがAIにも刺さるのか?」は気になるところですが、顧客が「今使っている商品と同じか、類似・後継の商品、あるいは同じ規格でより高性能・低コストな商品を探す」というニーズは普遍ではないかと思います。
顧客自身がそのニーズを満たす手段が「サブスクリプション」なのか「ディスカウント」なのか「安い他メーカの商品」なのかはわかりませんが、その機会を逃さずにアプローチするために魅力的な商品を企画し、その情報をタイムリーに提供し、それを見た顧客の反応から迅速に販売・マーケティング活動につなげる、というプロセスを最適化していくことが大事ではないかと考えます。

このような未来の「顧客ニーズの変化への適応」「機械との共同作業」に備えたビジネスの情報基盤として、「PIM」は最適なソリューションであると考えています。

「ゼネラリストなエンジニアのプロ」へ

社会人になってこれまでに経験してきた技術の中には、時代を先取りしすぎていたり、高スペックで高価格過ぎたりと、さまざまな要因で消えていったものもありました。それでも、3DやVR、機械学習など、当時はかなりハードルが高かったものの現在では色々な用途に容易に取り込めるようになってきたものも多いと感じています。
「それらを使うこと」ではなく「それらを使って実現すること」が重要だということは十分ご承知だと思いますが、実現方法をより多く提示できるというのが「ゼネラリストなエンジニア」の強みではないかと考えています。

新型コロナの影響で、DXの推進についてなかなか具体的な検討が進まない、という声も聞こえてきておりますが、今年は酷暑の中でスーツを着て満員電車に乗る機会がなかったことをポジティブにとらえ、本来なら通勤で消費していたであろうエネルギーを、明るい未来への貢献に使えればなどと考えています。

特定領域ではスペシャリストなエンジニアには到底敵いませんが、多角的な視点を持ってソリューションをご提供できる「ゼネラリストなエンジニアのプロ」を目指していきたいと思います。

※記載されている製品名、社名は、各社の商標または登録商標の場合があります。
※記事内容は掲載当時のものとなっております。

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