データ連携プラットフォームによる情報資産の活用

2019.07.26  株式会社エクサ

ビッグデータの活用やクラウドプラットフォームの導入が進むにつれ、ビジネスにおけるデータ連携の重要性はますます高まっています。その影響範囲は、新規システムにとどまらず、既存システムに対してもデータ連携の対象とすることが望まれています。

そのため、社内外に分散している各種類のデータ構造や内容を明確にし、抽出条件の設定や取得データの正規化を行う必要があり、その上で必要な分析や再利用するための外部データとの連携といったプロセスが必要になります。

これらの工程のうち、最も重要となるのが「データ集計」と「データ加工」です。

企業の情報システム環境が部門ごとに個別最適化され複雑になったことで、データは様々な場所に分散管理される結果となりました。これでは、分析に必要なデータを一元的に把握することは困難になり、統合的に管理するためのデータ項目が無数に存在し、データの形式も異なるなど、効率的な管理がしづらい状況にあります。

データの価値は「活用」することにありますが、そのためには適正なコストでタイムリーな「分析」ができる環境の整備が必要となります。そこで多くの企業では、データ連携を効率的かつシンプルに行うために「データ連携プラットフォーム」の導入や活用を進めています。

本稿では、データ連携プラットフォームを導入する目的や導入のメリットについてご紹介します。

データ連携プラットフォームとは?

企業が管理しているデータには実に様々なものがあります。

営業担当者が入力した顧客情報や販売管理のデータ、商品開発に必要な消費者データや設計段階・製造段階で発生する製品情報、Webサイトにおけるアクセスデータ、デジタル広告データ、各システムやネットワーク、工場や設備から発生するセンサー情報などなど、その種類は多岐にわたりますし、データ量も膨大で、日々生成されているものも多く存在します。

また、活用目的も多岐に渡ります。

旧来はバックオフィス業務のシステムから必要なデータのみ連携させたり、DWHを構築して決められたシステムからデータを統合するスタイルが普及していました。

現代では、最近の売上やサービス向上に関連が強い点からも、Webサイトなどマーケティング業務を対象とすることが多くなり、利用例も数多く存在します。

BtoB向け製造業などでは、商品情報やサポート情報、マニュアル類などそれぞれ異なるシステムからのデータ連携を経て、Webサイトのコンテンツとして利用し、また、一般消費者を対象にしている企業では、Webサイトの利用状況や、SNSやデジタル広告の活用、モバイルアプリを使用した顧客の購買行動追跡や嗜好の分析など、各種マーケティング活動からも生成されるデータを日々蓄積して施策の決定やパフォーマンスの改善などに活用しています。

これらのデジタルデータは、相互に強い関連を持つことが多く、集計・加工・分析することで、製品戦略やマーケティング施策の戦略立案など、ビジネスに貢献するインサイト(洞察)をもたらすものとして利用している事例も多く存在します。

各システムは目的別に存在するため、データの特性やフォーマット、通信手順などもそれぞれ形式が異なることが多く、データ連携の手法やツールも多岐にわたります。

そこで、データ連携プラットフォームには、幅広い接続性や高い柔軟と拡張性が望まれることが多く、多種多様なプロトコルや接続インタフェースを標準でサポートし、さらには接続手法も細かいカスタマイズも可能であることが求められます。

データ連携プラットフォームのメリットとは?

企業内において、各システムが孤立している状況が多く「システムのサイロ化」と呼ばれたりしています。この「サイロ化」が進むことで、分析に必要なデータの把握が困難になり、見つかったデータもそれぞれ形式が異なるため組み合わせて活用することができないなど、様々な問題が生じます。

データ連携プラットフォームは、こうした問題を解決するためのツールとして機能します。

1. 分散しているデータを統合する

データ連携プラットフォームによって、システムごとに分散しているデータを統合し、簡単に組み合わせて活用できるように整備します。

これにより、複数のシステムに分散している製品データ、取引先データなどのマスターデータを連携して利用することが可能となり、営業効率を高めたり商品開発コストを削減するなどの様々な用途で利用することが可能になります。

2. データを統合することで可視化する

統合されたデータの活用例として、経営状況を様々な視点で分析したり、営業実績をリアルタイムに把握するなど、情報を可視化するための準備が整います。

昨今ではデータが作り出される最初の段階からデジタル化することで、データの取り込みや可視化・分析を容易にし、データを判断基準に活用したビジネスを推進することが重要視されています。

さらに、データ連携プラットフォームに分析ツールを組み合わせることで、様々なインサイトを高速に得ることも可能になっています。

3. データ管理コストを削減する

用途ごとに散財する複数のシステムからデータを集計、連携、加工していては、その目的ごとに手間とコストをかけて対応する必要があります。

これらのコストを抑制するためには、取り扱うデータを汎用性のある形式に変更し、連携の手順などを共通化するといった対応方法が一般的です。しかしながら多数ある既存システムに対して、それぞれ改修作業が発生するとなると、その共通化のために多くのコストが発生してしまいます。

それに対してデータ連携プラットフォームは、多くの連携手法やデータフォーマットに対応しているため、共通プラットフォームとして利用することで、全体コストを抑えながら、追加や改修を効率的に行うことが可能になります。

4. 利用可能な状態に素早く加工する

データの集計よりも手間とコストがかかるのがデータの加工です。統合的にデータを管理するためのデータベースやKVS(Key Value Store:キー・バリュー・ストア)などを用意し、各データを利用可能な形で格納しなくてはいけません。

適切な構造をあらかじめ定義する必要がある上、処理プロセスも並列化さるなど、フローの最適化を考慮したプロセスを設計する必要があります。

データ連携プラットフォームの使用を前提にすることで、データの取り込みから加工までの全体プロセスを考慮し、最適な設計を行うことが容易になります。また、重複する処理を排除したり、多重化処理を組み込むことで効率的にプロセスを実行させるなど、よりリアルタイムに近い形でデータの利活用を目指すことも可能になります。

5. 様々な形で出力する

データ連携プラットフォームによって管理しているデータを、BI(Business Intelligence:ビジネス・インテリジェンス)と連携することで経営指標や営業活動に必要データ分析を自動化でき、経営判断に必要な情報を取得することができます。また、デジタル広告に活用する際は、DSP(Demand Side Platform:デマンド・サイド・プラットフォーム)と連携することで、集計したデータをもとに最適なデジタル広告を出稿することも可能になります。このように、データ連携プラットフォームは様々な形でデータを出力することで、ビジネスのあらゆるシーンでのデータ利活用が進みます。

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データ連携プラットフォームの注意点

データ活用にとって非常に便利なツールであるデータ連携プラットフォームですが、利用については考慮すべき注意点があります。

1. 連携プログラムのスパゲッティ化

手っ取り早いデータ連携の手段として、ファイル転送やCSVからの手動インポートといった方法で連携するケースがよくあります。手軽に接続する方法としては便利なのですが、対象システムが改修されたり、仕様変更などに伴い細かい変更が生じることで、属人的になりやすい傾向があります。そのためロジックがブラックボックス化し、システムの扱いも複雑になっていく「スパゲッティ化」に陥りがちです。

2. オンプレミス・クラウド間のデータ連携

データ連携の設定は慎重に行う必要がありますが、クラウドアプリケーションとの連携は問題が生じやすくなります。これは、クラウド側の設定が比較的容易であるため、すぐに連携できることが多い一方で、細かい設定は制限されていることが多く、不要なデータ項目が大量に抽出されたり、思わぬデータの上書きが起きてしまうなど、あらかじめ注意しておくべき点があります。自社で設計したデータベースと異なり、すべてのデータ項目を把握することも大変な負荷になるため、設定作業前に適切な設計の時間を取り、注意点の洗い出しを実施する必要があります。

3. 連携できないサービスの有無

データ連携プラットフォームであっても中には連携そのものが難しいサービスも存在します。接続先のシステムのセキュリティ強度が高い場合や、エクスポートの項目に対応していないデータ項目、または必要としているデータが中間ファイルとして保持されるだけで出力ができないなど、接続先のシステム側の要件による制限が発生する場合があります。

これらのソースデータの場所やそのデータを持つシステムの特性も把握した上で、全体設計や要件の洗い出しを行い、最適なデータ連携プラットフォームを選定する必要があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?こうした注意点を意識しつつ、データ連携のメリットを十分に引き出せるプラットフォームの選定をご検討ください。

データ連携プラットフォーム導入の最終的な目的は「データの活用」になります。そこで、エクサでは専門のコンサルティングにより、データ活用に必要な環境構築をご支援しています。

ビジネス要件の整理からシステム要件定義のサポート、ツールの選定や導入サポートなど、データ連携プラットフォーム導入の作業を全プロセスに渡ってご支援いたします。
ぜひ、お気軽にご相談ください。

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